プレイガ〜ル「Premium Collection Box」の世界

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 今回発売されたDVDは1枚に4話収録、ちゃんと予告篇も付いておりますが、そのナレーターがなんと梅宮辰夫! なんとなくそんな記憶がありましたが、それが確認出来ただけでも嬉しくなりました。その予告篇第1話分は今回初めて観ることが出来ましたが、結論から言えば第1回放送分本篇には無い映像が入っていました。また梅宮辰夫のナレーションには「来週からいよいよ〜」とか「お色気ムード」というフレーズがあり、この予告篇がどういう番組の後ろで流されたものか、あるいは「プレイガール」の前の番組が何であったのかをいろいろと想像すると、興味深いものがあります。

第1話男無用の女ども」:昭和44(1969)年4月7日放送
 監督:鷹森立一
 出演:戸川昌子、沢たまき、應蘭芳、緑魔子、真理明美、桑原幸子
     中原早苗、丸山明宏 他

 記念すべき初回エピソードには「プレイガール」として戸川昌子以下、レギュラーとなる初代メンバーが登場しています。まず彼女達のプロフィールを簡単にご紹介すると――

戸川昌子(とがわまさこ)=役名:天戸昌子(通称:マダム、おっ母さん)
 女優というよりは「大いなる幻影」で昭和37年度の第8回江戸川乱歩賞受賞の推理作家として、あるいはシャンソン歌手としてあまりにも有名な彼女が、何故、この番組に出演したのかは不明です。劇中では現実と同じく推理作家として登場し、さらに私費を投じて国際保険調査員グループ「プレイガール」を組織したという設定になっており、タイトル・ロールのテロップでは「影の女」として紹介されております。もしかしたら原作を提供するというような仕事関係の流れからか、あるいは同じ歌手仲間の沢たまきのラインから出演が決まったのかもしれません。ただし、彼女がきちんの出演したのはこの第1話と第18話のみということが、付属解説書にありました。

沢たまき(さわたまき)役名:沢村たまき(通称:オネエ)
 このDVDセットが発売された翌日の急逝は本当にショックでした。彼女の簡単なプロフィールは追悼文章にありますので、そちらをご覧いただきとうございますが、やはりは「プレイガール」は彼女の存在感無しには語れない部分があります。しかし、何故か初回のエピソードではそれ程の出番はありませんでした。キャラクター的に戸川昌子と重なる部分があったからかもしれません。それにしてもこういう姉御肌の女優さんは最近見かけなくなりました。

應蘭芳(おうらんふぁん)役名:蘭芳(通称:らんふぁん)
 名前からも推察できますように、彼女は中国系のハーフでイギリス生まれ、中国で育った後に日本に移住したようです。芸能界には東映のニューフェイスとしてデビュー、その時は三瀬滋子あるいは應仲奇と名乗っていたようです。数々の映画や舞台に出演していたようですが、私の世代ではフジテレビ系列で昭和41(1966)年に放送されていた「マグマ大使」でのモル役が印象深いところです。その後「みな殺しの霊歌(昭和43年・松竹)」「徳川女系図(昭和43年・東映)」あたりの映画出演で肉体女優として注目され、「プレイガール」出演直前には「失神女優」の異名を得ていました。それが何故か定かではありませんが、どうやら週刊誌のインタビューでSEXの時には必ず失神してしまうと発言していたからだとか……、また同時期の深夜番組「11PM」でそう決め付けられたからだとか……、諸説あるようです。ただし本人はそういうセクシー女優として扱われることには不本意だったそうで、「プレイガール」においても、サービスカットとしてのパンチラやヌード、必要以上のお色気シーンには反発していたようです。

緑魔子(みどりまこ)役名:一條マコ(通称:マコ)
 デビュー当時から個性派女優として注目された彼女は、悪女・非行少女・場末の風俗嬢等々があたり役でした。グラマーではありませんが脱ぎっぷりが良く、また演技もツボを外さない鋭いもので、「プレイガール」出演前にも東映で任侠物の併映作品ではありますが、既に多くの名作・名演を残しておりました。したがってこのシリーズ出演中もかなり忙しかったらしく、レギュラー扱いだった全20話中わずか7本しか登場しておりませんし、役割も軽いものでした。しかし、彼女の存在感はやはり圧倒的でした。ちなみにこの頃から彼女はアングラ芝居に傾倒していき、ファッションもサイケ調で堪らないものがありましたし、東映を離れてフリーとなっていたことから直前には大映で江戸川乱歩原作による「盲獣(昭和44年・増村保造監督)」という大傑作にも出演しています。ということで、なんだか一般には元祖「飛んでる女」のような印象がありますが、内縁関係だった石橋蓮司との愛を貫き通したことは忘れられません。

真理明美(まりあけみ)役名:星明美(通称:アケミ)
 二十歳の時に「モンローのような女(昭和38年・松竹)」のヒロイン募集に合格して主演デビューした彼女はその後も数々の出演作でクールでコケティッシュな美貌を印象づけてくれました。個人的には「顔は男の履歴書(昭和41年・日活)」における仲間を裏切る朝鮮人娘役が最高だったと思っておりますが、「プレイガール」出演前までは歌手としても活動、さらにテレビの刑事物にも頻繁に出演しておりました。「プレイガール」には第52話まで出演、その後映画監督・須川栄三と結婚し引退しました。現在はその須川監督とも死別したそうですが、特典映像の座談会に出席した彼女は陽気な未亡人=メリー・ウィドウという雰囲気でした。

桑原幸子(くわばらゆきこ)役名:原幸子(通称:ユッコ)
 彼女は子役として昭和30年代後半から活動していたそうで、脇役ながら本格デビューとなった「ひも(昭和41年・東映)」ではセミ・ヌードまで披露しましたが、その後も芽が出ず東映のカレンダーにも自分が起用されなかったために自分のヌードを使った1968年度版カレンダーを自費出版した事は今や伝説となりました。しかしそれでも大成せず、歌手としての活動もありましたが、やはり彼女の代表作は初回から第210話まで長期間レギュラーを勤めた「プレイガール」になると思います。劇中では明るい行動派で、それゆえに敵方に捕まったり、また派手なアクションやエッチ場面での活躍も忘れられません。彼女は「プレイガール」出演終了後に作家の西木正明と結婚し引退しました。特典映像の座談会では現在の彼女に接することが出来ましたが、明るい雰囲気はそのままでした。

 以上のメンバーが最初に遭遇するのがもちろん保険金絡みの事件です。物語は身寄りの無い若い女性に多額の保険金が掛けられ、しかもその直後に事故死するというところからその背後にある悪の組織の存在が浮かび上がり、もちろんそれを調査するのが「プレイガール」の面々という展開です。ストーリーが進行するにつれ、謎の女=中原早苗が絡んできて、物語のオチも一筋縄ではいかないという、なかなか凝った筋立てになっておりますが、やはりお目当てはえっちな部分です。

 その美味しい場面は、まず開始早々の美女の入浴シーン、もちろん彼女はそこで殺されますが、入浴中であるにもかかわらず「つけ睫毛」「アイシャドウ」「下品な口紅」がバッチリというツッコミはさておいて、こういう場面がテレビで放映されるというのは当時としては大変に刺激的且つ画期的なことでした。

 肝心の「プレイガール」達の見せ場としては敵方のアジトになっているクラブに潜入捜査する真理明美のバニーガール姿が素敵ですし、そのクラブでは戸川昌子がドレス姿で2曲も歌ってくれます。また後半では應蘭芳と桑原幸子が捕らわれて縄姿という場面もあります。ただしたっぷりある彼女達のアクション・シーンでのパンチラはこの時点では無く、わずかに桑原幸子が不意打ちをくらって倒れる場面においてショートパンツ姿で大股開きになり、しなやかな太腿がその裏側までも堪能出来るのが涎物です。

 ゲスト出演の中原早苗はミニスカ姿で凛とした謎の女を好演しておりますが、その彼女のプロフィールは――

中原早苗(なかはらさなえ)
 今では演技派の名女優としての立場を確立している彼女ですが、昭和30年代の日活アクション映画では肉体派として脱ぎまくりました。その所為かどうか、川地民夫との結婚生活も破綻しますが、後に深作欣二監督の再婚、深作監督作品の常連となるものの、「仁義なき戦い(昭和48年・東映)」の大ヒットを出す前の深作監督はどちらかといえば社内では日陰の存在でしたから、彼女が多くの映画で通俗味の強い演技を続けたのも経済的な理由からかもしれません。いずれにせよ、彼女の存在がなければ「仁義なき戦い」シリーズがあったかどうか、そんなことを思わざるをえないものがあります。彼女の出演作品では初ヌードを披露した「美しき不良少女(昭和33年・日活)」があまりにも有名ですが、その他渡り鳥シリーズの「南国土佐を後にして(昭和34年・日活)」のキャバレー・ダンサーとか「狼と豚と人間(昭和39年・東映)」での拷問を平然と眺める女とか、印象深い物が沢山あります。また1970年代の東映実録路線の諸作で見せるふてぶてしい悪女もはまり役でした。

 ということで、この初回は後のエピソードに比べてかなりおとなしい作りですが、山下毅雄のジャズ調の音楽は、出演女優達の着こなす粋なファッション共々にお洒落な雰囲気を盛り上げておりますし、なによりも日本の高度成長時代の爛熟した雰囲気を味わえるのが堪りません。

 あと特別出演の丸山明宏、あるいは端役で小林念待の出演と意外なお楽しみもあります。やはり東映製作ということで、シリーズを通して悪役にはギャング物・任侠物の劇場版本篇で活躍しているおなじみの顔ぶれが登場しておりますし、ゲストも毎回豪華です。一説には「プレイガール」には男優たちが挙って出演希望していたとか。それだけ役得というか美味しい部分があったことは想像に難くありません。

 尚、予告篇でナレーションを担当している梅宮辰夫との関係ですが、その梅宮辰夫が東映で主演した代表作「不良番長(昭和43年・シリーズ第1作)」には沢たまき、應蘭芳、桑原幸子という「プレイガール」組が出演しており、興味を引かれるところです。

(2003.08.17 敬称略・続く)