プレイガ〜ル「Premium Collection Box」の世界

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 テレビで「プレイガール」が大人気番組だった当時、劇場用映画は不入り、予算の低下、製作本数の減少という悪循環からヒット作も少なく、危機的状況に陥っておりました。そしてついに大映が倒産、日活も製作の一時停止からロマンポルノ路線に転換を余儀なくされ、それに伴い多くの俳優・製作スタッフがテレビに活動の場を移して行きます。しかしそれは寂しいことである反面、テレビ番組の質の向上に繋がっていたと思います。特に、それまで劇場用作品でしかお目にかかれなかった俳優さんの演技に毎週、それもタダで接することが出来たのは嬉しいことでした。

 で、そういう経緯から東映製作の「プレイガール」にも他社からのゲスト出演者や移籍組が多数出演しており、今回登場の渡辺やよいもそのひとりです。その彼女のプロフィールは――

渡辺やよい(わたなべやよい)役名:田辺やよい(通称:やよい)
 彼女は児島みゆきの後を受けて「新・ハレンチ学園(昭和46年・日活)」のヒロイン=二代目十兵衛役で颯爽と登場しましたが、残念ながら日活の経営危機で後が続きませんでした。しかし小学生の頃から東映児童研修所で演技の勉強を積んできた彼女の輝きは素晴らしく、脇役ながら、すぐに東映のプログラム・ピクチャーで印象的な活躍を始めます。例えば「女囚701号・さそり(昭和47年・東映)」では逃走の途中で生理が来て太腿に赤い流れを見せてしまう女囚、「エロ将軍と二十一人の愛妾(昭和昭和47年・東映)」では純真な村娘、そして「女囚さそり・けもの部屋(昭和48年・東映)」では脳障害の兄の面倒を見る売春婦の妹を好演しております。さらに強烈なのが「聖獣学園(昭和49年・東映)」で仕置きを受け、大量の塩水を飲まされて尿意に苦しみ、最後にはキリストが描かれた石皿の上に夥しい量のおしっこを垂れ流してしまう修道女という、悲しくも美しい演技を見せてくれました。この他にも、多くの作品に出演している彼女の魅力はどこか暗い、儚げな美貌だと、私は思います。したがって薄幸な役柄では最高の輝きがありましたが、それが実生活では最愛の夫=元・力士でタレントの蔵間との死別が報じられた時の彼女の喪服姿に重なっていたのには、不謹慎ながらゾクゾクするものがありました。現在の彼女は「蔵間」というチャンコ屋を経営しているそうです。で、その彼女は「プレイガール」にもいくつかゲスト出演しており、ついにレギュラー入りしたエピソードが――

第162話おとこ泣かせ裸のヴィーナス」:昭和47(1972)年5月8日放送
 監督:原田雄一
 出演:八代万智子、桑原幸子、深田ミミ
     渡辺やよい、梅宮辰夫、小林裕子、小林千枝、沼田曜一 他

 まず最初のタイトル・ロールがまたまた替わっております。それはビルの一室に黒子が登場、いろいろなセットを組み立てる中で「プレイガール」のメンバーが各々登場、例えば太田きよみと深田ミミは赤ちゃんルックで三輪車、片山由美子はレオタードでフェンシング、西尾三枝子は電気仕掛けの縫いぐるみを作っていたり、八代万智子はミニスカで写真家を気取る等々、シュールっぽい作りですが、まあ、このあたりがいかにも1970年代初頭の雰囲気とご理解下さい。

 そしていよいよ本篇、今回の舞台は八丈島、物語は金塊密輸と時化で死んだと思われていた父親が関係あると知った渡辺やよいが、その陰謀を仕組んだギャング達に復讐を企て、さらに謎の男=梅宮辰夫が絡んできて……、という展開です。「プレイガール」達は偶然にもそこへ遊びに来ていて、渡辺やよいを助けたことから積極的に事件に首を突っ込んでいくというお約束で、ストーリー的にも彼女達が調査や推理をするまでもなく、登場人物達の行動や独白でいろいろな謎、例えば梅宮辰夫と渡辺やよいが生き別れになっていた兄妹だった等々が、勝手にこちらに分かる仕掛けになっており、ちょっと物足りないところです。

 お目当ての美味しい部分は、まず冒頭で水中を泳ぐ海女と2人のビキニ姿の女が登場、その海女が渡辺やよいです。そして場面はそのまま海辺で彼女と2人の女がキャット・ファイトという、個人的には最高に好きな展開になります。ここでのビキニ姿の女は姉妹で、姉を演じているのが小林千枝(こばやしちえ)です。彼女は昭和40年代後半の東映作品に多数出演し、ヤクザの情婦、ストリッパー、ズベ公、売春婦、場末のホステス等々、ほとんどが端役でしたが身体を張った体当たり演技、キャラの濃い面立ち、細身でありながら、かなり質量感のある乳で印象に強く残る女優さんでした。ここでも格闘場面では大股開きで転倒し、何時水着のブラが外れてもおかしくない程の嬉しい動きを見せてくれました。

 渡辺やよいの海女姿はいかにも「海女」という正統派の衣装ですが、どうやらノーブラらしく、乳首の存在を実感出来る場面もあります。このあたりはDVDならではの美しい静止映像でじっくりと確認出来ますので、お楽しみ下さい。ちなみにこの3人による同一シチュエーションの格闘場面は全部で3回、出てくるのが嬉しいところでした。

 肝心の「プレイガール」達のエッチ場面は今回もありませんでしたが、それでも最初の方の船上のデッキにおける深田ミミの超ミニ・ワンピース姿がグッときます。ここでは海風がきつく、当然彼女のスカートが煽られて……、という部分と彼女のムチムチした太腿がとても魅力的です。こうなると恒例の彼女のホットパンツ姿に期待してしまいますが、今回は残念ながらそれが無く、その代わりに渡辺やよいが見せてくれます、しかも縄姿まで!

 物語の方は皆様ご推察のとおり、父親の仇を討った梅宮辰夫はもちろんヤクザ、全ての罪を被って警察に自首する前に妹=渡辺やよいの行く末を「プレイガール」達に託し、彼女がメンバーに加入するというオチになります。

 全体的にはやや安易な展開で、しかもタイアップの関係から矢鱈に八丈島の観光名所・名物が登場しますが、今回のようにゲスト陣が充実しているとやはり引き締まった雰囲気で良く纏まっていると思います。渡辺やよいの演技も流石に素晴らしく、また現在観て嬉しかったのはゲストとして登場した小林裕子(こばやしゆうこ)の存在でした。彼女は梅宮辰夫の同期として東映入社、昭和30年代後半の劇場用作品に多数出演した後、昭和40年代からはテレビを中心に活躍しておられましたが、いずれもそのほとんどがアクション物でした。とにかく彼女の魅力はそのキュートな瞳、脇役ながら皆様もお顔をご覧になればすぐに分かる女優さんだと思います。彼女はこの2〜3年前に結婚され、引退状態だったはずで、久々の出演ではなかったでしょうか。

 あと、余談になりますが、梅宮辰夫は私生活でこの頃に現・夫人との結婚を発表、夏には梅宮アンナが誕生することになるのですが、その所為かどうか、ここでの芝居が妙に物分りが良く、物足りないところでした。仕事上でも「不良番長」や「帝王」といった東映で主役を張っていたシリーズ物が終了し、ポルノに出演したり自分のマネージメント会社がダメになったりする泥沼に嵌まり込んだのも、何か関連があったのでしょうか? その梅宮辰夫が息を吹き返すのが劇場用作品の、例えば「仁義なき戦い(東映・深作欣二監督)」シリーズでのヤクザ役では無く、倉本聡が脚本を書いたテレビドラマ「前略おふくろ様(昭和50〜51年・日本テレビ)」の板前役だったのは、何ともいえないものがあります。

 ということで、劇場用の日本映画はもはや虫の息という状況の中で、テレビドラマは日々充実の度合いを高めて行きます。そして「プレイガール」にも大物レギュラーが続々登場してくるのでした。

(2003.08.31 敬称略・続く)