the rolling stones song chornicled
転石音盤史
1965 part 83

■December's Children (London LL3451:mono / PS451:similitued stereo)
発売日:1965年11月(米)
A-1 She Said Yeah
A-2 Talkin' About You
A-3 You Better Move On
A-4 Look What You've Done
A-5 The Singer Not The Song
A-6 Route 66 (live version)
B-1 Get Off Of My Cloud
B-2 I'm Free
B-3 As Tears Go By
B-4 Gotta Get Away
B-5 Blue Turns To Gray
B-6 I'm Moving On (live version)
 アメリカでの5枚目のアルバムも、ややこっしい仕上がりになりました。
 なにしろジャケットがイギリス盤「アウト・オブ・アワ・ヘッズ」と同じ写真を使い、デザインも酷似していながら、収録曲が似て非なるものになっています。

 まず「A-1」「A-2」「B-4」が前述のイギリス盤「アウト・オブ・アワ・ヘッズ」で新曲扱いとして収められていたものですし、「A-3」はイギリス盤EP「ザ・ローリング・ストーンズ」から、また「A-6」「B-6」もイギリス盤ライブEP「ガット・ライヴ・イフ・ユー・ウォント・イット !」からの流用、さらに「A-5」はイギリス盤シングル「Get Off Of My Cloud:一人ぼっちの世界」のB面曲でしたが、いずれもアメリカでは初出となるものです。
 そして既発最新シングル盤の両面「B-1」「B-2」
を入れたところへ、さらに3つの純然たる新曲を加えたという、まあ米国のレコード会社が十八番の手法なんですが、それゆえに今日では、いささか残り物の寄せ集め的な印象にされています。
 このあたりはクリスマス商戦に合わせた戦略でもありますが、その内容はブリブリのストーンズ流R&Bから「せつない泣き」系のフォークロック、さらには狂乱のライブ音源と続くLP片面毎の流れを上手く纏めた編集が秀逸です。
 また当然、同時期に「ヘルプ」から「ラバーソウル」という大傑作アルバムを発表しているビートルズへの対抗意識も強烈に盛り込まれており、リアルタイムでは二番煎じと揶揄された面もありますが、今では歴史となったその部分も、存分に楽しめると思います。ただしアルバムチャートでは4位が最高でした。
 ちなみに当然ながら、このアルバムもステレオ盤は擬似ステレオ仕様ですから、モノラル盤が本来の姿です。しかし最近のCDは一部楽曲がリアル・ステレオバージョンに差し替えてありますので、要注意です。

Look What You've Done : original mono-mix
作者:McKinley Morganfield
製作:Andrew Oldham with Ron Malo
録音:1964年6月10-11日、米国、シカゴのチェス・スタジオ
共演:Ian Stewart (p)
 原曲はシカゴブルースの大御所=マディ・ウォーターズが1956年に吹き込んだとされる隠れ名曲で、ストーンズはオリジナルに敬意を払いつつも、彼等がお得意のジミー・リードのスタイルを強めてカバーしています。
 録音場所がマディ・ウォーターズの根城とも言うべきチェス・スタジオとあって雰囲気も満点、こういう脱力系ブルースを当時、ここまで上手く演奏してしまうストーンズのオタクぶりは微笑ましくもあります。特に素晴らしいハーモニカを聞かせるブライアン・ジョーンズには、嬉々としたものを感じてしまいますねぇ〜♪
 ちなみにイギリスでは1971年まで未発表でした。また近年はステレオバージョンが一般化していますが、オリジナルはあくまでもモノラルバージョン! このアルバム以外の主な収録は以下のとおりです。
●December's Children = 1986年リマスターのアメリカ盤CD

As Tears Go By / 涙あふれて : original mono-mix
作者:Mick Jagger, Keith Richards & Andrew Oldham
製作:Andrew Oldham
録音:1965年10月26日、ロンドンのIBCスタジオ
編曲:Mike Leander
 さて、問題の曲です。というのも、発表当時、ビートルズの「Yesterday」と比較対照され、その二番煎じとして、ストーンズの後追い体質が否が応でも浮彫りにされたからです。
 しかしこれは、ある意味では濡れ衣です。
 というのは、楽曲自体はビートルズの「Yesterday」よりも早く書かれたもので、すでに1964年春の段階で「As Time Goes By」と名付けられたデモ録音が残されています。それはアンドルー・オールダムがあるパーティ会場でスカウトして来たマリアンヌ・フェイスフル:Marianne Faithful という深窓の令嬢を、清純派歌手として売り出すための楽曲でした。
 そしてこの曲は「As Tears Go By」と手直しされ、マリアンヌ・フェイスフルのデビュー曲として1964年6月に発売され、秋にはイギリスで第9位、アメリカでも22位にランクされる大ヒットになったのです。
 ちなみに彼女こそ、初期のストーンズに関わる女性のひとりで、アイドル人気絶頂時に結婚し、子供までもうけながらミック・ジャガーと不倫関係に陥る等、当に1960年代の芸能界スキャンダル部門を彩りました。
 さて、肝心のストーンズのバージョンは、まず録音にはミック・ジャガーとキース・リチャーズしか参加しておらず、そこに弦楽四重奏団が加わるというあたりが、完全にビートルズの「Yesterday」を意識していると断定されても、文句が言えない仕上がりです。もちろんキース・リチャーズが生ギターで伴奏しているのは言わずもがなですが、「胸キュン」系のメロディに達観したかのような歌詞は、これはこれで大いに魅力的です。
 このアルバム以外の主な収録は以下のとおりです。
●December's Children = CD
●As Tears Go By / Gotta Get Away (London 9808 = US 7"Single)
●19th Nervaus Breakdown / As Tears Go By (Decca F12331 = UK 7"Single)
●Big Hits (London NP1 = US Compilatino 12"LP:mono)
●Big Hits (Decca TXL101 = UK Compilatino 12"LP:mono)
●Big Hits = CD
●Hot Rocks (London PS606/7 = US Compilatino 12"LP x 2)
●Hot Rocks = CD
●Decca Single Collection (Decca STONES-1/12 = UK 7"Single x 12)
●Single Collection - The London Years = CD
●Singles 1965 - 1967 = CD

Blue Turns To Gray : original mono-mix
作者:Mick Jagger & Keith Richards
製作:Andrew Oldham
録音:1965年1月11-12日、ロンドンのキングスウェイ・スタジオ
 ストーンズのオリジナル演奏としては初出ですが、元々は彼等が他の歌手やバンドに提供するために書いたものとされており、1965年2月に同じレコード会社に所属するマイティ・アヴェンジャーズ:The Might Avengers がシングル盤(Decca F12085)として吹込み、既に発売していた楽曲です。
 また当時の英国ではトップ歌手だったクリフ・リチャード:Cliff Richard も1966年2月にシングル盤(Columbia DB7866)A面曲として発売し、大ヒットさせています。
 その所為か、このストーンズのバージョンはイギリスでは1971年まで未発表でした。
 肝心の演奏は、これも当時の流行を追ったフォークロックのサウンドで、全体に気だるい雰囲気が「胸キュン」系のメロディと不思議なミスマッチになっています。
 ちなみにヒットした前述のクリフ・リチャードのバージョンは、アップテンポにアレンジされていましたので、聴き比べるとストーンズの腑抜けたような演奏は、稚拙と言えばミもフタも無い仕上がりですが……。一説によると、この元々の演奏はデモ録音であり、後の1965年1月17-18日、あるいは9月6-7日にハリウッドのRCAスタジオで手直しされたと言われていますが、それも肯けるところです。
 このアルバム以外の主な収録は以下のとおりです。
●December's Children = CD

As Tears Go By / Gotta Get Away (London 9808:mono)
発売日:1965年12月18日(米)
発売日:1966年2月20日(日)= キング TOP-1013
 アメリカにおける9枚目のシングル盤で、両面ともに既に発売されていたアルバム「デッセンバーズ・チルドレン」からのカットという体裁になっています。しかしそれでもA面曲の「As Tears Go By」は、翌年1月にチャート6位のヒットになっています。
 また我国では少し遅れて翌年に発売され、その年末からのGSブームでは、多くのバンドがこのA面曲を「涙あふれて」の邦題でカバーしていましたので、ストーンズの楽曲中では良く知られていると思います。


参考文献:「ローリング・ストーズ・クロニクル / マッシモ・ボナンノ著」
参考文献:「ノット・フェイド・アウェイ / ジェフリー・ジュリアーノ著」

(2006.08.29 敬称略・続く)