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■19th Nervous Breakdown / As Tears Go By (Decca F12331:mono) |
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発売日:1966年2月4日(英)
久々にイギリス先行で発売されたバリバリの新曲をA面に、またB面には既発ながらアメリカでヒットしていた名曲をカップリングした徳用シングル盤です。もちろんA面曲は忽ち大ヒット! イギリスでは最高チャート2位にランクされています。
★19th Nervous Breakdown / 19回目の神経衰弱 : original mono-mix |
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作者:Mick Jagger & Keith Richards 製作:Andrew Oldham with Jack Nitzsche
& Dave
Hassinger
録音:1965年12月6-10日、ハリウッドのRCAスタジオ
4度目の北米巡業を終えた直後のストーンズが、その勢いをそのまんまに行った録音セッションで完成させたオリジナル・ロックンロールです。そのサウンドはギター中心の軽めの仕上がりですが、彼等がお得意のボ・ディドリーのビートが隠し味になっています。それは終盤で聴かれるギターのテケテケやチャリー・ワッツの隠れドドンパビートに顕著で、楽しさ満点♪
この黒くて軽妙な音作りは、1966年に本格デビューするアメリカの産業アイドルバンドのモンキーズ:The Monkees に受け継がれますが、それはこのセッションに絡んだジャック・ニッチェと繋がりがある専業作家やスタジオ系ミュージシャンが作り出したものというあたりが、味わい深いところです。
このシングル盤以外の主な収録は以下のとおりです。
●19th Nervous Breakdown / Sad Day (London 9823 = US 7"Single)
●Big Hits (London NP1 = US Compilatino 12"LP:mono) ●Big Hits (Decca TXL101 =
UK Compilatino 12"LP:mono)
●Big Hits = CD ●Hot Rocks (London PS606/7 = US Compilatino 12"LP x 2)
●Hot Rocks = CD ●Decca Single Collection (Decca STONES-1/12 = UK 7"Single
x 12)
●Single Collection - The London Years = CD
●Singles 1965 - 1967 = CD
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■19th Nervous Breakdown / Sad Day (London 9823:mono) |
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発売日:1966年2月12日(米)
アメリカでは10枚目のシングル盤で、もちろんA面曲はチャート2位の大ヒットになっていますが、B面カップリング曲がイギリス盤と違っています。これは我国でも同様で、B面は「クモとハエ」でした(画像掲載)。
★Sad Day : original mono-mix |
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作者:Mick Jagger & Keith Richards
製作:Andrew Oldham with Jack Nitzsche & Dave Hassinger
録音:1965年12月6-10日、ハリウッドのRCAスタジオ
共演:Jack Nitzsche (p)
力強い中にもサイケ風味が漂う、奇妙な隠れ名曲です。
結論から言えば、この曲も含めたセッションからは傑作アルバム「アフターマス」が作られたわけですが、その広範な音楽性と充実度が証明される曲だと思います。
ただしイギリスでは1973年まで未発表曲扱いでした。しかし曲の素晴らしさと先進性ゆえに、その時にはシングル盤A面曲として発売されています。
このシングル盤以外の主な収録は以下のとおりです。
●Sad Day / You Can't Always Get What You Want (Decca F13404 = UK 7"Single)
●Single Collection - The London Years = CD
●Singles 1965 - 1967 = CD
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■Big Hits (London NP1:mono / NPS1:simulated stereo) |
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発売日:1966年4月2日(米)
A-1 Satisfaction
A-2 The Last Time
A-3 As Tears Go By
A-4 Time Is On My Side (guitar intro version)
A-5 It's All Over Now
A-6 Tell Me (single version)
B-1 19th Nervous Breakdown
B-2 Heart Of Stone
B-3 Get Off Of My Cloud
B-4 Not Fade Away
B-5 Good Times, Bad Times
B-6 Play With Fire
ストーンズ初のベスト盤で、初期の代表曲と隠れ名曲で構成されていますが、「A-4」はそれまでアメリカでは未発表の別バージョンですし、「A-6」はきちんとシングルバージョンが収録されているのがミソでしょうか。
ただしCD時代になって再発された時には、この両曲ともに差し替えが行われましたので要注意! オリジナルは、あくまでもここに記載した仕様です。
またステレオ盤は当然、擬似ステレオ仕様ですが、その処理が以前よりも烈しくなっているのも、このアルバムの特徴で、エコーが異常に強くなっています。
そしてCDでは曲によってモノラルとステレオの両バージョンが混在しているという有様です。つまりこのオリジナル・モノラル仕様のCD再発は無いのです。まあ、楽曲をコンプリートで集めることに関しては、全て他のCDで充当出来ますし、ストーンズ入門用のアルバムとしての存在意義も現在では役目を終えていますが、ちょっと淋しいなという雰囲気が……。
さて、この時期のストーンズは絶え間ない巡業とレコーディングの繰り返しで超多忙でした。しかも1965年末頃には「Back, Behind And
In Front」という映画の企画も持ち上がり、そのための楽曲製作にも追われていたのです。
しかし土壇場で映画が頓挫したことから、恐らくは米国ロンドンレコードからの要請で「19th Nervous Breakdown / 19回目の神経衰弱」をメインにしたアルバムが企画されますが、そのタイトルが「Could
You Walk On The Water ?」とされたことからレコード会社が難色を示し、これも取り止めになっています。どうやら根底にキリスト教的宗教問題があるらしいのですが、私には真相が掴めていません。
そして次に企画発売されたのが、このベスト盤というわけで、ジャケットと付属ブックレットの写真には、前述した「Could You Walk On
The Water ?」のものが転用されています。
それと前述の映画と新アルバム用の楽曲は次作に結集され、それは「アフターマス」というストーンズ畢生の名盤となるのでした。
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参考文献:「ローリング・ストーズ・クロニクル / マッシモ・ボナンノ著」
参考文献:「ノット・フェイド・アウェイ /
ジェフリー・ジュリアーノ著」
参考文献:「Das Weissbuch / Dieter Hoffmann著」
(2006.09.04 敬称略・続く) |
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