恋狂い
監督:加藤彰
企画:伊藤亮爾
脚本:小早川純(=加藤彰)
撮影:萩原憲治
音楽:奥沢散策
出演:白川和子(矢島火奈子)、葵美津子(上村美代子)、大泉隆二(矢島哲次)
■出演
久遠利三(石黒良三)、横田楊子(石黒栄子)、滝佐太郎(劉)、左京未知子(劉夫人)
■出演:鴨田喜由(産婦人科医師)、浦口拳(ダンプの男)、小田俊彦、山岸恵美子
■出演:浦川アイ 他

 白川和子の日活ロマンポルノにおける2本目の主演作です。

 物語は、長い船旅を終えて帰国した男=大泉隆二が、アパートに戻ってみると待っているはずの妻=白川和子の姿がありません。そこで彼女の行方を探してみると……、というのがメイン・ストーリーですが、それを白川和子の視点を多く取り入れて展開させたという、なかなかロマンポルノの趣旨を大切にした作りになっています。

 もちろんミステリの趣は大切にされていて、共演の葵美津子の的確な演技は言わずもがな、意外なオチもついていますし、哀切のラストも用意されています。このあたりは往年の日活アクション物の味さえ付いているのですが、実は要所に洒落の利いた演出もなされています。

 まず、白川和子が映画館で痴漢にイタズラされる場面で上映されている作品が、日活ニューアクション物の「反逆のメロディ(昭和45年・沢田幸弘監督)」なのです。このあたりは、ロマンポルノに転換した日活に対する未練を残した別れの挨拶とも言えるのではないかと、当時、話題になりました。

 また共演者のひとりである左京未知子(さきょうみちこ)は、白川和子のデビュー作「女子寮」の主演女優であり、そしてこの「恋狂い」が最後の出演になっているという、別れは始まり的な奥深いキャスティングです。ちなみに彼女は、昭和30年代に左京路子の芸名で活躍したグラマー女優で、日活や新東宝で数本出演した後、左京未知子として成人映画の世界に入り、昭和40年代に多くの作品に出演しています。
 
 さらにちょい役で出演している横田楊子(よこたようこ)は、横田陽子として昭和30年代から日活の脇役として有名だった人で、ロマンポルノでも横田楊子と改名して、物語の展開に欠かせない役を演じ、数多くの作品に登場しています。

 肝心の白川和子は、夫の帰りを待ちきれず、肉欲に突き動かされて街を彷徨い、様々な男達と関係を持ちますが、そのひとつひとつが、印象的な演出になっており、例えばダンプの運転手とは、運転台でバック交わるカーセックスをフロントガラス越しに撮った圧迫感のある映像が、濃厚な雰囲気満点です。

 また冴えない中年おやじとのセックスはマグロ状態でこなしますが、終わった後にそのおやじが「お前みたいな良い女と出来て、良かったよ」とシミジミ言いながら彼女に毛布を掛けてやる演出、さらにその場にシワクチャの紙幣が残されている映像等々、とにかく奔放な女の性の虚しさを上手く表現しています。

 セックス場面以外でも、リンゴを齧りながら街を彷徨う白川和子の素敵な佇まい、そしてそのバックに流れる名曲「夜が明けたら / 浅川マキ」の良さも忘れられません。

 おまけに彼女のオナニー場面は最高の興奮度! 全体的に加藤彰監督の観念的な演出も目立ちますが、白川和子を観るなら、まずはこれっ、と私は思います。もちろん彼女のミニスカ姿や腋毛も拝めます♪

(2005.09.26 敬称略)