不良番長・手八丁口八丁

 前作「やらずぶったくり」から実質1ヵ月半後の封切で、もちろん私は速攻で観に行った思い出深い作品です。しかもハチャメチャさ加減はますますエスカレートしていながら、意外と纏まりが良いストーリー展開も痛快で、それこそがシリーズの持ち味! 人気の秘密だと痛感させられ、このあたりから私は中毒症状を自覚しています。しかも当時、セクシーアイドルとして人気急上昇中だったフラワー・メグが出演しているのですから、たまりません――

不良番長・手八丁口八丁(昭和46年9月)
監督:内藤誠
企画:吉田達
脚本:松本功&山本英明
撮影:山沢義一
音楽:玉木宏樹
助監督:三堀篤
出演:梅宮辰夫(神坂弘)、山城新伍(明智大五郎)
■出演:鈴木やすし(ジャブ)、安岡力也(アパッチ)
■出演:地井武男(サッポロ)、大原麗子(立花夏子)
■出演:フラワー・メグ(ヨーコ)、待田京介(栄次)
■出演:安部徹(大滝)、玉川良一(神主)、ピーター
■出演:由利徹(バイク屋)、清川虹子、室田日出男
■出演:永井秀明、関山耕司、浜かおる(色川マヤ)
■出演:松井康子、園佳也子 他

 今回はタイトルロールからバイクのオフロードレースという、強烈にバイカー魂を刺激されるスタートです。しかもバックにはお馴染みのテーマ曲「番長シャロック」のファンキーインストが流れるんですから、シビレます! 当時最先端のムーグシンセも、今となってはオトボケ感覚があって、結果的に狙いはドンピシャリでしょう。

 ところがカポネ団の面々はそこには出場しておらず、なんとレースの最中に事故ったライダーから金品やバイクを奪い取るという、如何にもセコイ仕事をやっています。

 さらに警察署から白バイを盗んだりして、中古バイク屋へ売り飛ばすという、まあ、彼等しては当たり前すぎるシノギに精を出すのですが、そこへ現れるのが真っ赤なレザージャケットにミニスカのバイカー美女集団♪ そのリーダーがオチャメでクールなスベ公のフラワー・メグなんですから、ワクワクしてきます。

 そして彼女達のバイクを盗んだ事がバレたカポネ団は、慌ててゼロハンで逃走するものの、もちろん追跡されてトホホの結末……。ここはスベ公グループがミニスカで太股を露わにバイクに跨り、可愛いバイクアクションが素敵です♪ しかも追い詰めたカポネ団の前に仁王立ちした後は、強烈なハイキックを入れてモロなパンツ見せがたまりません♪ 冴えたカメラワークと内藤監督の演出は、全く、分かっていますねぇ〜。ここは何度観てもグッときます!

 こうして懲役に落ちたカポネ団の今回のメンバーは、梅宮辰夫、鈴木やすし、安岡力也の3人ですが、2年6ヵ月後に釈放され、夜の公園で展開されるアベックの痴態狂態を有料で覗かせるというシノギを始めた頃には、何故かフラワー・メグも仲間に入っているという嬉しさです。しかも鈴木やすしと擬似恋人関係を演じ、濃密なラブシーンをやりながら見せる綺麗な乳と官能の表情が、実に良い雰囲気で、「ほんとに入れたら、承知しないからねっ!」という台詞を、舌ったらずに言ってくれますから、萌え萌え〜♪

 そしてここで仲間に入るのが、修行僧の身でありながら、色欲の煩悩から解脱出来ないエロ坊主くずれの地井武男で、日活時代とは大きく違う、泥臭いボケぶりは最高です。

 ちなみに今回の彼等はボロな倉庫みたいなところに住んでいますが、もちろん家賃はキッチリと払っていながら、立ち退きを迫られています。と言うのも、悪辣な土建屋とヤクザ組織の挺身会が手を組んだ地上げという、毎度お馴染みのワンパターンが心地良いところです。

 またカポネ団がセックスカウンセラーを装って団地の主婦からアブク銭を稼いだり、体位コンサルタントの浜かおるを篭絡してオフィスを乗っ取ったりというスケコマシでは、梅宮辰夫が本領発揮! 私生活でのジゴロぶりをたっぷりと見せてくれます。もちろん浜かおるの色っぽすぎるレオタード姿とか太めのグラマーとして根強い人気の松井康子の痴態・狂態も嬉しいサービス♪

 さらにここで仲間に入るのが、「まぼろし探偵社」を営むオトボケ私立探偵の山城新伍! なにしろ役名を明智大五郎と名乗っているのですから、眩暈がしてきます。

 そんなある日、バイクでブッ飛ばすカポネ団は自殺しようとした美女・大原麗子を助けますが、あくまでも死にたがる彼女に人生の喜びを気づかせるため、茶畑で集団レイプ! もちろん衣服は剥がされる事がありませんけれど、今や大女優となった彼女の烈しい抵抗と「やられ顔」にはグッときます♪ 全く超お宝ですねぇ。

 しかしカポネ団とて遊んでばかりもいられません。挺身会から頼まれて地上げの手伝いです。そして国定忠治を奉った国定神社へ向かいますが、その時のスタイルが完全に江戸時代の旅人姿! 狙いは神主の玉川良一を色仕掛けで篭絡する事なんですが、その一部始終が玉川良一の唸る浪曲をバックに旅芝居調で演じられるのですから、強烈なアングラ色が横溢しています。しかもテンポが素晴らしく、山城新伍も時代劇出身とあって、間然する事の無いバカを演じているのです。いゃぁ、ここは全くの名場面として笑うしかありません!

 で、お目当てのフラワー・メグは、もちろん玉川良一を篭絡する役がありますので、洋風の面立ちに和服姿の倒錯性に加えて、美乳を見せまくり

 ただし肝心なところで邪魔に入るのが、国定神社の氏子総代になっている地元ヤクザの清川虹子と待田京介で、しかも梅宮辰夫と待田京介は練鑑時代のダチという、お約束の設定です。そしてどうやら国定神社には、挺身会が関与した借金があるらしい……。

 という展開から舞台は東京へ逆戻りし、そこで突如「まぼろし探偵社」を訪ねて来る美女こそが、以前に自殺寸前のところを助けて輪姦した大原麗子! しかもすっかりイメージが変わった行動的なスタイルになっていたのですから、これにはカポネ団の面々も仰天です。

 そして彼女の目的は、悪徳建設会社の陰謀で不可解な死に追いやられた父親の敵討ちでした。もちろんカポネ団は十八番の恐喝からドタバタを交えての現金強奪! 闇の仕事を引き受けているヤクザ組織の挺身会とも全面対決です。

 当然、お色気担当のフラワー・メグはパープリン感覚が冴えわたりの快演♪ 全く観ての嬉しいお楽しみですが、随所で光るのが内藤監督の洒落た感覚です。

 なにしろゲスト扱いのピーターは、当時、いろんな意味で注目されていた新進スタアですが、その中性的魅力と低音の歌唱が人気の秘密でした。それをここでは、なんと「火星人」として登場させるんですねぇ〜。これには流石のカポネ団の面々も戸惑い気味という本音の芝居が流石です。また大原麗子の居直ったビッチな風情も捨てがたい魅力があります。

 しかし挺身会の熾烈な逆襲によって清川虹子やフラワー・メグが無残に殺されて……。ここはなんと言っても白いビキニの水着でセクシーに踊るフラワー・メグが最高! 下半身を直撃してくるダンスも刺激的ならば、派手に銃撃されての死に際も素晴らしい限りです。その彼女のプロフィールは――

フラワー・メグ
 昭和46年春頃から男性誌のグラビアやテレビの深夜番組に、いつの間にか登場していたという記憶が、私には残っています。そしてそのイメージはヒッピー娘というか、「裸なんて平気!」っていう部分が非常に強く、実際、テレビではパンツ一丁で歌って世間を騒がせました。彼女の位置付けは所謂セクシータレントですが、不思議な雰囲気を漂わせる面立ちや芸風は、如何にも昭和40年代的です。ちなみに彼女の芸名は、出身地の目黒の「花」のモジリが定説ですが、実は吉祥寺の有名ジャズ喫茶「メグ」でウェイトレスとして働いていたらしく、それに因んでいるという説も有力です。また当然というか、歌手としての活動もあって、シングル盤「ベッドにばかりいるの」を出してデビューしています。そして当時のプロモーションでは、レコーディングをオールヌードで行ったという煽りがありました。気になるその曲は、やや水気の多い甘えた歌い方や、ブレスの合間に「うふっ」という囁きがあったりして、フレンチジャズ風のメロディが然も有りなんの出来になっています。

 さて、こうして突入するクライマックスは、何時もながらのド派手で「ありえない」アクション大会です。ここでは時代遅れのヤクザぶりが楽しい待田京介のオトボケやピーターの馬鹿げた助っ人のカッコ良さが痛快! カポネ団のメンバーの死に様も、各々それなりに考え抜かれたギャグの彩りが鮮やかです。現実と芝居の入り乱れも楽しいですねぇ〜。騎兵隊をイメージしたブルーのソルジャールックもイカシています。

 しかしそれがイマイチ緩い雰囲気で、つまりコテコテ感が足りません。このあたりは十人十色の好みなんでしょうが、内藤監督のスマートな資質の表れかもしれません。ただしラストの鮮やかなオチは素晴らしく爽快で、大原麗子もこの場面が一番魅力的だと思います。

 ということで、如何にも当時の世相風俗が滲み出た傑作だと思います。そして個人的にもフラワー・メグの魅力にKOされた作品として忘れられません。彼女の芸能活動は結婚引退によって極めて短く、しかしセクシーアイドルとして強い印象を残した魅力が存分に楽しめるのです。

 また既に主役級といっても過言ではない山城新伍は、スクリーンと現実を超越した流石の演技で、抜群の存在感! 当時の現場ではギャグのヒネリやオチが山城新伍を中心に練られていたと言われるほどです。そして――

 梅宮「俺はなぁ、40なっても番長だっ!
 山城「40まで、あと、3〜年♪」

――という伝説の名台詞とツッコミは、この作品から出ているのでした。

(2007.09.30 敬称略)