the rolling stones song chornicled
転石音盤史
1965 part 13

■The Rolling Stones No.2 (Decca LK4661:mono)
発売日:1965年1月16日(英)
A-1 Everybody Needs Somebody To Love (long version)
A-2 Down Home Girl
A-3 You Can't Catch Me
A-4 Time Is On My Side (guitar intro version)
A-5 What A Shame (album version)
A-6 Grown Up Wrong
B-1 Down The Road Apiece
B-2 Under The Boardwalk
B-3 I Can't Be Satisfied
B-4 Pain In My Heart
B-5 Off The Hook
B-6 Susie Q
 ストーンズのイギリスにおける 2nd アルバムで、モノラル盤しか存在していません。ジャケットはアメリカでのアルバム「12×5」に準じていますが、イギリスでの1st アルバム同様、ジャケットにはグループ名すら入れておらず、しかもミック・ジャガーが一番後ろというのが、また凄いところです。
 肝心の内容は「A-6」「B-2」「B-6」の3曲が、前述したアメリカでの 2nd アルバム「12×5」で、また「A-4」「A-5」「B-5」はシングル盤として既に発表されていたものですが、ここで初出の7曲もそれらと同様に、ストーンズならではの黒いフィーリングが存分に発揮された名演ばかり♪ しかも微細な違いとはいえ「A-5」はアルバム・バージョンとなっていますし、「A-4」はアメリカで発売されたシングル盤とは完全に違うテイクが使われています。
 ですから素晴らしい出来栄えなのは言わずもがな、チャートでも1位の大ヒットになりました。
 ただし残念ながら、現行ではこの仕様よるCDは廃盤状態……。ジャケット&曲の流れが最高ですし、ここでしか聴けないバージョンもありますので、早急な復刻を望みたいところです。

Everybody Needs Somebody To Love (long version) : original mono-mix
作者:Solomon Burke, Bert Russel & Jerry Wexer
製作:Andrew Oldham with Willie Dixon
録音:1964年11月5-8日、米国、シカゴのチェス・スタジオ
 アメリカの黒人R&B歌手=ソロモン・バークが自作自演して1964年夏に大ヒットさせた名曲にストーンズは果敢にチャレンジしていますが、ミック・ジャガーのボーカルが完全にオリジナルに負けているという指摘は、酷です。
 それよりもここでは、黒人R&B感覚を如何にして白人ギターバンドに応用するかという努力を楽しむべきで、完全には上手くいっていないにしろ、粘っこいノリが憎めない仕上がりだと思います。
 ちなみにこれはロング・バージョンで、このアルバム以外の主な収録は以下のとおりです。
●The Rolling Stones, Now ! = 1986年リマスターのCD
●More Hot Rocks = 2002年リマスターのCD
●Singles 1968 - 1971 = CD

Down Home Girl : original mono-mix
作者:Jerry Lieber & Mike Stoller
製作:Andrew Oldham with Jack Nitzsche & Dave Hassinger
録音:1964年10月27日&11月2日、ハリウッドのRCAスタジオ
共演:Jack Nitzsche (p)
 ニューオリンズを中心に活動していたアルヴィン・ロビンソン:Alvin Robinson の十八番ネタらしいですが、私はもちろん、このストーンズのバージョンが初聴きで、忽ち、その軽い黒っぽさの虜になりました。特にミック・ジャガーの粘っこいコブシ、8ビートに拘るチャーリー・ワッツのドラムスと2本のギターの絡み、その空間で唯我独尊のビル・ワイマンのベースが不思議な化学変化を起こしているようです。さらにミック・ジャガーのヘタウマ・ハーモニカも良い味♪ これぞストーンズという名演だと思います。
 このアルバム以外の主な収録は以下のとおりです。
●The Rolling Stones, Now ! (London LL3420 = US 12"LP:mono)
●The Rolling Stones, Now ! = CD

You Can't Catch Me : original mono-mix
作者:Chuck Berry
製作:Andrew Oldham with Willie Dixon
録音:1964年11月5-8日、米国、シカゴのチェス・スタジオ
 ストーンズが尊敬するチャック・ベリーが1955年に発表した、というよりも、現代ではビートルズ時代のジョン・レノンが作った「Come Together」の元ネタにされたという歴史的名曲です。
 まあ、それはそれとして、このストーンズのカバーはオリジナルのチャック・ベリー・バージョンを徹底コピーしており、特にチャーリー・ワッツのドラムスはモロですし、キース・リチャーズのギターは言わずもがなのチャック・ベリー節が全開という、憎めない出来になっています。
 このアルバム以外の主な収録は以下のとおりです。
●The Rolling Stones, Now ! (London LL3420 = US 12"LP:mono)
●The Rolling Stones, Now ! = CD

Time Is On My Side (guitar intro version) : original mono-mix
作者:Norman Meade
製作:Andrew Oldham
録音:1964年11月5-8日、米国、シカゴのチェス・スタジオ
共演:Ian Stewart (org)
 既にアメリカではシングル盤として発表されていた曲ですが、ここでは完全なテイク違いとして、通称「Guitar Intro Version」と呼ばれるとおり、イアン・スチュアートのオルガンに加えてギターがイントロを飾るバージョンになっています。
 その演奏はシングル盤の演奏=「organ intro version」に比べて、より粘っこく、当にストーンズならでは魅力が全開していると思います。
 ちなみに、このテイクも近年はリアル・ステレオ・バージョンが優先的にCD化されておりますが、オリジナルはあくまでもモノラル・バージョン! このアルバム以外の主な収録は以下のとおりです。
●Big Hits (London NP1 = US Compilatino 12"LP:mono)
●Big Hits (Decca TXL101 = UK Compilatino 12"LP:mono)
●Hot Rocks (London PS606/7 = US Compilatino 12"LP x 2)
●Hot Rocks = 1986年リマスターのUS盤CD
●Single Collection - The London Years = 1989年リマスターのCD

What A Shame (album version) : original mono-mix
作者:Mick Jagger & Keith Richards
製作:Andrew Oldham with Willie Dixon
録音:1964年11月5-8日、米国、シカゴのチェス・スタジオ
共演:Ian Stewart (p)
 既に述べたように、アルバム・バージョンですが、その違いはシングル・バージョンに比べてフェードアウトが少しばかり長いだけです。しかしこういう部分が気になるのがファンの習性とでも申しましょうか、けっして蔑ろには出来ないのです。
 そしてこの曲もまた、近年のCD化に際してステレオ・バージョンが優先されていますが、オリジナルはあくまでもモノラル・バージョン! このアルバム以外の主な収録は以下のとおりです。
●The Rolling Stones, Now ! (London LL3420 = US 12"LP:mono)
●Single Collection - The London Years = CD
●Singles 1963 - 1965 = CD

Down The Road Apiece : original mono-mix
作者:Don Ray
製作:Andrew Oldham with Willie Dixon & Chuck Berry
録音:1964年11月5-8日、米国、シカゴのチェス・スタジオ
共演:Ian Stewart (p)
 ストーンが十八番のチャック・ペリー・スタイルのR&R♪ もちろんカバーですが、オリジナルはチャック・ベリーでは無く、古いブギウギブルースをチャック・ベリーが自分流に焼き直し、ストーンズがそれを真似たというのが真相です。
 その演奏は早いテンポでイアン・スチュアートの弾くブギウギピアノが爽快ですし、キース・リチャーズが得意のチャック・ベリーをモロ出しにしたギターで大活躍! 何度聴いても痛快なR&Rに仕上げています。
 ちなみにこの曲のセッション現場には、その御大=チャック・ベリーが立ち会っており、いろいろとアドバイスを与えていたというのは、今や推察を通り越した伝説になっていますが、その出来には両者共に満足したと言われています。
 またこの曲も近年はステレオ・バージョンが一般化していますが、オリジナルはあくまでもモノラル・バージョン! このアルバム以外の主な収録は以下のとおりです。
●The Rolling Stones, Now ! (London LL3420 = US 12"LP:mono)

I Can't Be Satisfied : original mono-mix
作者:Muddy Waters
製作:Andrew Oldham with Willie Dixon & Muddy Waters
録音:1964年11月5-8日、米国、シカゴのチェス・スタジオ
 オリジナルはシカゴブルースの大御所であるマディ・ウォーターズが、自身のスタイルを確立させた自作自演の歴史的名曲・名演で、ストーンズは畏敬の念をこめてカバーしています。
 その主役はブライアン・ジョーンズの素晴らしいスライド・ギター! マディ・ウォーターズのオリジナル・バージョンでは幾分ギスギスしたところがキメになっていましたが、ここでは滑らかな唸りが新たな魅力になっており、何度聴いても、その怖ろしいまでの感性には圧倒されてしまいます。
 また全体のアレンジも完璧で、ベースパートも含むギターの絡み、さらに深いところで蠢くビル・ワイマンのベース、冷静なチャーリー・ワッツのドラムス、そして猥雑なミック・ジャガーのボーカル、さらに全体にかかった絶妙なエコー♪ 最高です。
 ちなみにこの曲のセッションにも、本家のマディ・ウォーターズが立ち会っていたとされていますが、それに臆することなく、これだけの名演を残したストーンズのクソ度胸には感服する他はありません。
  そしてこの曲もまた、オリジナルはあくまでもモノラル・バージョン! しかし残念ながら、近年はステレオ・バージョンが一般化していますので、このアルバム以外では聴くことが難しくなっています。

Pain In My Heart : original mono-mix
作者:Naomi Neville & Otis Redding
製作:Andrew Oldham with Jack Nitzsche & Dave Hassinger
録音:1964年10月27日&11月2日、ハリウッドのRCAスタジオ
共演:Jack Nitzsche (key)
 不世出の天才ソウル歌手=オーティス・レディング:Otis Redding が一世一代の熱唱で1964年2月にヒットさせた名曲のカバーです。今思うと怖ろしい企画ですが、ミック・ジャガーのボーカルは素晴らしいの一言! これはもう、ロックというよりもブルーアイド・ソウルです。
 バックの演奏も粘っこく、ソウル味は満点ですが、ちなみにアメリカ南部産のR&Bは、このオーティス・レディングのものも含めて、その大部分の伴奏が白人によるものでしたから、ストーンズの演奏も、さもありなん♪ 当時の黒人R&Bのレコードを聴きまくっていた彼等の憧れが分かるトラックだと思います。
 またここで聴かれるピアノはジャック・ニッチェの演奏ですが、正確にはピアノでは無く、子供用のピアノに増幅器を取り付けた Nitzsche-phone という独自のものだとされています。
 このアルバム以外の主な収録は以下のとおりです。
●The Rolling Stones, Now ! (London LL3420 = US 12"LP:mono)
●The Rolling Stones, Now ! = CD


参考文献:「ローリング・ストーズ・クロニクル / マッシモ・ボナンノ著」
参考文献:「ノット・フェイド・アウェイ / ジェフリー・ジュリアーノ著」

(2006.07.09 敬称略・続く)