the rolling stones song chornicled
転石音盤史
1965 part 53

■Out Of Our Heads (London LL3429:mono / PS429:similitued stereo)
発売日:1965年7月30日(米)
A-1 Mercy, Mercy
A-2 Hetch Hike
A-3 The Last Time
A-4 That's How Strong My Love Is
A-5 Good Times
A-6 I'm Allright (live version)
B-1 Satisfaction
B-2 Cry To Me
B-3 The Under Assistant West Coast Promotions Man (album version)
B-4 Play With Fire
B-5 The Spider And The Fly
B-6 One More Try
 
大ヒット曲「Satisfaction」が入った傑作アルバムです。もちろんこれもアメリカ独自の編集盤ですが、収録曲の内「A-6」以外は全て米国録音ですから、何の違和感もありません。むしろストーンズの米国制覇から世界的大ブレイクに向けての第一歩とも言うべき作品で、当然、アルバムチャートでも1位にランクされました。
 その内容は「A-3」「B-1」「B-4」が既にシングル盤として発売されていたものですし、「A-6」もイギリス先行発売のミニライブ盤「Got Live If You Want It !」からの流用の他、新曲としてはR&Bのカバーもありますが、それらを土台にしたストーンズ流儀のブルースロックや白人ソウルを見事にロックへと化学変化させたもの等々、素晴らしい曲揃い♪ ちなみに
ステレオ盤は擬似ステレオ仕様なので、オリジナルはあくまでもモノラルバージョンです。
 またジャケットも秀逸で、メンバーの顔が欠けているという、当時としては破天荒なデザインのインパクトは大! またしてもミック・ジャガーが一番後ろというあたりに、あざとさも感じられますが、案外、当時のバンド内の人間関係が表れているのかもしれません。

Mercy, Mercy : original mono-mix
作者:Don Covay & Ronnie Miller
製作:Andrew Oldham
録音:1965年5月10-11日、シカゴのチェス・スタジオ
 アメリカの黒人歌手&作曲家であるドン・コヴェイが1964年にヒットさせたR&Bの名曲をカバーしたものですが、とくにかくミック・ジャガーの歌いまわしや声質がドン・コヴェイにそっくりで、完全な影響下にあることが証明されています。
 と言うよりも、私は初めてドン・コヴェイを聴いた時、ミック・ジャガーかと思いましたね!
 で、いろいろと聴いてみると、ドン・コヴェイという歌手はR&Bやブルースだけに拘らず、カントリー&ウェスタンとかサイケフォークみたいな曲調も上手く混ぜ合わせた汎用ロック的なノリのある人でした。さらに自身のバンドのアレンジも2本のギターの絡みを用いたりしますので、案外ストーンズと共通項のあるミュージシャンだと思います。
 ちなみにドン・コヴェイは1986年に発売されたストーンズのアルパム「ダーティ・ワーク」にゲスト参加しているあたりも、意味深ですね。
 肝心のストーンズの演奏は、もちろんんギターを中心としたアレンジに加えて、重たいビートが南部感覚を煽るという秀逸なものですし、ミック・ジャガーのボーカルは粘っこく猥雑! 最高です♪ 録音場所であるチェス・スタジオ特有の歪みのあるギターの音色もたまりません。
 このアルバム以外の主な収録は以下のとおりです。
●Out Of Our Heads (Decca LK4733 = UK 12"LP:mono)
●Out Of Our Heads = CD

Hetch Hike : original mono-mix
作者:Marvin Gay, William Steveson, Clarence Paul
製作:Andrew Oldham with Jack Nitzsche & Dave Hassinger
録音:1964年10月27日&11月2日、ハリウッドのRCAスタジオ
 モータウン・レーベルの看板というよりも、音楽の歴史に屹立する天才黒人歌手であるマーヴィン・ゲイが1963年に放ったヒット曲のカバーです。
 そのオリジナルは8ビートをベースにしながらもポリリズム的なノリという仕上がりでしたが、ストーンズはより単純に8ビートを強化し、南部風味を強めたドロ臭い歌と演奏に終始して痛快です。しかもなかなかロックぽいところが、ストーンズだけの味♪
 このアルバム以外の主な収録は以下のとおりです。
●Out Of Our Heads (Decca LK4733 = UK 12"LP:mono)
●Out Of Our Heads = CD

That's How Strong My Love Is : original mono-mix
作者:Guy Jamison
製作:Andrew Oldham
録音:1965年5月10-11日、シカゴのチェス・スタジオ
共演:? (key)
 説明不要の天才R&B歌手=オーティス・レディング:Otis Redding が1965年2月にヒットさせた大名曲のカバーというだけで、当時のストーンズの恐いもの知らずの勢いが知れようというものです。ちなみにオリジナルはオーティス・レディングと同じ南部系ソウル歌手のO・V・ライト:O.V.Wight ですからねぇ……。もう、この事実だけで彼等の思い入れが伝わってきます。
 実際、ここでのミック・ジャガーのボーカルとバックの演奏は素晴らしく、当時の白人バンドでこの域まで達していたストーンズの黒っぽさは驚異的!
 このアルバム以外の主な収録は以下のとおりです。
●Out Of Our Heads (Decca LK4733 = UK 12"LP:mono)
●Out Of Our Heads = CD

Good Times : original mono-mix
作者:Sam Cooke
製作:Andrew Oldham with Jack Nitzsche & Dave Hassinger
録音:1965年5月12-13日、ハリウッドのRCAスタジオ
 またまた天才に挑戦するミック・ジャガーという構図です。
 オリジナルは黒人歌手のサム・クックが自作自演して1964年にヒットさせた名曲で、ミック・ジャガーはサム・クックのソフトな黒っぽさに果敢に挑戦していますが、これが素敵です♪
 バックの演奏ではチャーリー・ワッツがジャズの隠し味を入れたドラムスで全体をリードしています。また、多分ブライアン・ジョーンズが弾いていると思われるギターのオブリガードが、これまたキマッており、ほどよい甘さの素晴らしい出来栄えだと思います。
 このアルバム以外の主な収録は以下のとおりです。
●Out Of Our Heads (Decca LK4733 = UK 12"LP:mono)
●Out Of Our Heads = CD

Cry To Me : original mono-mix
作者:Burt Russel
製作:Andrew Oldham with Jack Nitzsche & Dave Hassinger
録音:1965年5月12-13日、ハリウッドのRCAスタジオ
共演:Jack Nitzsche (key,per)
 この時期、執拗に黒人R&Bに挑戦するストーンズが次に選んだのが、これも大物シンガーであるソロモン・バークの大名曲です。そのオリジナルは1962年に大ヒットしていますが、何とストーンズはアップテンポだった原曲を粘っこいスロー物としてカバーしています! そして、これが素晴らしい!
 ミック・ジャガーのせつせつとした心情吐露と泣きは強烈ですし、ギターを中心としたアレンジと演奏も完璧です。まさに当時のストーンズの真骨頂でしょう。南部ソウルのファンにもオススメ出来ます。
 このアルバム以外の主な収録は以下のとおりです。
●Out Of Our Heads (Decca LK4733 = UK 12"LP:mono)
●Out Of Our Heads = CD

The Under Assistant West Coast Promotions Man / ウエストコーストの宣伝屋
作者:Nanker Phelge (album version) : original mono-mix
製作:Andrew Oldham
録音:1965年5月10-11日、シカゴのチェス・スタジオ
 シングル盤「Satisfaction」のB面に収録されていた同曲と基本的には同じテイクですが、曲の最後にあるミック・ジャガーの語りが少しカットされています。一説によると、そこは英語のスラングとして放送に適さない部分とされていますが、日本人にはどうって事はないでしょう。それでも演奏の楽しさ、素晴らしさに変わりはないのです。
 しかし、こういう瑣末な部分が気になるのがマニアの辛いところでもありますので、一応、頭の片隅に留めておいて下さい。
 このアルバム以外の主な収録は以下のとおりです。
●Out Of Our Heads (Decca LK4733 = UK 12"LP:mono)
●Out Of Our Heads = CD
●Single Collection - The London Years = 2002年リマスターのCD

The Spider And The Fly / クモとハエ : original mono-mix
作者:Nanker Phelge
製作:Andrew Oldham with Jack Nitzsche & Dave Hassinger
録音:1965年5月12-13日、ハリウッドのRCAスタジオ
 微妙な脱力感が心地良い田舎っぽいブルースロックです。作者はストーンズのメンバー全員の名義になっていますが、もちろんこのスタイルの源は、ストーンズが大きな影響を受けている黒人ブルースマンのジミー・リードです。ここではその特徴的な2本のギターの絡みが存分に味わえますし、フニャフニャでありながら粘っこいミック・ジャガーのボーカルも味わい深いところ♪ ちなみに歌詞の中には巡業中の彼等の男女関係が……。
 このアルバム以外の主な収録は以下のとおりです。
●Satisfaction / The Spider And The Fly (Decca F12220 = UK 7"Single)
●Out Of Our Heads (Decca LK4733 = UK 12"LP:mono)
●Out Of Our Heads = CD
●Single Collection - The London Years = CD
●Singles 1965 - 1967 = CD

One More Try : original mono-mix
作者:Mick Jagger & Keith Richards
製作:Andrew Oldham with Jack Nitzsche & Dave Hassinger
録音:1965年5月12-13日、ハリウッドのRCAスタジオ
 ミック&キースによるオリジナルで、ハーモニカを入れたロカビリータイプの演奏が痛快ですが、ミック・ジャガーのボーカルに、やや精彩が感じられません。
 その所為か、イギリスでは1971年まで未発表でした。しかもそれは微妙にミックスが違いますので、オリジナルバージョンはこれで聴いて下さい。
 このアルバム以外の主な収録は以下のとおりです。
●Out Of Our Heads (US LP version) = CD


参考文献:「ローリング・ストーズ・クロニクル / マッシモ・ボナンノ著」
参考文献:「ノット・フェイド・アウェイ / ジェフリー・ジュリアーノ著」

(2006.08.07 敬称略・続く)