団地妻・昼下りの情事
監督:西村昭五郎
企画:武田清
脚本:西田一夫
撮影:安藤庄平
音楽:奥沢散作
出演:白川和子(笠井律子)、南条マキ(東山陽子)、浜口竜哉(笠井良平)
■出演:関戸純方(桐村一郎)、美田陽子、前野霜一郎、大泉隆二、小泉郁之助 他

 記念すべきロマンポルノ第1回配給作品です。

 物語は平凡な団地妻=白川和子が、満たされない日々の連続から浮気に走り、さらにそれをネタに売春組織に引きずりこまれ、破滅するまでを描いています。その中のクライマックスは、お客の外人が、実は夫が接待した取引先の重要人物だったというオチで、家庭は崩壊、そして白川和子は売春組織に自分を誘いこんだ南条マキを刺殺するという、下世話な展開になっています。

 主役の白川和子は、この時点までに独立系成人映画に夥しく出演しており、そのキャリアを存分に活かした完璧な演技は、エッチ場面だけでなく、ちょっとした日常の仕草にも、刺激の無い生活に倦怠した人妻の愁いを滲ませて秀逸です。その彼女のプロフィールは――

白川和子(しらかわかずこ)
 長崎県出身で、女子大生の頃から演劇の世界に入りましたが、それは所謂ピンク劇団だったと言われています。そしてその時に、成人映画の鬼才・向井寛にスカウトされ、昭和42年、20歳で独立系作品「女子寮(日本芸術協会・向井寛監督)」でデビュー、所謂「やられ顔」の良さと男心を刺激する声や仕草で、忽ち成人映画の世界で大スタアとなり、日活に引き抜かれるまでに200本近くの作品に出演したと言われています。私はその全てを観たわけではありませんが、確かに、当時の作品を観ると、すでにして彼女の存在感は完成されており、日活がロマンポルノ路線をスタートさせるにあたって彼女を起用したことは、充分に頷けます。つまり白川和子は日活の救世主だったわけですが、その彼女にしても一般に認知されたのは、ロマンポルノでヒット作を連発して以降の事だと思います。ただし、ロマンポルノでの活動は、わずか1年半ほどで、出演作品は20本だけでした。それは昭和48年に引退・結婚されたからですが、そこで堂々の引退作品「実録白川和子・裸の履歴書」を花道としたのは、彼女の存在感の大きさを物語っています。

 という彼女のこの作品での見せ場としては、浴室でシャワーの最中に入ってきた男と戯れるシーンが個人的に大好きです。また電動コケシにコンドームを装着してのオナニーも、なかなか臨場感があります。そして、ちょっと曖昧な記憶ですが、彼女の腋毛も見られたような……♪

 もちろん私がこの作品を観たのは後追いですし、その時には白川和子はすでに引退されていましたが、彼女の人気は不滅の輝きで、オールナイト興行や名画座では頻繁に特集があり、また引退から3年後の昭和51年にカムバックして女優活動を再開した時の歓迎振り等々、まさに「ロマンポルノの女王」を超越した永遠の女神のひとりだと思います。

 ただし私は初めから彼女の魅力に気がついていたわけではありません。むしろ最初は、おばちゃんっぽいなぁ〜、というのが正直な感想でした。しかし彼女の作品を観続けていくうちに、やはり素晴らしい女優さんであることを痛感させられました。そのあたりについては、追々書いていくことにします。

 ということで、この作品は大ヒット、ロマンポルノ路線をまずは軌道に乗せる役割を充分に果したわけですが、その成功は白川和子の魅力に加えて、西村昭五郎監督以下スタッフの力量も見逃せません。おそらく初めて女の裸やセックスを堂々と扱ったであろう現場では、様々な試行錯誤がなされたのでしょうが、そういう情熱を良い方向に活かして作り上げられたこの作品は、当に日活という大手の底力を見せつけたものだと思います。


(2005.09.21 敬称略)