The Beatles / Let It Be の謎 18

 もうビートルズではお金は使わない、こう何遍、決意したでしょう……。しかし、彼等関連のブツが出る度に、自分の意思の弱さを何時も痛感させられるのです。先日出た映像版「アンソロジー」のDVDも、結局、おまけ映像につられて買ってしまった……。

 という理由からでもありませんが、このDVDに収録された曲の数々は、明らかに既成の音源と違っていましたので、ここに「レット・イット・ビー」関連のものだけを取上げてみます。

I've Got A Felling
 映画版「レット・イット・ビー」でもお馴染みのトゥイッケンナム・フイルム・スタジオでの演奏なので、フィルム・サウンド・トラックのモノラル音声ですが、ここでは奥行きのある豊かな音になっています。これは映画版がDVD化される布石と受け取りたいのですが……。

For You Blue
 これはアップル・スタジオ音源なのでステレオ音声、しかもご丁寧に、映画に入っていたバイクの音が画像どおりに左から右へ移動するミキシングがちゃんとされています。

Get Back
 これは「アンソロジー」で初めて登場した場面、アップル・スタジオ内での演奏です。しかし、フィルム・サウンド・トラックの音声が使われたらしくモノラルなのが残念でした。ただし音はかなり良いです。

The Long And Winding Road
 これはステレオ録音で、しかも非常にクリアーな音質になっています。特にピアノの音がリアルでした。「ネイキッド」への期待が膨らむリマスターだと思います。場面と音源はもちろん、映画版と同じく、1月31日のアップル・スタジオでのものです。

Don't Let Me Down
 例の屋上ライブの名演がステレオで収録されました。途中で下の道路からの音声に変わるところも自然ですし、その臨場感も抜群です。映画で登場した綺麗なミニスカのお姉ちゃん達の足音までも伝わってくる雰囲気で、とても気に入っています。

Get Back
 これも屋上のライブ、最期に演奏されたバージョンですが、臨場感満点です。この時は警官が屋上にやって来たところが映像で残されていますが、そのザワザワした雰囲気がきちんと味わえます。

Let It Be
 アップル・スタジオでの演奏なのでステレオ・ミックスが使われておりますが、これも非常にクリアーな音質になっています。特にビリー・プレストンのオルガンが効果的にミックスされています。ジョンのベースもはっきり聴こえますが、この曲に限らず「アンソロジー」のDVDはベースとドラムスが前面に出たミックスが施され、迫力があります。

 ということで、結局このDVD用に収録曲全部が新たにリミックスされたものと思われます。ただし、あくまでも「アンソロジー」なので完奏している曲が少ないのが残念です。なんで、こんな小出しなやり方をするんでしょうか……。様々な情報によれば、ビートルズ関連の音源・映像等については、今後100年ほどの発表スケジュールが既に決まっているとか……。このあたりは権利関係の保護という目的があるのでしょうが、自分が生きている間に全てを体験することが出来ないのは、何とも残念です。まだまだ大量のお宝が残されていることが分かっただけでも、ありがたいことなのですが……。

 現在、世界一のビートルズ・コレクターはリンゴだと言われています。どうやらビートルズ現役時代から色々な物を集めてきたらしく、海賊盤についてもかなり集めているようです。「アンソロジー」プロジェクトについて多くのお宝が公表されたのも、彼の力が大きかったそうです。

 またジョンもビートルズや自分のソロ活動に関する海賊盤や音源・映像をかなり集めていたそうで、そのあたりでコレクターとの繋がりも多く、一部ではそのための交換条件として、自らレアな音源を蔵出ししていたという噂までありました。その意思を受け継いだのかどうか、ジョン関係の未発表物が数多く出されたことについては、オノ・ヨーコに感謝しなければなりません。

 ジョージとポールはあまりそのあたりには感心が無かったようです。両者とも海賊盤が氾濫していても、自らが新作を発表すればファンはそれを求めるというような自信があったのでしょうか? しかしポールがウイングスを率いていた頃のライブ盤が3枚組になったのは、同時期のライブ音源を収録した海賊盤が3枚組で大ヒットしていたからだと言われております。また「アンソロジー」プロジェクトを進める過程において、結局一番熱くなったのもポールではないかと思われます。で、それが一番顕著になったのが、今回の「ネイキッド」発売ということなのでしょうか?

 これは私の個人的予測ですが、おそらく「ネイキッド」収録曲はバンド・サウンドを強調したミックスになっていると思います。発売まであと少し、あ〜っ、楽しみ!

 ということで、長かったこの特集もようやく一息、続きは「ネイキッド」を聴いてから纏めます。皆様が「ネイキッド」をお楽しみになるうえで、この拙文が何らかのスパイスになれば幸いでございます。

(2003.11.10 敬称略・続く)