不良番長・突撃一番

 ついにシリーズ13作目は年末公開という、堂々のお正月映画でした。こういうステータスって、今ではちょっと想像もつかないほどに大きく、それだけで期待が高まっていた作品です。ちなみにタイトルの「突撃一番」とは、旧日本軍が兵士に配布していたコンドームの名称というのも、妙なワクワクがあります――

不良番長・突撃一番(昭和46年12月)

監督:野田幸男
企画:吉田達
脚本:松本功&山本英明
撮影:稲田喜一
音楽:八木正生
助監督:三堀篤
出演:梅宮辰夫(神坂弘)、山城新伍(石松)
■出演:鈴木やすし(ジャブ)、安岡力也(アパッチ)
■出演:地井武男(モグラ)、夏純子(小川花子)
■出演:小林千枝(マユミ)、渡瀬恒彦(カツ)
■出演:安部徹(寺沢)、藤原釜足(小川徳之助)
■出演:佐山俊二、丹下キヨ子、関山耕司(都田)
■出演:潮健児、団巌、藤原有弘、大泉滉(西山)
■出演:一ノ瀬レナ、花田達(塚本)、左とん平 他

 さて、今回の物語も地方ロケがメインで、舞台は四国の高松ですから、いきなり瀬戸内海を航行する豪華フェリーが映し出されるという違和感が……。

 そして甲板では、浪曲でお馴染みの「石松代参・三十石船」の場面が、おめでたく再現されているんですねぇ〜。その中心は山城新伍が石松役で、「あんた、江戸っ子だってねぇ〜」という、あのシーンです。しかも山城新伍だけが、完全に江戸時代の旅人姿! 片目の扮装も忘れていません。もちろん御題は東映映画ですから、「網走番外地」や「昭和残侠伝」、鶴田浩二や高倉健、そして藤純子の名前はスラスラと出てきますが、なかなか「不良番長」を言ってもらえないというオチは、お約束です。

 ちなみに山城新伍といっしょにいる小林千枝が今回の紅一点で、ストリッパー役♪ 山城新伍はヒモというわけで、四国に出稼ぎに来たという設定です。

 さて、その頃、梅宮辰夫が率いるカポネ団は新宿の街をバイクで疾走! ちなみに今回のメンバーは鈴木やすし、安岡力也、地井武男というお馴染みの面々です。そしてソープ嬢の藤江リカを使ってバスの中ではヤラセの痴漢をやったり、風俗産業のアレコレを覗き見させてのセコイ商売をやっていますが、もちろんヤクザ組織の挺身会は激怒! ボコボコにされて素寒貧のカポネ団は、こうして四国の高松に向かうというのが、物語の発端です。

 ここでは藤江リカの思いっきりの良いオトボケとセクシー演技が素晴らしく、また小林千枝のストリップも下卑た佇まいが、たまりません

 しかし高松に乗り込んだカポネ団は、なんと巡礼姿! お約束とはいえ、あまりの情けなさに唖然とさせられますが、そのまんま地元バイカーのマシンをかっぱらっての暴走にはスカッとさせられます。

 そして石松=山城新伍が草鞋を脱いでいる親分・小川徳之助=藤原釜足の家へ行ってみると、なんとそこは地元名物の饅頭屋! ちなみにそこの看板娘が夏純子という設定ですが、山城新伍は彼女に夜這いをかけて失敗した後、失踪しているとか……。しかも地元ヤクザ・都田組の賭場で借金まで作っていたのですから、これにはカポネ団の面々も大弱り……。さらに身投げしたという報告も入るのですから、激怒した都田組からボコボコにされるのも当然という展開ですが、もちろんここでカッコ良く助けに入るのが、旧知のカツ=渡瀬恒彦です。

 こうして心機一転、巻き返しを図るカポネ団は琴平宮でバカ騒ぎを演じたり、直ぐにバレバレの詐欺を働いたりしますが、それも全てはブルーフィルム製作の資金源を得るためでした。

 この流れの中では、山城新伍が幽霊になって現れたり、女風呂への乱入ブルーフィルムの秘密上映会、キャバレーで「ウッシッシ節」を歌い踊るカポネ団……等々の楽しいサービス場面がテンコ盛り♪ 夏純子の超ミニスカや寝巻き姿も嬉しいところですし、小林千枝のケバイ雰囲気が全開した裸の演技も、東映モード丸出しで憎めません。おまけに一ノ瀬レナと小林千枝のレズシーンも、なかなか生臭くて、OKです♪

 気になるブルーフィルムの製作では、小林千枝が桃太郎の扮装から裸に剥かれて乳を吸われたりという、相等にエグイ撮影現場が楽しいところ♪ ちなみに死んだはずの山城新伍は、もちろん都田組から逃れるための偽装自殺だったということで、この現場でも笑わしてくれます♪

 しかし結局はヤクザ組織からの横槍が入り、さらに渡瀬恒彦が死んだ女房の敵討ちまでも絡んできて、後半はハードボイルド味が強くなります。もちろんド汚いヤクザの手口は、強引な借金の書き換えや藤原釜足を殺害したりと、エスカレートするばかり……。そして挺身会の拳銃密造の目論見を掴んだカポネ団が逆襲に転じるという、毎度御馴染みの展開へっ!

 銃撃戦では地井武男と小林千枝が殺され、ついにはバイクで突撃するクライマックスには、ご存知「ダイナマイトロック」が流れますから、ワクワクしてきます。

 ここは料亭の中でありながら、マシンガン乱れ打ちやダイナマイトがボカンボカン炸裂し、ロケット砲や火炎放射器までも出ますが、バイクのスタントもキマッていますねぇ。

 また山城新伍が槍や手裏剣で大活躍するのは流石! 元時代劇スタアの証というか、痛快です。

 そして当然ながら、カポネ団のメンバー各々の死に際も見せ場が上手く、個人的には安岡力也がカッコイイ! ちょいと日活モードになっています。

 ということで、なかなかサービスの良い作品ですが、地方ロケということもあって、これまでの中で一番タイアップが多い作りになっています。とにかく場面毎に四国・高松の名所旧跡、名物や料亭・ホテル等々が映し出されて、う〜ん……。

 しかし黒澤映画の常連だった藤原釜足やホンワカしたオトボケが最高という佐山俊二の演技は味わい深く、また、エロ場面や女の裸という直接的な美味しい場面は、相等にキワドイです。特に女風呂のシーンなんか脱ぎ要員の女優さんが乳や尻のワレメを出し惜しみせず、さらに手で隠すデルタ地帯もギリギリというアブナイ演技!

 しかしそれでも、この作品にはどこかしら虚しいものが漂います。それはマンネリという煮詰まりかもしれません。お正月映画らしい趣向やサービス精神が旺盛過ぎて、かえってゴタゴタしてしまった感じさえしています。そしてなによりも夏純子の出演がほとんど活かされていないのは残念……。

 そしてこの頃から、映画館主や営業では打ち切りという声が高まっていたそうですから、なんとシリーズ次回作では、減点回帰を目指す流れへと変化していくのでした。

(2008.02.10 敬称略)