不良番長・口から出まかせ

 シリーズ絶好調の中で作られた第10弾は、前作から2ヶ月後の年末公開! つまり堂々のお正月映画に大出世ですからねぇ。コテコテのギャグにエグイ演出、美味しいエロ場面が満載♪ さらにバカバカしくてド派手なアクションが痛快な傑作になりました。もちろんトホホ度、ハチャメチャさ加減は絶品ですし、出演者のノリの良さも見逃せないところです――

不良番長・口から出まかせ(昭和45年12月)

監督:野田幸男
企画:吉田達
脚本:松本功&山本英明
撮影:稲田喜一
音楽:八木正男
助監督:三堀篤
出演:梅宮辰夫(神坂弘)、山城新伍(五郎)
■出演:宮内洋(タカシ)、ルーキー新一(ジャブ)
■出演:安岡力也(アパッチ)、大信田礼子(マリコ)
■出演:安部徹(江藤製薬会長)、曽根晴美(テツ)
■出演:清川虹子(八ツ浜村村長)、若水ヤエ子
■出演:由利徹(旅館主人)、上田吉二郎(小料理屋)
■出演:団巌、小林千枝、南利明、小林念侍(珍念)
■出演:芦屋小雁、芦屋雁平、永井秀明、
■出演:諸角啓二郎(関西挺身会・大和田会長)
■出演:佐々木梨里、佐藤晟也、時美沙(ワカメ)
■出演:菅原文太(カツ)、江口ポポ(鮎子) 他

 今回のカポネ団は筏で海上を漂流し、どうやらアメリカへ向かっているような、完全に「ありえない」設定からスタート! もちろん梅宮辰夫、山城新伍、安岡力也、ルーキー新一のメンバーはバカ丸出しのトホホな演技に徹しています。そしてようやく辿り着いたのが……。

 という発端から、女蛮族集団の登場と思ったのは飢えたカポネ団の見た幻想か!? 実は関西の漁村に流れ着いただけというオチが、非常にベタなギャグで憎めません。しかもその「八ツ浜村」の村長・清川虹子が率いる美女軍団は、男達が遠洋漁業に出ているので日照り状態! 早速、カポネ団の面々を猟師小屋に入れ、強烈な肉体攻撃です!

 もちろん最初はウハウハだったカポネ団も、最後にはKO寸前! そして辟易して瀕死になっている彼等の前へ現れるのが、曽根晴美が率いる不良バイク集団のジャンボ団ですから、忽ち対立かと思いきや、持ち前の要領の良さを発揮する梅宮辰夫の企画で、この美女集団を大阪釜ヶ崎に連れて行き、ヌーディストクラブを装った売春風俗店を開店し、これが当って大儲け♪

 このあたりの物語展開は、演出のメリハリが効いたバカ映画の真骨頂で、スピード感も満点です。もちろん女達の裸やキワドイ衣装ニューロックのBGMに合わせて踊り狂う昭和元禄の有様が楽しめます♪

 そして分け前を巡って女の調達に窮したジャンボ団が誘拐してしまうのは、フランス留学から戻ったばかりの大信田礼子! なんとその正体は製薬会社の社長令嬢です。

 ここは大信田礼子の素敵なファッションと縄姿が嬉しいところですが、その本性はノーテンキなバカ娘! 自分の窮地を楽しんでいる始末です。そして自分の父親から身代金を取ることまで提案し、会社が密かに麻薬を扱っているネタを提供するのですが……。

 勇躍、問題の江藤製薬に乗り込んだカポネ団を待っているのが悪徳会長の安部徹ですから、背後に関西挺身会が付いているのは「お約束」です。簡単に追い返され、おまけに繁盛していたヌーディストクラプもダメになりますが、この流れの中ではシノギの主導権を巡って対立するカポネ団とジャンボ団のリーダー対決が最高の見せ場になっています。

 それは梅宮辰夫と曽根晴美が紙製のパンツを穿き、大信田礼子の誘惑で先にパンツを破ってしまった方が負け! という下卑ていながら非常に楽しい演出です。もちろん大信田礼子は簡易ストリップから下着姿になってエロスの誘惑♪ あぁ、全くこの2人が羨ましい限りですねぇ〜〜♪ これでパンツが破れなかったら、男ではありませんよ。スクリーンを凝視している観客だって、モロにそういう現象に襲われるでしょうから、ここは観てのお楽しみ!

 しかしカポネ団は奮戦虚しく関西を追われ、トボトボと東海道を歩いて東京に帰る彼等には、ちゃっかりと大信田礼子が仲間に入っています。さらに途中では船員くずれの宮内洋も加わって、舞台は新宿へ――

 もちろん彼等は素寒貧ですから、出前の横取りや無銭飲食というセコイ事ばっかりやりますが、ここでも大信田礼子が下着姿になって小料理屋の親父=上田吉二郎を篭絡したり……♪ もちろん件の江藤製薬東京本社に乗り込んで、再びユスリをかけるのですが、結局は挺身会の罠に落とされ、新宿西口駅前にパンツ一丁で放り出されます。ここは山城新伍だけが赤褌というのも楽しいですが、大信田礼子はシュミーズ姿というのも嬉しいですぇ〜♪ このあたりの陰湿さがない彼女のノリは最高だと思います。

 物語はこの後、カポネ団がドタバタの中にも意地の逆襲を企み、江藤製薬の麻薬取引の証拠を掴みますが、大信田礼子や時美沙が窮地に陥ったり、仲間を殺されたりする何時ものパターンです。しかし、このあたりの流れの良さは最高!

 毎回恒例の助っ人は、菅原文太が練馬鑑別所時代のダチとして登場し、安部徹が父親の仇という設定もベタ過ぎますが、颯爽と拳銃を撃ちまくってカポネ団を助けるあたりは、カッコ良いんだかトホホなんだか、紙一重の演技・演出になっています。

 また美味しい場面も抜かりなく、曽根晴美のジャンボ団が大信田礼子を誘拐する時には彼女のパンチラ♪ また大信田礼子、時美沙、江口ポポの3人が下着姿で縛られる拷問は素晴らしいかぎり! 特に逆さづりで乳丸出しの時美沙が、ガスバーナーで焼かれる時の泣き叫びには、グッと惹きつけられます♪ もちろん泣きながらの大信田礼子の演技も素敵ですねぇ♪ 彼女の美脚の魅力もたっぷり楽しめます。

 そしてクライマックスのアクションでは痛快にバイクをブッ飛ばし、冨士の裾野の自衛隊演習場で挺身会との直接対決ですが、ここは消防車の放水やロケット弾、大凧からの爆撃、機関銃の乱れ撃ち、さらに笑いガスの噴出からダイナマイトがドンパチ炸裂します。しかし決してマジで観てはなりません。痛快で「ありえない」演出の連続はトホホを通り過ぎた爽快感があります。う〜ん、こんなバカ映画、良く作れたもんだと感心してしまうほどです。

 さらにラストシーンでは、梅宮辰夫、山城新伍、そして安岡力也が、お正月映画らしい年始のご挨拶です。このあたりの稚気は微笑ましいかぎりですねぇ。そして最後まで楽しいオチがついていますので、ここは観てのお楽しみ♪

 ということで、これはシリーズでも上位にランクされる大傑作だと思います。それはバカ映画の真髄であり、「お正月映画」のステータスを逆手にとった痛快さが魅力なわけですが、この頃の製作現場では出演者が率先してギャグやアクションを生み出していたとか!

 特に山城新伍は、この作品あたりから独壇場の独り言つぶやきギャグが冴え渡り、安岡力也も同時期に公開されていた日活の「野良猫ロック・セックスハンター」で魅せたカッコ良さとは正反対のドロ臭さ! また敵対するジャンボ団の曽根晴美が珍しい長髪にアクの強い面構えで熱演していますし、この当時は冴えないチョイ役だった小林念侍の演技も、非常にテンションが高くなっています。もちろん梅宮辰夫は正々堂々の主演としてバカに撤しきっているんですねぇ。

 「不良番長シリーズ」を初めてご覧になられる皆様は、この作品を最初に観てしまったら、梅宮辰夫は喜劇役者だったのか!? その破天荒で居直った演技に魅了されるか、呆れるか、はたまた驚愕して虜になるか?

 しかし「本物の野良犬はねぇ、人からエサは貰わないんですよ」という名台詞はハードボイルド! これをキメられる梅宮辰夫は、やはりスタアだと思います。

 そして美味しい場面がテンコ盛りの中では、大信田礼子の魅力が全開♪ それだけでも、私はこの作品に満足してしまうのでした。

(2007.08.29 敬称略)