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■Little Red Rooster / Off The Hook (Decca
F12014:mono)
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発売日:1964年11月13日(英)
発売日:1965年2月1日(日)= キング HIT-440 (画像掲載) イギリスでは5枚目のシングル盤で、A面曲はカバーの真正ブルースながら、前作に続いてまたまたチャート1位の大ヒットになりました。またB面曲はストーンズのオリジナルで、これもブルース〜R&B風味に満ちた演奏になっています。 ところがアメリカでは、あまりにも黒人っぽいということで、両曲ともシングルとしての発売は見送られています。このあたりは当時のアメリカの社会事情が浮彫りで、つまりポップスのレコードの主な購買層であった白人の若者達に対する大人の思惑が、見え隠れしているわけです。
★Little
Red Rooster : original mono-mix
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作者:Willie Dixon 製作:Andrew Oldham with Willie
Dixon 録音:1964年11月5-8日、米国、シカゴのチェス・スタジオ ストーンズは2度目のアメリカ巡業を行った1964年秋、再びシカゴのチェス・スタジオを訪れてレコーディングをしていますが、そこで完成させた純粋なブルースがこれです。 オリジナルはブルース界の雄=ハウリン・ウルフ:Howlin'
Wolf
が1961年に同じスタジオで吹き込んだ名作で、その作者のウィリー・ディクソンが、このストーンズの録音現場に立ち会うという恐ろしさです。 そのオリジナルはハウリン・ウルフの凄みのあるボーカルとギスギスしたスライドギターが強烈な印象でしたが、ストーンズの演奏はブライアン・ジョーンズのまろやかで深みのあるスライドギターを要に、ミック・ジャガーがレイジーな黒っぽい語り口という、今聴けば白人らしさが隠しようもない仕上がりですが、当時としてはディープな演奏だと思います。特にブライアン・ジョーンズのスライドギターはオリジナル演奏のフレーズを参考にしているとはいえ、その豊かな響きは最高♪ ちなみにストーンズは翌年5月にアメリカの人気テレビ番組「エド・サリヴァン・ショウ」に出演した際にこの曲を演奏、観客を陶酔させています。 ところでこの曲の録音日は様々な記録から1964年11月5-8日とされていますが、レコードの発売日がそれから僅か5日後! いくら英国先行とはいえ、これは超特急の仕事です。その所為か、この曲は2006年6月現在でもリアル・ステレオ・バージョンの存在が確認されていません。つまりチェス・スタジオで録音されたマスターは、後に同じスタジオで製作されたストーンの楽曲がリアル・ステレオ・バージョンで発掘・発売されていることから、もちろん4チャンネル以上のマルチトラックだったはずです。しかし多分、こうした急ぎ仕事で、この曲だけがモノラル・マスターにされてしまったと推察しております。 このシングル盤以外の主な収録は以下のとおりです。
●リトル・レッド・ルースター / オフ・ザ・フック (キング HIT-440 = JP 7"Single) ●The Rolling Stones, Now ! (London
LL3420 = US 12"LP:mono) ●The Rolling Stones, Now ! = CD ●Big Hits (Decca
TXL101 = UK Compilatino 12"LP:mono) ●Decca Single Collection (Decca
STONES-1/12 = UK 7"Single x 12) ●Single Collection - The London Years =
CD ●Singles 1963 - 1965 = CD
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★Off The Hook : original mono-mix
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作者:Nanker Phelge 製作:Andrew
Oldham 録音:1964年5月、ロンドンのリージェント・スタジオ ブルースやR&Bの美味しい部分を抽出してストーンズなりに作り変えた名曲です。当時の彼等としては軽さが目立つ演奏ではありますが、この「軽さ」がクセモノで、チープなリードギターの響きに誘われ、つい、いっしょに歌いたくなる楽しさがあります。 ちなみにこの曲を録音していた1964年5月のストーンズは国内巡業の真っ最中、さらに続けて6月からは初のアメリカ巡業、そして帰国後にはテレビ・ラジオ出演に加えて巡業もあるという過酷なスケジュールになっていました。おまけに肝心のライブステージでは暴動で死傷者が出たり、逮捕者も続出という不祥事が頻発し、ストーンズはその音楽性よりも、そうした騒ぎばかりが報道されていくことになります。 しかしそれをマイナス・イメージにしないところが、マネージャーのアンドルー・オールダムの策略で、批判が強まるほどにストーンズの集客力は強まっていくのでした。 そしてそんな中で、よりポップにいっしょに歌えるような曲を作ろうとしていた彼等の姿勢が表れたのが、この曲かもしれないと、私は妄想しているのですが……。 このシングル盤以外の主な収録は以下のとおりです。
●リトル・レッド・ルースター / オフ・ザ・フック (キング HIT-440 = JP 7"Single) ●The Rolling Stones No.2 (Decca LK4661
= UK 12"LP) ●The Rolling Stones, Now ! (London LL3420 = US
12"LP:mono) ●The Rolling Stones, Now ! = CD ●Decca Single Collection
(Decca STONES-1/12 = UK 7"Single x 12) ●Single Collection - The London Years
= CD ●Singles 1963 - 1965 = CD
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■Heart Of Stone / What A Shame (London
9725:mono)
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発売日:1964年12月(米)
発売日:1965年3月1日(日)= キング HIT-462 (画像掲載) アメリカ独自で発売されたシングル盤で、両面ともに非常に黒いフィーリングに満ちています。そして何でこれがOKで、先の「Little Red
Rooster / Off The
Hook」のカップリング盤が拒否されたのか? 不思議なんですが、おそらく歌詞の問題ではなかろうか、と思います。黒人ブルースは比喩的に卑猥な内容を含んでいますので……。ちなみにこちらは両面ともにストーンズの完全オリジナルです。 まあ、それはそれとして、A面曲は、翌年2月にチャート19位のヒットになっています。 また、日本では昭和40(1965)年3月に発売されました。
★Heart
Of Stone : original mono-mix
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作者:Mick Jagger & Keith Richards 製作:Andrew
Oldham with Jack Nitzsche & Dave
Hassinger 録音:1964年10月27日&11月2日、ハリウッドのRCAスタジオ ストーンズは2度目のアメリカ巡業の際にも現地でレコーディングを敢行していますが、この曲は当時の最新設備を備えていたRCAスタジオでの録音セッションで製作されました。 ここで重要なのが、ジャック・ニッチェという革新的な売れっ子アレンジャーとの邂逅で、実はこの人はストーンズとは既に接点が出来ていたフィル・スペクターの盟友として、多くのヒット曲作りに関わっています。 もちろん、その他のセッションにも引く手数多で、イギリスの業界でもその手腕は認識されていたようです。 ストーンズとの実質的な関わりはこれが最初でしょうが、その役割はキッチリした製作過程の主導でした。つまり黒人音楽を基礎としたストーンズは、その場でのヘッドアレンジが多く、それは自然体のグルーヴとしてストーンズの魅力になっているわけですが、常にビートルズを意識していた彼等にしてみれば、ビートルズにおけるプロデューサーのジョージ・マーティン:George
Martin
のような役割をジャック・ニッチェに求めていた、という推測が今では定説になっています。 実際、ストーンズはこれ以降、渡米の都度、RCAスタジオでセッションを行いますが、そこで製作された楽曲は、黒人音楽と白人ポップスが絶妙にブレンドされたものに変化していきます。そしてもちろん、それらは全く新しいロックとして、ストーンズの世界的な大ブレイクに直結していくのでした。 で、この曲は、良く練られたギターアレンジ、浮遊感のある「ウゥ〜」というファルセットのコーラス、タンブリンでキメのビートが強調されるリズムアレンジが上手く纏まり、切々としたスローな曲調ながら、必要上に力まないミック・ジャガーのボーカルを盛り立てているという、白人R&Bの完成形のひとつだと思います。 ちなみにCD化されたこの曲は、ほとんどがリアルステレオ・バージョンになっていますが、オリジナルはあくまでもモノラル・バージョンです。しかも1986年にアメリカで発売された2枚組CD「Hot Rocks」や1989年に発売された3枚組CD「Single
Collection」には、イントロだけがステレオという不思議なバージョンが収められていますので、CDで蒐集される際は要注意! このシングル盤以外でのモノラル・バージョンの主な収録は、以下のとおりです。
●ハート・オブ・ストーン / ホワット・ア・シェイム (キング HIT-462 = JP 7"Single) ●The Rolliing Stones, Now ! (London
LL3420 = US 12"LP:mono) ●Out Of Our Heads (Decca LK4733 = UK
12"LP:mono) ●Big Hits (London NP1 = US Compilatino 12"LP:mono) ●Big Hits
(Decca TXL101 = UK Compilatino 12"LP:mono) ●Hot Rocks (London PS606/7 = US
Compilatino 12"LP x 2) ●Single Collection - The London Years =
2002年リマスターのCD ●Singles 1963 - 1965 = CD
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★What A Shame (single version) : original
mono-mix |
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作者:Mick Jagger & Keith Richards 製作:Andrew Oldham with Willie
Dixon 録音:1964年11月5-8日、米国、シカゴのチェス・スタジオ 共演:Ian Stewart
(p) イントロからブライアン・ジョーンズの素晴らしいスライドギターが唸る、ストーンズ流儀のブルースロックです。もちろん2本のギターの絡みもツボを押さえていますし、ミック・ジャガーのボーカルの素直な熱気、ヘタウマなハーモニカも憎めません。 こういうオリジナル曲をブルースの本場、シカゴで録音してしまうストーンズの憧れ症候群は、後々まで継承されていきますが、この曲はその中でも傑出した出来栄えだと思います。 ちなみにここで発表されたのはシングル・バージョンで、アルバム・バージョンよりもフェードアウトが早くなっていますので、これも要注意! いろいろと現行CDを聞き比べましたが、厳密な意味でのCD復刻は無いのでは? このシングル盤以外での主な収録は、以下のとおりです。 ●ハート・オブ・ストーン
/ ホワット・ア・シェイム (キング HIT462 = JP
7"Single)
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参考文献:「ローリング・ストーズ・クロニクル / マッシモ・ボナンノ著」
参考文献:「ノット・フェイド・アウェイ /
ジェフリー・ジュリアーノ著」
(2006.07.06 敬称略・続く) |
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