the rolling stones song chornicled
転石音盤史
1964 part 23

■Not Fade Away / Litlle By Little (Decca F11845:mono)
発売日:1964年2月21日(英)
 ストーンズの3枚目のシングル盤は、A面がイギリスのチャートで3位まで上がる大ヒットになりました。日本では彼等のデビュー第2弾として昭和39(1964)年5月15日に発売されています。

Not Fade Away : original mono-mix
作者:Norman Petty & Charles Hardin Holley
製作:Andrew Oldham with Phil Spector
録音:1964年2月、ロンドンのリージェント・スタジオ
共演:Phil Spector (per), Gene Pitney, Alan Clarke & Graham Nash
 飛行機事故で早世した天才ロッカーのバディ・ホリー:Buddy Holly が、1957年に発表した曲のカバーですが、ストーンズはオリジナルよりもビート感を極度に強めて演奏しています。その元ネタは、アメリカの黒人R&B歌手=ボー・ディドリー:Bo Diddley のスタイルによるものですが、実はバディ・ホリーがそれを白人的にパクッていたので、ここでは先祖がえりという結果になりました。
 それにしても、この演奏のインパクトは大! キース・リチャーズの12弦リズムギター、ブライアン・ジョーンズの鋭いハーモニカ、黒いシンコペーションで強烈なグルーヴを弾き出しているビル・ワイマンとチャーリー・ワッツのリズム・コンビ、さらには執拗な手拍子に支えられ、ミック・ジャガーは粘っこくシャウトしています。
 オリジナルのボー・ディドリー・ビートはジャングル・ビートと称されるほど、原始のリズムが幾様にも複雑に絡み合って、強烈なポリリズムを発散させていましたが、ストーンズはそこへ現代のフラストレーションを持ち込んだような、ヒステリックな青春の情熱ビート! この頃から、ストーンズのステージでは暴動が頻発していきますが、この曲あたりが引金だったのでしょうか? 当にロックとしか言いようの無い、素晴らしい出来だと思います。
 ちなみにこの曲にはフィル・スペクターがマラカスで参加し、他にも当時のアメリカの人気歌手だったジーン・ピットニー、イギリスで人気急上昇中だったホリーズ:The Holllies のメンバーであるアラン・クラークとグラハム・ナッシュが現場に居たとされています。後の3人が何を演じていたのかは不明ですが、フィル・スペクターが熱狂的に振りまくるマラカスは、この曲の重要なアクセントで、実はボー・ディドリーが生み出すヒット曲のほとんどが、このマラカスをビートの要にしていたのですから、さもありなんです。
 ちなみにフィル・スペクターはアンドルー・オールダムの手引きで、この年の1月6日から開始されていたロネッツ:The Ronettes のイギリス巡業のために渡英していたもので、そのコンサートで一緒にパッケージされていたストーンズに興味を抱いての参加だったのでしょうか? もちろんアンドルー・オールダムとの繋がりは無視出来ませんが……。またフィル・スペクターは、ビートルズが翌月に渡米する際の飛行機にも同乗していますが、やはりこの当時の英国ビート・グループには感心があったのでしょうねぇ……。
 そして前述したように、この曲は3月末にはチャート3位の大ヒツトになりました。このシングル盤以外の主な収録は以下のとおりです。
●Not Fade Away / I Wanna Be Your Man (London 9657 = US 7"Single)
●ノット・フェイド・アウェイ / リトル・バイ・リトル (キング HIT346 = JP 7"Single)
●England's Newest Hit Makers (London LL3375 = US 12"LP:mono)
●England's Newest Hit Makers = CD
●Big Hits (London NP1 = US Compilatino 12"LP:mono)
●Big Hits (US Compilatino) = CD
●Big Hits (Decca TXL101 = UK Compilatino 12"LP:mono)
●Decca Single Collection (Decca STONES-1/12 = UK 7"Single x 12)
●More Hot Rocks (London PS262/7 = US Compilatino 12"LP x 2)
●More Hot Rocks = CD
●Single Collection - The London Years = CD
●Singles 1963 - 1965 = CD

Litlle By Little : original mono-mix
作者:Nanker Phelge & Phil Spector
製作:Andrew Oldham with Phil Spector
録音:1964年2月、ロンドンのリージェント・スタジオ
共演:Phil Spector (per), Gene Pitney (p)
 ストーンズのメンバー全員 = Nanker Phelge とフィル・スペクターの共作ということになっていますが、実はアメリカの黒人ブルースマンであるジミー・リード:Jimmy Reed の代表曲「Shame,Shame,Shame」のパクリであることが、現在では半ば公然の事実となっています。
 ストーンズの音作りの基本のひとつに、2本のギターの絡みがありますが、その元ネタはジミー・リードが1950年代に発表していた楽曲の数々で、下積み時代のストーンズでは、ブライアン・ジョーンズとキース・リチャーズがそのコピーを延々と練習していたそうです。
 ここではその成果が存分に発揮され、時にチャック・ベリー風なソロに走るキース・リチャーズではありますが、間奏部分のギターの絡みはカッコ良さに溢れています。するとハーモニカはミック・ジャガーでしょうか? それとロックンロールするビル・ワイマンのベースが印象的で、この曲をストーンズのオリジナルと認めさせる働きをしています。
 このシングル盤以外の主な収録は以下のとおりです。
●ノット・フェイド・アウェイ / リトル・バイ・リトル (キング HIT346 = JP 7"Single)
●The Rolling Stones (Decca LK4605 = UK 12"LP)
●England's Newest Hit Makers (London LL3375 = US 12"LP:mono)
●England's Newest Hit Makers = CD
●Decca Single Collection (Decca STONES-1/12 = UK 7"Single x 12)
●Single Collection - The London Years = CD
●Singles 1963 - 1965 = CD

Not Fade Away / I Wanna Be Your Man (London 9657:mono)
発売日:1964年3月26日(米)
 アメリカでの実質的なデビュー盤です。本来はAB面が逆だったと言われていますが、もし「I Wanna Be Your Man」をA面にすると、当時、全米で猛威を振るっていたビートルズにあやかったとされる点を考慮した会社側の判断だとされています。
 肝心のヒット状況は、A面曲の「Not Fade Away」が1964年7月に48位にランクされています。


参考文献:「ローリング・ストーズ・クロニクル / マッシモ・ボナンノ著」

(2006.05.30 敬称略・続く)