不良番長・どぶ鼠作戦a

 前作「送り狼」で成功した変化球の連投は、シリーズを新たな展開に導きました。そして続くシリーズ5本目の本作において、それはますますエスカレート! しかもこれまでの舞台だった新宿界隈を飛び出し、大阪での大暴走が描かれていますから、コテコテにディープな仕上がりになっています――

不良番長・とぶ鼠作戦(昭和44年10月)
監督:野田幸男
企画:吉田達&矢部恒
脚本:松本功&山本英明
撮影:星島一郎
音楽:八木正生
助監督:岡本明久
出演:梅宮辰夫(神坂弘)、谷隼人(タニー)
■出演:山城新伍(猪叉大八)、鈴木やすし(ジャブ)
■出演:長沢純、葉山良二(峰)、賀川雪絵(ミエコ)
■出演:上田吉二郎(山高組々長)、笠置シヅ子
■出演:南弘子(山高桜子)、富田仲次郎(大東)
■出演:須賀不二男(関西挺身会々長)、三笠れい子
■出演:中田博久(五十嵐)、藤江リカ(ハルミ)
■出演:小林千枝(さゆり)、曽根晴美(マイト)
■出演:中田ダイマル、中田ラケット、由利徹、団巌
■出演:山京唄子、鳳啓介、英美枝(みどり)
■出演:石井恵美子(ローザ白川)、武智豊子 他

 今回の物語は既に述べた様に、大阪が舞台とあって、いきなりバイクで疾走するカポネ団の背景には、大阪城が映っています。しかし彼等のバイクには大きな荷物が積んであって、どうやら新宿を追われて流れて来たという設定になっています。
そしてそれをタイトルバックに流れるのは、梅宮辰夫が歌う「番長シャロック」という昭和歌謡グルーヴが、実に良いですねぇ♪ この曲は当時、テイチクレコードからシングル盤も発売され、根強くヒットしています。

 こうして尼崎近くに辿り着いたカポネ団の面々は、梅宮辰夫、谷隼人、鈴木やすし、長沢純という少数精鋭なんですが、鈴木やすしと谷隼人は、おでん屋で早々にボッタクられ、また梅宮辰夫と長沢純は簡易旅館でバイクの部品を盗まれるというトホホのスタート……。

 ここでは件のおでん屋が中田ダイマル・ラケットという当時最高の関西漫才コンビによって、ウルトラファンキーに演じられ、また簡易旅館の女将が京唄子という、これまたコテコテにグルーヴィな演技でKOされます。

 しかし流石はカポネ団、翌朝には新世界あたりに繰り出して、インチキスタミナドリンクの街頭販売をやらかすのは楽しい展開です。そして地元愚連隊の葉山良二や曽根晴美と悶着を起こして因縁を作るのも、このシリーズのお約束ながら、結局は意気投合してお座敷ストリップの営業を始めるという要領の良さが痛快です。

 そして当然ながら、繁盛する彼等のシノギに横槍を入れるのが、地元ヤクザの大東組です。しかもバックには関西挺身会が付いているという、これもシリーズ恒例の設定ですが、例によって梅宮辰夫は余計な対立は避けるという方針を貫きます。

 ところが、大東組が経営しているストリップ劇場から踊り子の引き抜きを画策した山城新伍を匿ったことから、またまた彼等は窮地に陥り、ついに葉山良二がブッスリと刺されて入院……。ちなみに山城新伍は河内の山高組という、由緒正しき任侠の家の代貸しなんですが、もちろん調子の良さばかりが先行したオトボケが、これまた強烈にグルーヴィです。

 こうして葉山良二の治療費を出したカポネ団は、またまたの無一文状態から山城新伍を頼って河内へ行くのですが、肝心の山高組も経営するストリップ小屋が不振で内情は火の車……。そこでカポネ団が持ち前の要領の良さで共同経営に乗り出すのですが……。

 という展開から大阪万国博に関連した用地買収によって、山高組のストリップ小屋が関西挺身会に潰されたり、仲間が殺されたりして、ついにカポネ団が怒りの殴り込み!

 しかしそれは本筋であっても、本当の見所はストリップ関連の物語ですから、とにかく裸とエロスの連続技です。藤江リカは乳首だけを辛うじて隠してのキワドイ踊り♪ 小林千枝は下着姿を全開させ、尼さんストリップまでもやってしまいますし、賀川雪絵はスリムなスタイルの良さをたっぷりとサービスしてくれます♪ そしてカポネ団の連中までもが、女装してのトンデモ演技ですから、泣き笑いも極北です。特に梅宮辰夫の不貞腐れなんか、今となってはお宝を超えた歴史のヒトコマかもしれません。トラックを連ねたストリッパーのパレードも高度成長時代というか、楽しくて良いですねぇ〜♪

 さらに全篇を通して炸裂するギャグのクダラナサは天下一品! 犬・猫・ネズミを食うホルモン焼きの店で強烈なオトボケを連発する由利徹! 武智豊子のババアストリップ! 褌姿で夜這いするカポネ団! 糞尿撒き散らして暴れる山城新伍! 底抜けに豪快な上田吉二郎も流石!

 こうした破天荒な演出の中にあって、しかし東映らしい任侠路線の味付けも忘れておらず、義理を借りた葉山良二が殴り込んで殺されるのはお約束ですし、南弘子の哀しい生い立ちとか、梅宮辰夫の愚連隊らしいスジの通し方とか、とにかく基本も大切にされています。

 そして皮ジャン姿のカポネ団による逆襲殴り込みはギンギンのバイクアクションなんですから、例え何であろうとも、バイカー魂を刺激されます。そこには時代劇姿の山城新伍やダボシャツ姿の曽根晴美までもが加わっていますが、違和感はありません。そしてダイナマイトが炸裂し、拳銃やマシンガンの乱れ撃ちがあっても、弾は尽きることがなく、また撃たれてもなかなか死ぬことが出来ないというか……♪ まあ、このあたりは、後のシリーズ作品からみれば、まだまだリアルなんですから笑って許せます♪ ドスを振り回しての最後の突撃なんか、如何にも東映で嬉しくなりますねぇ。泥臭いファンキーさが痛快なんです。

 ということで、これは破天荒でありながら、最後は東映作品の王道をきっちり守った仕上がりです。ギャグのコテコテ度は大阪が舞台なのと、野田幸男監督が関西出身というあたりにキモがありそうですが、全体的には上手く纏まっていると思います。出演者各々の持ち味もしっかりと出ていますし、もちろん美味しいサービスも抜かりなく、時代がミニスカ全盛期ですから、その他大勢の女性出演者の衣装も楽しいところ♪

 シリーズの中では、梅宮辰夫=不良番長・神坂弘という図式がはっきりと出た名作として、忘れられない1本ですが、それにしても大東映の看板スタアに、これだけ泥臭く、ハチャメチャな事をやらせてしまう野田幸男監督には、敬意を表する他はありません。もちろん、それを演じきった梅宮辰夫は、やっぱり大スタアです!

(2007.07.09 敬称略)