わたしのSEX白書
絶頂度

 「女」の事は未だにさっぱり分からない私ですが、それでも若かりし頃はいろんな本を読んだり、映画を観たりして、「女」の事を少しは分かったような気持ちになっていた時期もありました。まあ、それも若気の至りというか、現実には痛い目にさんざんあっていたわけですが……。

 そんな中で特に教科書となったのが、ロマンポルノでした。いゃ〜ぁ、「女」って本当に怖いですねぇ〜、という事実を痛感させられたのが――

私のSEX白書 絶頂度(昭和51年2月)
監督:曽根中生
制作:伊地智啓
脚本:白鳥あかね
撮影:萩原憲治
音楽:コスモス・ファクトリー
助監督:中川好久
出演:三井マリア(江藤あけみ)、芹明香(リリィ)
■出演:梓ようこ(看護婦)、益富信孝(坂西)、桑山正一
■出演:村国守平(キヨシ)、神坂ゆずる(マサミ)、五條博
■出演:浜口竜哉(丹野)、花上晃(大石)、影山英俊 他

 まず、私が大好きな三井マリアの主演作というだけで、ワクワクしながら封切日に劇場へ行った記憶は、今も鮮明です。とにかくその清楚なルックスに秘められた情熱的な「女」の魅力は最高で、所謂「男好きのする」タイプなんですねぇ〜♪ はっきり言えば、とても成人映画に出るような感じではなく、何を間違えてこの世界に入ってきたの!? という女優さんが多いロマンポルノ路線の中でも飛びぬけた存在でした。そして結果的に、これが唯一のロマンポルノ出演作であり、この後に健康を害して引退したことを思えば、その価値は絶大! もちろん大名演を披露した傑作となっています。

 その彼女が演じるのは、病院で採血係として働く21歳の江藤あけみという美女の日常で、タイトルロールからして通勤電車の中で痴漢にあう場面がモノクロスチールで映し出されるドキュメント調が、全くニクイところです。実際、彼女のように自然体のフェロモンを発散する美女が満員電車の中にいたら、これは大いに共感出来るところ♪ 些かネタばれになりますが、それをあえてスチールで描く曽根中生監督の思惑は、本篇を観終わった後に不思議な余韻を残します。

 さて劇中の三井マリアは弟・キヨシ=村国守平と運河が見えるアパートで2人暮らし、その近所のマンションに住んでいるのがヤクザの益富信孝で、村国守平は予備校に通いながら、何時の間にかその手伝いをしています。ちなみに益富信孝はストリッパーのリリィ=芹明香のヒモですが、シノギはエロ写真の制作に売春斡旋ということで、そうした登場人物の日常が微熱と退廃の中でジンワリと描かれていきます。

 そんなある日、キヨシの親友・マサミが急病で倒れた事から、当然、姉の働く病院に助けを求める展開の中、何故か弟が姉のことを名前ではなく、「アンタ」と呼ぶんですねぇ。このあたりの違和感には何となくドロドロした予感が漂いますが、案の定というか、実にスケベ心が疼きます♪

 もちろん彼女は病院内で評判の美人、しかも凛とし働いていますから、エリート医師=浜口竜哉からは「面倒をみさせてほしい」と言い寄られ、出入りの給食屋=花上晃とは結婚も考えるほどの仲になっていますが、何故か煮え切りません。まあ、これだけの美貌と滲み出るフェロモンがあれば、不自然ではありませんが……。ちなみに浜口竜哉と飲みに行った店には、この作品の音楽を担当したロックバンド「コスモス・ファクトリー」が出演中で、その和製プログレな歌と演奏が楽しめる場面は貴重です。

 そしてその夜、帰宅した彼女のアパートに訪ねてくるのがヤクザの益富信孝で、弟宛てに置いて行った封筒の中にはエロ写真があるのは「お約束」ながら、それを見た三井マリアが発情してオナニーに耽るところは下世話すぎて、ヤバイほどです。しかもその前の益富信孝との応対では、上にセーターを着ていますが、下はスカートを脱いだガードル姿なんですから、あまりの日常感にゾクゾクさせられます。もちろんドアにはチェーンロックがあるものの、益富信孝のニヤリとした表情が全てを物語っています。

 さらに彼女は明け方になって帰ってきた弟を挑発し、股間に手を伸ばしたあげく、オナニーを見せつけるのですから、たまりません。これには村国守平もタジタジとなって押入れに避難しますが、それにしても三井マリアの淫乱ぶりは怖すぎます。ちなみにこの姉弟について劇中では、その過去も含めて全く説明がありません。ただ何となく他人行儀でありながら、ある部分では自然体でベタベタしている雰囲気が思わせぶりです。

 そういう日常の三井マリアですから、益富信孝がシノギに彼女を使いたがるのは当たり前ですが、この2人の話し合いでは彼女のしたたかさが、その正統派美女の佇まいとは裏腹に強い印象を残し、これが「女」の怖さということでしょう。強面の益富信孝が妙なオトボケを見せてしまうあたりは、曽根中生監督の一筋縄ではいかない演出だと思います。

 もちろん三井マリアは見せ場のセックス場面も熱中度が異様に高く、例えば花上晃との絡みでは「やられ顔」の素晴らしさ、そして終わった後のティッシュの使い方も自然体でエグイ魅力に満ちています。

 また成り行きで手伝う事になった売春では、客の五條博の前で如何にもミエミエの嘘を言いながら、思いっきり乱れた痴態を披露してくれます。

 ちなみにこの作品の撮影現場では三井マリアの熱演が過ぎて、ロマンポルノでは常連の男優達がすべからく煽られ、なかなか体を離そうとしないので、監督から注意を受けていたというエピソードは有名ですが、さもありなん! そのあたりが羨ましくも充分に納得される彼女の存在は素晴らしい限りですから、じっくりとお楽しみ下さい。

 しかし曽根中生監督の演出は全く手が緩まず、エロおやじ=桑山正一と契約では、その運転手も共犯となり、高級な雰囲気の社長室みたいなところで、エグイほどに容赦の無い仕事を強要されます。

 ここは三井マリアほどの美女に強引な「おしゃぶ」でゲロ吐き&ヨダレの垂れ流しという演出が圧巻! 最後には全裸にブーツだけという素敵な姿に剥かれる彼女の姿も素晴らしいと思います。さらに彼女が尿意を訴えればトイレに行かせるはずもなく、運転手の顔におしっこをかけるように命令されるのですから、ゾクゾクしてきます。もちろん彼女は激しく抵抗しますが、必死の我慢も及ばず、ついに立ったままの失禁おもらし♪ 太股を伝って流れ、ブーツを汚していくおしっこ、そして放心する彼女の表情が、実に良い雰囲気です♪ また、一般映画やテレビでもお馴染みの顔というベテラン俳優の桑山正一は、何を演じても上手いですね。全く羨ましい限りです。

 一方、その頃、彼女の弟・キヨシ=村国守平は入院している親友・マサミ=神坂ゆずるを慰めるために看護婦=梓ようこを脅して「手コキ」から「おしゃぶり」を強要させますが、一時は瀕死の重体だった病人ですから、それは無謀なお見舞いということで、容体が急変! ついに帰らぬ人となり……。

 ここは梓ようこの裸が「お約束」ですし、看護婦というコスプレが活かされた成人映画ならではの見せ場でしょう。ちなみに物語の前半では、如何にも曽根中生監督らしい映像処理で梓ようこの透明なコスプレというヌードも拝めますので、これは観てのお楽しみ♪

 こうしてお互いに気が抜けたような自己嫌悪に苛まれた姉弟は、当然の帰結として弟が姉と別れてアパートを出て行きます。もちろん弟の布団の中へ全裸で潜り込んだりする姉という三井マリアは、ますます寄る辺のない気持ちで、行く先は当然、益富信孝とのベッドイン♪

 ここは粘っこい2人の絡み、リアルなディープキスの凄すぎる描写が強烈! 三井マリアの本気度も高く、益富信孝も演技になっていない様子があって、よくもまあ、映倫で切られなかったもんだと思うほどです。

 それはこの場面で部屋に帰ってくる芹明香が思わず嫉妬して2人に水を掛けたり、なきべそで必死に引き離そうとする行動に出ても、三井マリが男を咥え込んで放そうとしない肉体の動きが自然体で脂っこく、また益富信孝も腰の動きがヤバ過ぎるんですねぇ〜。名演を超えた大名演というべきでしょう。

 同時にここでの芹明香も素晴らしい女の演技を披露! 益富信孝から商売ネタ用に写真を撮るよう命令され、半泣きでカメラを構えて撮ったポラロイドは観てのお楽しみながら、実に素直な彼女の気持ちが、そこはかとない和みのオチとなるのです。これが映画の魅力でしょうね♪

 いゃ〜、それにしても本当に三井マリアの淫乱な脂っこさを堪能出来る名作です。俗にお堅い女ほどスケベ度が高いとか云われますが、曽根中生監督の演出は、そのあたりを完全に使いきった潔さがあって痛快です。というよりも、やっぱり三井マリアの魅力に乾杯♪

 物語としては何故、彼女が弟に淫乱な行為をするのか、あるいはどうしてヤクザと組んで売春をやってしまうのか、全く説明されず、それは観ている側のスケベ心にお任せという妄想刺激型の展開ですが、それが如何にも当時のロマンポルノとして成功しています。

 出演者では自堕落でいながら、実は可愛い女の芹明香が、普段は真面目なカタギの三井マリアとは対照的な存在として登場しています。しかしヒモの益富信孝を精一杯助けて健気に生きているあたりが意味深で、やっはりお堅い美女はドスケベなのか!? なんて若かりし頃のサイケおやじは思い込んでいたのですが、結論は未だに……。

 ということで、三井マリアのクールな佇まいと情欲の熱中度の高さが必見の名作です。残念ながら彼女は、これひとつの主演作でリタイアしていますが、病魔がなければ間違いなくロマンポルノのエース女優になれたはずですし、一般作品でも優れた演技を披露していたはずと、私は思います。その意味で、この作品は大切な宝物♪

 あと、最後になりましたが、劇伴サントラを全面的に担当したコスモス・ファクトリーの演奏もツボ♪ サイケ&プログレやファンキーなインスト、効果音っぽい部分も含めて、なかなか深い味わいがあるのでした。

 皆様にはぜひともご覧いただきとうございます。

(2008.09.02 敬称略)