不良番長・一攫千金a

 前作「王手飛車」は、なかなかスマートな仕上がりでしたが、その秘められたパロディ感覚が、いまひとつ不発気味だったのは否めないところです。しかし、そういうところを突き抜けて作り続けられるのが、プログラムピクチャーの醍醐味でしょう。

 シリーズ7本目となったこの作品には、ついに大信田礼子が登場♪ さらに豪華絢爛、ハチャメチャ度数が極めて高くなった、お楽しみ満載の1本です――

不良番長・一攫千金(昭和45年4月)

監督:野田幸男
企画:吉田達&矢部恒
脚本:松本功&山本英明
撮影:飯村雅彦
音楽:八木正生
助監督:深町秀照
出演:梅宮辰夫(神坂弘)、谷隼人(タニー)
■出演:山城新伍(五郎)、鈴木やすし(ジャブ)
■出演:団巌(バイキング)、大信田礼子(桃代)
■出演:菅原文太(トシ)、田中春男(生活)、由利徹
■出演:夏珠美(ブランコ)、八代万智子、須賀不二男
■出演:関山耕二、和田アキ子(煙突のアキ)
■出演:小林千枝、中田博久、大泉晃、相川圭子
■出演:富田仲次郎(緑川)、佐々木孝丸(酒井)
■出演:山本麟一(三浦)、萩原則子(マリ) 他

 今回の物語も、冒頭から高崎競馬場でスッテンテンに大負けしてしまった梅宮辰夫と谷隼人のドジが描かれています。そして二枚目スタアでありながら、こういう情け無い芝居をきちんと演技してしまうのが、一部から愛情をこめて「ボンクラ映画」と呼ばれる東映B面作品の魅力でしょう。

 この後、オケラ状態でガソリンスタンドに辿り着き、1リットルのガソリンしか入れないくせに店員の女の子に派手なスカートめくりを仕掛けたり、白昼堂々の賽銭箱泥棒をやらかして白バイと追撃戦を演じるあたりも、憎めません♪

 さて、こういう梅宮辰夫ですから、日常生活はソープランドで働く大信田礼子のヒモ状態です。この2人のアツアツの雰囲気も本物に近く、実は当時、実際に婚約騒動もあったほどですが、逆に全く邪険に扱われてイジケの谷隼人も名演だと思います。もちろんミニスカでキワドイ衣装の大信田礼子は、言わずもがなのセクシー演技♪ おまけに「ひとつ、でたホイの〜」という猥歌まで唄ってくれるのでした。

 そしてシノギに窮した梅宮辰夫が始めた新商売が、風俗嬢へのリラックスマッサージです。ここは狭いアパートに大勢のセクシー美女達が、もちろん下着姿やキワドイ衣装で大集合! ダボシャツにネジリ鉢巻姿の梅宮辰夫が、何と男のイカセ方まで指導するのですから、たまりません♪ するとそこへ、同じくヒモを生業にしているスタミナ五郎=山城新伍が乱入してくるという展開も、なかなか自然です。あぁ、これこそ「ボンクラ映画」的展開の真髄でしょう。またまた情けない谷隼人のカッコ悪さにも爆笑必至ですし、美女達のキャットファイトも嬉しい演出です。

 で、ズウズウしく仲間になってしまう山城新伍が持ち込んだシノギが、ソープ嬢の周旋です。というか、それは引き抜きと同じですから、忽ちヤクザ組織・大矢田興行から横槍が入れられるのは「お約束」の展開なんですが、ここはアンマに化けた3人がキャバレーの寮に入り込み、ホステスの美女達をマッサージ♪ もちろん彼女達は下着&セミヌード姿で痴態狂態です。

 こうした物語の流れは、コソ泥の鈴木やすしと団巌、さらに放送局の集金人の田中春男が次々に仲間に加わりる事によって、ますます破天荒に進み、某放送局の集金を装った詐欺まで決行するのが、今回のカポネ団です。そしてここでは、八代万智子が扮する有閑マダムを相手に奮戦する梅宮辰夫が非常に羨ましい限り! 和服姿の彼女の色っぽさは「プレイガール」でのイメージと全く異なっていますが、そのエロスの濃密さは徹底的に精を抜かれてヘロヘロにされる梅宮辰夫が、全てを証明してくれます。太陽が黄色い演出も、バッチリです♪

 さらにここで仲間に加わるのが、シリーズではレギュラーの夏珠美♪ しかも初登場の場面から木の上に居るので、ミニスカからの派手なパンツ見せというエグサがたまりません。なにしろ劇中では元サーカスの団員で空中ブランコのスタアという設定ですから、アクロバット的なアクションも用意されており、その度に脚線美やパンツが拝めるという仕掛けです。尤も、中には当然スタントもありますから、無闇に喜んでいるとバチが当るという部分も味わいが深いのです。

 物語はこの後、某船舶会社の不正につけこんだ業界ゴロ新聞と大矢田興行が結託し、その恐喝ネタを掴んだカポネ団と対決するという展開ですが、その前祝に乗り込んだゴーゴー喫茶で裸踊りに興じる彼等の前に登場するのが和田アキ子! もちろんハメを外して場を荒らすカポネ団にキツイお灸をすえるわけですが、それは関西弁でボケッ、ドアホッ、と怒鳴りつけ、梅宮辰夫や山城新伍をボコボコにやってしまう恐ろしさ! この女番長モロ出しの演技は、当時の和田アキ子そのまんまのイメージです。ちなみに同時期に出演した日活作品の「女番長・野良猫ロック」とは似て非なるところも興味深く、スマートな日活に対してドロ臭い東映の面白さが、存分に楽しめます。おまけに彼女は当時のヒット曲「その時わたしに何が起こったの?」を熱唱してくれるサービスも素敵ですねっ♪ こういう本筋とは脈絡の無い趣向こそが、プログラムピクチャー王道の良さだと思います。

 肝心のカポネ団の大仕事は、もちろん一筋縄ではいかない悪党が相手ですから、大信田礼子が殺されたことによって、弔い合戦の様相を呈してきます。

 また夏珠美と谷隼人のツンデレ恋愛モードとか、孤児の彼女が父親と感動の対面をしたりする味付けが、これまたドロ臭くて泣けてきます。

 さらに梅宮辰夫の鑑別所時代のダチが菅原文太で、今は大矢田興行の客分として対決するという「お約束」もありますし、そこから脱出するバイクアクションも迫力があります。その上、夏珠美が下着姿で吊るされるリンチ場面も最高です。ビシバシに打ちすえられ、ガスバーナーで焼かれての泣き叫び! ミミズ腫れの傷痕も実に良いですねぇ♪

 そしてクライマックスでは、死んだ仲間の遺骨を抱いて、バイクで突撃の大激闘! クラシックな大砲やマシンガンを打ちまくり、手榴弾やガスボンベが炸裂し、ドスと拳銃の対決もメチャクチャな弾けっぶりです。もちろん登場人物各々の死に際にも様々な演出がつけられていて、もう泣いたり笑ったり、ここは観てのお楽しみ♪

 ちなみにシリーズ恒例のバイクで殴り込みの場面では、梅宮辰夫が歌う「ダイナマイト・ロック」が初登場! これがまた、昭和歌謡グルーヴ満点の名曲ですから、たまりません。演歌ロックは最高ですねっ♪

 ということで、これはコテコテに脂っ濃くて、しかも軽妙にスイングした傑作です。野田幸男監督の演出は相等にファジーですが、それが良い方向に作用したのでしょう、とにかく女、エロス、暴力、オトボケ、ギャグ、社会風刺、友情、恋愛、青春モードまでもゴッタ煮状態に纏め上げたのは流石の手腕だと思います。しかも言い訳も言い逃れもしていない潔さ! 個人的には、これだけ、その他大勢の下着姿の女を出してくれたことに感謝しています。

 このあたりは私が百万言を弄するよりも、ぜひともご覧いただきたいわけですが、そのあまりのテキトーさ、笑いを超越した呆れは、当にバカ映画の真骨頂でしょう。梅宮辰夫がボテ腹に女性用パンツを穿いていたり、山城新伍がダジャレの連発、鈴木やすしのベタな存在感あたりは、私の世代では泣き笑いしか残りません。

 また菅原文太が、はっきり言ってトホホです。カッコイイんだか、ダサいんだか分からないような中途半端な演技・演出で、台詞は棒読みだし、表情やアクションからも冴えがありません。しかし、これは狙ったものなんでしょうねぇ……。というよりも、現在からみると、あのシブイ菅原文太がバカ映画でカッコつけているという意想外の面白さが抜群です!

 それとやっぱり、大信田礼子です♪ この作品では、もちろん、彼女の美脚を存分に見せるために超ミニスカ、極小短パン、下着姿が大サービスされます。しかしその肝心な部分というか、死ぬ間際でさえもパンツ見せなんかしない羞恥心がたまりませんねぇ♪ 演技面と役どころでは、やや物足りない部分も確かにありますが、ポスターをご覧になれば、明らかに彼女をウリにしているのが分かります。そして、ここから続くシリーズ中期のセミレギュラーとして大活躍していきますので、お楽しみに!

 もちろん本篇も、いよいよ爆発的にバカ丸出しの展開となっていくのでした。

(2007.08.05 敬称略)