プレイガ〜ル「Premium Collection Box」の世界

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 伝説の大ヒット番組「プレイガール」も、付属解説書の桑原幸子の文章によれば、「ウケなかったらワンクール、つまり13本で打切りになるはず」だったそうです。したがって好スタートを切ったとはいえ、次々に新メンバーを投入するという刺激作もとられていきましたが、タイトルロールだけはその度に作り直すわけにもいかず、しばらくは初回のオリジナル・メンバーだけが登場するものが使用され、追加メンバーはエンドロールの部分で他ゲストといっしょに字幕紹介されておりました。

 そのオリジナル・タイトルロールは、まず銃声とともに沢たまきの「私達は国際保険調査員、ここが私達の部屋なの……」という台詞の後に、彼女達の事務所の様子が映し出されます。そこでは各々メンバーが字幕付きで紹介され、沢たまきは煙草を吸いながら何かのキーボードを打っており、應蘭芳はネグリジェ風なセクシー衣装でマニキュアのお手入れ、緑魔子はヒッピーな衣装で寝転がって林檎を齧り、真理明美は男物のワイシャツだけを素肌に纏って欠伸をしながらセクシーに登場、桑原幸子は椅子に胡坐をかいて電話中、さらに戸川昌子は影の女としてクールにグラスを傾けるという、どうみても夜の職業女性の事務所という雰囲気ですが、各メンバー登場の一部分にピストルとかマシンガンが小道具として配されて、かろうじてアクション物の体裁になっているところがとても楽しく、素敵です。

 バックで流れる山下毅雄の洒落たジャズ調のスキャットも粋で、最後のブレイクでは、おそらくはテープのスピード操作で作り出したであろう低音で「プレイガ〜ル」とキメの一言が入ります。これは当時、巷で流行りました。

 また物語のプロローグとして、本篇のさわりの部分を紹介してサブタイトルが出るという構成になっておりました。

 で、dics-1収録3つ目のエピソードでは次の二人が新メンバーとして加入します――

范文雀(はんぶんじゃく)役名:ユーミン・ダロワ(通称:ユーミン)
 彼女は国籍が台湾の中国人で、私の世代ではTBSで放送されたバレーボールのスポコン・ドラマ「サインはV(昭和44年)」におけるジュン・サンダースの印象が強烈ですが、同時期に「プレイガール」にも出演していたのでした。ただし、「プレイガール」出演時の芸名はハン・ザ・摩耶になっており、芸名の使い分けには何らかの理由があったようですが、第25話からは范文雀に戻していると付属解説書にありました。それと彼女のこの番組への実質的な初登場は第2話で、某国の鉱山主の娘として来日した時に命を狙われ、それを「プレイガール」達に助けられたというエピソードがあり、今回は日本で合気道を習うという名目での再登場という設定です。そしてそのまま、押掛け的に「プレイガール」のメンバーになり、第63話まで在籍、その後もゲストとして数話に登場しているようです。范文雀は「プレイガール」「サインはV」の出演と平行して翌年からは日活の劇場作品「野良猫ロック」シリーズでも活躍、その冷たく翳りのある美貌で脇役ながら強烈な印象を残しました。そしてその後もテレビや映画に出演を続けましたが、平成14(2002)年秋、心不全のための急逝は記憶に新しいところです。

高毬子(たかまりこ)役名:庭ルナ子(通称:ルナコ)
 昭和30年代後半に宝塚音楽学校〜宝塚歌劇団で活躍した彼女は、昭和40(1965)年に大映と契約し田宮二郎の相手役として数々の作品に出演しておりました。「プレイガール」の劇中では天涯孤独なフランス帰りの美女として登場、范文雀と飛行機の座席が隣同士だったことからそのまま「プレイガール」の事務所について来てしまうというオトボケを見せます。しっとりとした情感と清楚な美貌、ソフトな語り口が大人の魅力を漂わせますが、アクション・シーンではかなり過激なパンツ見せや、必殺の「タマつぶし」でエグイ活躍をしており、第136話までレギュラー出演しております。そして、その後も数話で助っ人出演しておりますが、放送終了後に結婚、引退されました。

第6話女は裸で勝負する」:昭和44(1969)5月12日放送
監督:山田稔
出演:沢たまき、應蘭芳、真理明美、桑原幸子
    ハン・ザ・摩耶(范文雀)、高毬子、根岸明美、高宮敬二 他

 今回のエピソードは范文雀と高毬子が日本へやって来て「プレイガール」のメンバーになる部分と、オネエ=沢たまきがふとした偶然からハンドバックを間違えられた為にある事件にまきこまれ……、という部分が平行して描かれております。その事件というのは、東西両陣営のスパイ情報戦の仲介役として情報売買をする闇のエージェントの暗躍というもので、そこには裏切りや陰謀が渦巻いているのですが、観ていてイマイチ、ピンときません。しかし「プレイガール」達の活躍はなかなか楽しいものがあります。

 その美味しい見せ場としては、まずメンバー各々が自己紹介的に自分の得意技を披露する場面での沢たまきのキック・ボクシング流の回し蹴り、もちろん当然のパンチラです。また桑原幸子は事件について推理を組み立てる場面が何と浴室、バスタブで泡にまみれて脚を上げたり開いたり、さらにはオール・ヌードで浴室から上半身を出し、真理明美にバスローブを要求するところでは乳首が! このあたりはDVDならではの静止画像の美しさでじっくり鑑賞出来ます。さらに范文雀が合気道の稽古終了後にシャワーを浴び、そして高毬子は敵方に探りを入れに行き、事件の鍵を握る謎の男=高宮敬二にベットに誘われてラブ・シーン、良い雰囲気で男の股間に手を伸ばした次の瞬間、タマつぶしの強烈な握りが! ここで股間を押さえて悶絶する高宮敬二の演技はまさに迫真ですし、何事もなかったかのように身繕いをし、チンピラ達に愛想をふりまいて爽やかに帰っていく高毬子は最高です。

 クライマックスのチンピラ達相手の格闘シーンでは范文雀が薄いミニのワンピース姿で押し倒されて太腿が露になるあたりが堪らず、このあたりの乱闘場面では男優、そして現場スタッフにもかなり美味しい役得があったと思われますが、ここでも高毬子が男の股間を思いっきりハイヒールの踵で踏みつけるという演出があり、そういえば当時の週刊誌かSM誌で「プレイガールに蹴られたい」等というM男の告白記事を見かけたような記憶があります。

 ゲスト出演者の根岸明美は闇のエージェントの現場を仕切る女幹部として登場、手下の若い男に熱をあげて組織を裏切りますが、その男にも棄てられるというお約束の悲しい熟女を演じております。彼女の芝居には心地よいクドさがあり、特にネグリジェ姿で若い男に執拗に迫るベットでの演技は情念というか、その脂っこさは天下一品です。その彼女のプロフィールは――

根岸明美(ねぎしあけみ)
 日劇ダンシングチームで活躍後、昭和28(1953)年に映画界入りした彼女の魅力は、野性的な妖しさを秘めた大柄な肢体でしょうが、なかなか味の濃い演技も素晴らしいものがあり、黒澤明監督のお気に入りとして「赤ひげ(昭和40年)」「どですかでん(昭和45年)」等々に重要な役として起用されました。私の世代で印象に残っているのは東宝の特撮物「獣人雪男(昭和30年)」における秘境の村娘・チカ、あるいは「キングコング対ゴジラ(昭和37年)」のきわどい衣装で妖しい踊りを披露するファロ島の原住民といったところでしょうか。いずれも引き締まったナイスバディにほどよい巨乳、しなやかに発達した太腿というところに、子供ながら目が行ってしまいました。しかしそれも的確な演技力があればこそで、脇役でありながら、登場した瞬間から周囲を自分の色に染上げてしまうところは印象深く、例えば「女囚701号・さそり(昭和47年・東映)」では梶芽衣子、横山リエ、三原葉子、扇ひろ子等々のキャラの濃い登場人物の中にあって、全く自分の存在を見失わない演技を見せてくれました。個人的には巨乳〜グラマー系に分類しているとても気になる女優さんで、何故かと言えば、映画デビューとなった日米合作の「アナタハン(昭和28年・大和プロ)」という作品の存在につきます。ここでの彼女は、太平洋戦争中の南海の孤島に流れ着いた日本兵の集団に君臨する女王様を演じているらしく、観たい、観たいと念じ続けていまだに実現せず、30年以上たってしまいました。

 ということで、いよいよ「プレイガール」も本領発揮というか、えっち場面が増えてまいりました。次に収録されている「スリラー女が骨まで愛すとき」はそれが全開になっておりますのでお楽しみに。

(2003.08.22 敬称略・続く)