the rolling stones song chornicled
転石音盤史
1965 part 63

■Satisfaction / The Spider And The Fly (Decca F12220:mono)
発売日:1965年8月20日(英)
 アメリカから遅れること3カ月あまり、ついにイギリスで発売されたこの曲は、待ちくたびれたファンの勢いで、9月に入るとアッという間にチャート1位の大ヒットになりました。
 B面に収められたのはアメリカ盤とは違う「クモとハエ」というあたりに注目でしょうか。ただし、内容的には両面とも、既発音源と何ら変わらないものが使われています。

サティスファクション / ウエストコーストの宣伝屋 (キング HIT-511 = JP 7"Single)
発売日:1965年9月1日(日)
 日本で発売されたこのカタログ番号のシングル盤に収録された「サティスファクション」は、不可解な編集により2コーラスのバージョンというのは、有名です。
 ちなみに発売当時=昭和40年の日本の洋楽界は、大エレキブームの真っ只中で、インストグループのベンチャーズ:The Ventures がビートルズを凌駕する人気者でした。
 日本中がエレキでテケテケ♪ しかもエレキは不良! という社会情勢の中で、ストーンズはロックバンドでは無く、R&Bのコーラスグループという扱いでした! もちろん人気も前述の2大バンドに大きく引き離されていたわけですが、この曲をきっかけに人気も上昇していきます。
 ただし皮肉なことに、それは翌年から狂騒的なブームになるグループサウンズの多くのバンドが、この「サティスファクション」を演目にしていたり、ストーンズの音楽性やアレンジを上手くパクっていたおかげ(?)もあると、私は思います。特にその筆頭がスパイダースでしょう。彼等の初期音源を聴き比べるのも一興ですし、今となっては、GSプームの加熱とともに、ストーンズの我国での人気も比例して高くなっていったような気がしています。

Get Off Of My Cloud / I'm Free (London 9792:mono)
発売日:1965年9月24日(米)
発売日:1965年11月20日(日)= キング HIT-568 (画像掲載)
 待望の新曲は、またまたアメリカ先行発売となりました。このあたりの戦略は、完全に世界の市場を相手にしていることの表れでしょう。実際、日本でも、このシングル盤あたりから、英国よりは米国仕様のカップリングに拘るようになっていきます。
 肝心のヒット状況は、もちろんアメリカではA面曲がチャート1位の大ヒットになっています♪
 しかし当時のストーンズをとりまく状況は混迷の度合いが強くなり、バンド自体はイケイケの勢いにありながら、マネージメントではアンドルー・オールダムが自分のレコード会社「イミディエイト:Immediate」を発足させたこと等から、ギクシャクしたものになっていきます。実際、このシングル盤製作については、キース・リチャーズがアンドルー・オールダムを露骨に批判しています。
 そして、そんなこんなのストーンズに接近してきたのが、芸能界専門で悪名高い会計士のアレン・クライン:Allen Klien でした。もちろんこの人は、後にビートルズ解散騒動に一役かった歴史上の人物で、その経緯については拙稿「The Beatles / Let It Be の謎 5」以降を参照願いたいのですが、とにかくストーンズはアメリカでのビジネス・マネージャーとしてアレン・クラインと契約するのですが……。
 また巡業では暴動や騒ぎが頻発し、メンバーがステージで襲われたり、ホテルでは滞在拒否、おまけにブライアン・ジョーンズ、ビル・ワイマン、ミック・ジャガーの3人が、ガソリンスタンドの壁に立ちションをして有罪判決……等々、狂騒が続いていたのです。

Get Off Of My Cloud / 一人ぼっちの世界 : original mono-mix
作者:Mick Jagger & Keith Richards
製作:Andrew Oldham with Jack Nitzsche & Dave Hassinger
録音:1965年9月6-7日、ハリウッドのRCAスタジオ
共演:Jack Nitzsche (key,per)
 アメリカンポップス伝来のコード進行とギターリフを活かしきった楽しいロック曲で、歌詞の中に「イェ〜!」という掛声を多用しているのがキモでしょうか。つまりライブの場で観客と一緒に盛り上がるための目論見だと、私は思います。
 なにしろ曲調がストーンズ版の「La Bamba」「Twist & Shout」ですからねぇ〜♪ 厚みのある音作りに隠された手拍子やタンブリンでのビートの強化も効果的! もちろん前述のとおり、アメリカのチャートでは11月に2週連続で1位にランクされています。
 ちなみにこの曲が録音された当時のストーンズはイギリス〜欧州巡業の真っ最中でしたが、この曲を完成させるためだけの目的で渡米し、RCAスタジオでのセッションを敢行したのです。それだけストーンズ側とジャック・ニッチェをはじめとするアメリカ側のスタッフは信頼関係が強かったのでしょう。そのあたりにもアンドルー・オールダムとの関係の難しさが窺い知れます……。
 このシングル盤以外の主な収録は以下のとおりです。
●Get Off Of My Cloud / The Singer Not The Song (Decca F12263 = UK 7"Single)
●December's Children (London LL3451 = US 12"LP:mono)
●December's Children = 1986年リマスターのアメリカ盤CD
●December's Children = 2002年リマスターCD
●Big Hits (London NP1 = US Compilatino 12"LP:mono)
●Big Hits (Decca TXL101 = UK Compilatino 12"LP:mono)
●Big Hits = CD
●Hot Rocks (London PS606/7 = US Compilatino 12"LP x 2)
●Hot Rocks = 1986年リマスターのアメリカ盤CD
●Decca Single Collection (Decca STONES-1/12 = UK 7"Single x 12)
●Single Collection - The London Years = CD
●Singles 1965 - 1967 = CD

I'm Free : original mono-mix
作者:Mick Jagger & Keith Richards
製作:Andrew Oldham with Jack Nitzsche & Dave Hassinger
録音:1965年9月6-7日、ハリウッドのRCAスタジオ
共演:J. W. Alexander (per)
 当時流行していたフォークロックを大胆に取り入れた作品で、歌詞の内容は「俺は自由だ、何でも出来る、だから俺を抱いてくれ〜」という、今となってはやや安直なものですが、これでも当時は反逆者としてのストーンズの姿勢を貫いたものとして、社会問題になったとか!
 またメロディ展開では、サビのところがビートルズの「Eight Days A Week」からのモロパクリですし、間奏のギターソロがジョージ・ハリスン風というもの泣かせます。
 その所為か否か、間奏直後のサビでリズムが思いっきりヨレまくりですが、強引に押し切ってOKテイクにしてしまったのには、スケジュール的な問題があったのかもしれません。
 ちなみにここでタンブリンを叩いているJ. W. アレクザンダー:J. W. Alexander は、天才R&B歌手=サム・クックの盟友として知られる人です。
 このシングル盤以外の主な収録は以下のとおりです。
●Out Of Our Heads (Decca LK4733 = UK 12"LP:mono)
●Out Of Our Heads (UK LP version) = CD
●December's Children (London LL3451 = US 12"LP:mono)
●December's Children = CD
●More Hot Rocks (London PS262/7 = US Compilatino 12"LP x 2)
●More Hot Rocks = CD
●Single Collection - The London Years = CD
●Singles 1965 - 1967 = CD


参考文献:「ローリング・ストーズ・クロニクル / マッシモ・ボナンノ著」
参考文献:「ノット・フェイド・アウェイ / ジェフリー・ジュリアーノ著」

(2006.08.14 敬称略・続く)