the rolling stones song chornicled
転石音盤史
1965 part 43

■Got Live If You Want It ! (Decca DFE8620 = UK 7"EP:mono)
発売日:1965年6月11日(英)
A-1 We Want The Stones
A-2 Everybody Needs Somebody To Love 〜 Pain In My Heart
A-3 Route 66
B-1 I'm Movin' On
B-2 I'm Alright
 ストーンズ初の公式ライブ盤は、英国先行発売のEPでした。内容は1965年春のイギリス巡業で録音された音源から厳選してあり、彼等にしては珍しく、一切のオーバーダビングをしていないと言われていますが、諸説はあるにしろ、これはそのまま信じても良いと思います。
 ちなみに録音エンジニアは数々のロックの名盤に関わり、後に歴史上の人物となるグリン・ジョンズ:Glyn Johns で、貧弱な機材しか無かった当時としては見事ほどに骨太なロックの音を作り出しているのは、流石! 迫力の演奏と観客の熱狂が渾然一体に記録され、興奮のルツボと化した会場の雰囲気、狂乱のステージが最高の状態で味わえると思います。
 もちろん全曲がモノラル仕様ですが、ジャケットも秀逸で、なんとブライアンジョーンズの写真が「裏焼き」という物凄さ!
 日本では「ウィー・ウォント・ストーンズ実況録音盤」のタイトルで発売されていますが、何故か「Route 66」が収録されていません。
 またアメリカでは、この仕様での発売は無く、音源だけが独自編集されたLPに流用収録されたのですが、拍手や歓声が分断されてしまい、ライブ録音としての醍醐味が薄れています。
 そこで気になるこの形態でのCD復刻は「Singles 1963 - 1965」というボックスセットに、このEPをそのまんま紙ジャケット仕様に模して収められています。そして結論から言うと、この音源を集めるためには、件のボックスセットを入手するのがベスト! 全くそのためだけに存在するブツ、と言い切ってしまいます。

We Want The Stones
作者:Nanker Phelge
製作:Andrew Oldham
録音:1965年3月7日、マンチェスターのパレス劇場でのライブ録音
 きちんと作者が示され、楽曲登録されているトラックですが、これは史上最もリスナーをバカにした演奏で、否、実は演奏ではなく、観客が「We Want The Stones」と声を合わせて叫んでいるだけの録音です!
 これも印税稼ぎなんでしょうが、呆れ果てを通り越して、如何にもストーンズらしい……。と言うよりも、アンドルー・オールダムの悪企みなんでしょうねぇ。
 ただし、この盛り上がりがあって次の曲が始まるあたりは、コンサートの興奮をダイレクトに再現しているという点で、評価出来ます。
 このEP以外の以外の主な収録は以下のとおりです。
●ウィー・ウォント・ストーンズ実況録音盤 (キング 17M-101 = JP 7"EP)
●Singles 1963 - 1965 = CD

Everybody Needs Somebody To Love 〜 Pain In My Heart : original mono-mix
作者:Solomon Burke, Bert Russel & Jerry Wexer / Naomi Neville & Otis Redding
製作:Andrew Oldham
録音:1965年3月7日、マンチェスターのパレス劇場でのライブ録音
 当時のストーンズが演目にしていたR&Bのカバーですが、メドレー形式にアレンジしてあるのがミソです。
 まずキャーキャー、ワーワーという観客の熱狂の中で、叩きつけるようなビートでサワリだけが短く演奏される「Everybody Needs Somebody To Love」に続けてグッとテンポを落とし、粘っこく聴かせるのが「Pain In My Heart」という構成です。
 強烈なエネルギーに満ちた前者も良いのですが、一転して魂の歌を聴かせる後者の素晴らしさは別格で、多分ブライアン・ジョーンズが弾いていると思われる、粘っこい8 / 6拍子のアルペジオのギターを要にしたソリッドな演奏が、ミック・ジャガーのボーカルを盛り立てていますし、ドラムスの重さも特筆物! ブレイクでの観客の熱狂にも共感出来ます。
 ちなみにこの両曲のスタジオ録音バージョンは共にイギリス盤アルバム「No.2」、あるいはアメリカ盤アルバム「ローリング・ストーンズ・ナウ !」に収録されていますので、聴き比べてみるのも一興ですが、このメドレーを聴くと、あたらめてライブにおけるストーンズの魅力の虜になってしまいます。
 このEP以外の以外の主な収録は以下のとおりです。
●ウィー・ウォント・ストーンズ実況録音盤 (キング 17M-101 = JP 7"EP)
●Singles 1963 - 1965 = CD

Route 66 : original mono-mix
作者:Bobby Troup
製作:Andrew Oldham
録音:1965年3月、イギリス巡業でのライブ録音
 デビューアルバムでも演じていたストーンズが十八番のライブバージョンで、もちろん大ロックンロール大会♪ キース・リチャーズのギターが大活躍しますが、やや危なっかしいところが逆にライブならではの魅力になっています。またビル・ワイマンのベースも密かに大暴れ!
 また前曲に引き続いての観客の大騒ぎが本当にリアルで、これはグリン・ジョンズの分かっている録音とミックスの賜物でしょう。本当に最高です。
 ちなみにこのバージョンは、1965年11月に発売されるアメリカ盤LP「ディッセンバーズ・チルドレン」に流用収録されますが、すでに述べたように観客の拍手や歓声が、それゆえに分断されているのが残念無念……。
 このEP以外の以外の主な収録は以下のとおりです。
●Singles 1963 - 1965 = CD
●December's Children (London LL3451 = US 12"LP:mono)
●December's Children = CD

I'm Movin' On : original mono-mix
作者:Hank Snow
製作:Andrew Oldham
録音:1965年3月、イギリス巡業でのライブ録音
 アメリカの偉大なカントリー&ウェスタン歌手=ハンク・スノウのオリジナル曲で、1950年頃にヒットしたらしいのですが、その後、多くのカバーバージョンが吹き込まれた人気曲です。
 ストーンズでは今日、キース・リチャーズのカントリー&ウェスタン好きが有名になっていますが、その端緒を示す選曲&演奏かもしれません。ただし完全コピーでは無く、一説にはレイ・チャールズのR&Bバージョンを参考にしているとか!
 とにかくここではブライアン・ジョーンズのスライドギターが最高にカッコ良く、バンド全体をグイグイとリード♪ ビル・ワイマンのベースもブリブリとドライブしていますし、ミック・ジャガーの猥雑なボーカルとハーモニカも絶品で、当にライブバンドとしてのストーンズが実力発揮の演奏だと思います。もちろん会場は興奮のルツボ!
 このEP以外の以外の主な収録は以下のとおりです。
●ウィー・ウォント・ストーンズ実況録音盤 (キング 17M-101 = JP 7"EP)
●Singles 1963 - 1965 = CD
●December's Children (London LL3451 = US 12"LP:mono)
●December's Children = CD

I'm Alright : original mono-mix
作者:Nanker Phelge
製作:Andrew Oldham
録音:1965年3月、イギリス巡業でのライブ録音
 ストーンズのメンバー全員の共作名義になっていますが、実は彼等が畏敬の念を抱くアメリカのR&B歌手=ボー・ディドリー:Bo Diddley の演目をパクッたものです。ただし、そのオリジナルとされる演奏は即興的な部分が強く、ストーンズのパクリもギターのフリ程度です。しかし基本のリズムパターンがボー・ディドリーの専売特許的なスタイルなので、やはり盗作の誹りは免れず……。
 そのあたりの事情を考慮してか、ミック・ジャガーは歌詞を「It's Alright」にして歌っています。
 そして演奏の興奮度は最高潮! ブライアン・ジョーンズのドライブするリズムギターとテケテケの下降フレーズ、チャーリー・ワッツのビシバシのドラムスが最高です。
 さらにミック・ジャガーの煽りは本当に上手くて、観客は暴動寸前! 単に演奏をライブ録音しただけでなく、当時の熱狂と混乱を見事に記録したドキュメントとしても素晴らしいのです。
 このEP以外の以外の主な収録は以下のとおりです。
●ウィー・ウォント・ストーンズ実況録音盤 (キング 17M-101 = JP 7"EP)
●Singles 1963 - 1965 = CD
●Out Of Our Heads (London LL3429 = US 12"LP:mono)
●Out Of Our Heads (US LP version) = CD


参考文献:「ローリング・ストーズ・クロニクル / マッシモ・ボナンノ著」
参考文献:「ノット・フェイド・アウェイ / ジェフリー・ジュリアーノ著」

(2006.08.04 敬称略・続く)