the rolling stones song chornicled
転石音盤史
1966 part 43

■Aftermath (London LL3476:mono / PS476: stereo)
発売日:1966年7月2日(米)
A-1 Paint it, Black
A-2 Stupid Girl
A-3 Lady Jane
A-4 Under My Thumb
A-5 Doncha Bother Me
A-6 Think
B-1 Flight 505
B-2 High And Dry
B-3 It's Not Easy
B-4 I Am Waiting
B-5 Goin' Home
 アメリカにおける通算7枚目のアルバムは、イギリス盤と同じタイトルながら中身もジャケット違うという、この時期特有の仕様で、曲数が少ないのは言わずもがな……。しかも全くの新曲が含まれていません。それだけアルパムの出来に自信があった証なのでしょう。
 そしてこの頃から、最先端のロッカーはアルバムを単なる曲の寄せ集めとしない、ひとつの方向性を示した作品として発表するのが新しい風潮になっていくのですが、ストーンズも様々な制約の中から、どうにかここにその姿勢を示したようです。
 もちろんそれはイギリス仕様の「アフターマス」に顕著なので、このアメリカ盤では物足りない部分もありますが、イギリス盤と異なるウリは、大ヒットしていた「Paint it, Black / 黒くぬれ!」をド頭に入れたことです。これによってアルバム全体の印象が極めて強くなっているのは、イギリス盤以上だと思います。しかし、何とステレオ盤には擬似ステレオバージョンが収録されるという勇み足! つまり、2002年リマスターの現行CDではリアル・ステレオバージョンになっているとはいえ、この時点ではモノラルマスターしか出来ていなかったわけです。
 また「1966part2」でさんざん述べたように、1986年にリマスターされたアメリカ盤CDは、全体にステレオ感の狭い独自のミックスにされるという不可解もありました。
 とはいえ、リアルタイムではアメリカでもチャート2位の大ヒットアルバムになっています。メンバーの顔が分からないという、意図的にブレた写真を用いたジャケットは、イギリス盤とは対極にあるものですが、来るべきサイケ期を予感させて、個人的には非常に気に入っています。

■Mother's Little Helper / Lady Jane (London 902:mono)
発売日:1966年7月2日(米)
発売日:1966年9月1日(日)= キング TOP-1069
 アメリカ独自の企画として、米国仕様のアルバム「アフターマス」と同日発売されたシングル盤です。
 A面曲は英国仕様の「アフターマス」に収録されていたものですが、アメリカではアルバムには収録されず、これが初出となりました。当然モノラルバージョンです。
 当時は世界的なフォークロックの大プームでしたから、それ風のこの曲をシングル発売する意図は理解出来ますが、「Paint it, Black / 黒くぬれ!」の後ではインパクトが弱いのは否めません。それでもチャートでは8位の大ヒットになったのは、如何にもストーンズというタブーに切り込んだ歌詞と彼等の勢いの成せる業でしょう。
 またB面曲の「Lady Jane」も当然ながら人気で、チャート24位にランクされました。
 ちなみに日本でも同じカップリングでシングル盤が発売され、やはり「Lady Jane」が人気だったと思います。私はリアルタイムの昭和41年秋にラジオでこの曲を聴き、なんて素敵な♪ と当時の日記に書き残していますが、日本でのストーンズは、まだまだ普通のポップスグループという扱いでした。否、音楽面の事よりも、その不良性とかステージでの暴動、巡業時のトラブル等々が優先的に報道されていたのです。

■Have You Seen Your Mother, Baby, Standing In The Shadow
■Have n/ Who's Driving Your Plane (Decca F12497:mono = UK / London 903:mono = US)
発売日:1966年9月23日(英・米)
発売日:1966年11月1日(日)= キング TOP-1069
 英米同時発売となったストーンズのシングル盤で、それは第一期黄金時代の勢い示しています。
 しかもこの時の宣伝用写真か強烈で、メンバー全員が女装という物凄さです(画像掲載)。おまけに各々が別な芸名をふられ、ミック=サラ、ブライアン=フロッシー、キース=ミリー、ビル=ペネロープ、チャーリー=ミリセントという徹底ぶりでした。
 ちなみにブライアン・ジョーンズとビル・ワイマンの扮装は陸軍婦人部隊兵で、ブライアンはドラッグ漬け、ビルは下半身不随の負傷者という激ヤバです! さらに撮影された場所が第二次世界大戦で戦死者が出た家の前という! このあたりはアンドルー・オールダムの過激な仕掛けというところでしょうか……。
 また同時にプロモーション・フィルムが2本製作されましたが、放送禁止になっています。
 そしてチャート的にはA面曲がイギリスで第5位、アメリカでは第9位と、当時の彼等してはイマイチなのは、長ったらしい曲名ゆえかもしれません。

Have You Seen Your Mother, Baby, Standing In The Shadow
Have You Seen Your M/ マザー・イン・ザ・シャドウ : original mono-mix
作者:Mick Jagger & Keith Richards
製作:Andrew Oldham with Jack Nitzsche & Dave Hassinger
録音:1966年8月3-7日、ハリウッドのRCAスタジオ
共演:Jack Nitzsche (p,arr)
 イントロのエレキギターによるフェードバックから、ファンフーレのような景気の良いブラスが入って、アップテンポで演じられるストーンズ流のR&Rですが、ミック・ジャガーの歌い方や歌詞の内容も含めて、どこかしら煮え切らないものを感じます。全体のビートも薄められたようなチープな雰囲気で……。
 後で知ったことですが、実はそれがメンバーの狙いで、キース・リチャーズの発案だったとか! それが成功か否かは別にして、好き嫌いが分かれるのは間違いない曲だと思います。ちなみに私は好きではありません。
 また凝った音作りではありますが、2006年9月現在までモノラルバージョンしか存在しておらず、ステレオ表記のあるものは全てが擬似ステレオで、その混在はCD時代になっても著しい限り! ただし、その擬似ステレオバージョンが意想外の良い味だったりしますから、困りものです♪ それについては後でふれます。
 ということで、このシングル盤以外のモノラルバージョンの主な収録は以下のとおりです。
●Big Hits (Decca TXL101 = UK Compilatino 12"LP:mono)
●Flowers (London LL3509 = US 12"LP:mono)
●Flowers = 2002年リマスターのCD
●Decca Single Collection (Decca STONES-1/12 = UK 7"Single x 12)
●More Hot Rocks = 2002年リマスターのCD
●Single Collection - The London Years
●Singles 1965 - 1967 = CD

Who's Driving Your Plane : original mono-mix
作者:Mick Jagger & Keith Richards
製作:Andrew Oldham with Jack Nitzsche & Dave Hassinger
録音:1966年8月3-7日、ハリウッドのRCAスタジオ
共演:Jack Nitzsche (p)
 イントロから歪んだエレキギターに黒いハーモニカ、そして重たいビートで展開されるブルースロックです。これはストーンズの得意技ですが、これまでと違うのは、そのヘヴィな感覚で、当時流行しつつあったブリティッシュ・ブルースロックの先駆け的なお手本になっています。
 ミック・ジャガーのボーカルも熱っぽく、幾層にも重ねられたギターやハーモニカ、暗く力強いピアノ、どっしりとしたドラムスが見事に噛合った素晴らしい出来です! さらに全体にかけられた微妙なエコーとリミッターにより、団子状に迫ってくるモノラルの音が強烈で、個人的には大好きな曲です。あぁ、最近のストーンズには、これを演奏して欲しいですねぇ。
 もちろんこれもモノラルバージョンが本来の姿ということで、このシングル盤以外の主な収録は以下のとおりです。
●Single Collection - The London Years
●Singles 1965 - 1967 = CD

Big Hits (Decca TXL101:mono / TXS101:simulated stereo)
発売日:1966年11月4日(英)
A-1 Have You Seen Your Mother, Baby, Standing In The Shadow
A-2 Paint It, Black
A-3 It's All Over Now
A-4 The Last Time
A-5 Heart Of Stone
A-6 Not Fade Away
A-7 Come On
B-1 Satisfaction
B-2 Get Off Of My Cloud
B-3 As Tears Go By
B-4 19th Nervous Breakdown
B-5 Lady Jane
B-6 Time Is On My Side (guitar intro version)
B-7 Little Red Rooster
 イギリスにおける初のベスト盤で、アメリカで既に発売されていたものと同タイトルながら、収録曲とジャケットが違っています。もちろん全てが粒選りのヒット曲ですが、未発表曲が入っていないのが物足りません。当時は日本盤も出ていましたが、「Tell Me」が外されたのも、やや残念……。
 そして気になるモノラルとステレオの両バージョンの仕様ですが、ステレオ盤は基本的に擬似ステレオになっています。そして不可解なのが既にリアル・ステレオバージョンが発売されていた「Lady Jane」までが、擬似ステレオにされていることです。ただしこの点については、リアル・ステレオバージョンが入っているブツもあり、恐らくプレス時期によって、それが混在していると思われますが……。
 ちなみに一時期、日本とイギリス及び欧州でCD化されたものでは、「A-2」「A-3」「A-5」「B-5」「B-6」がリアル・ステレオバージョンに差し替えられており、この辺りの事情がアナログ盤にも反映されているようです。
 ただしそのCDはマスタリングがイマイチで音が良くありません。それゆえに2006年9月現在では廃盤のようで、一部では高値がついていますが、どうせならオリジナルのモノラル盤をオススメ致します。尤も全ての楽曲とバージョンは他のCDで入手出来るので、無理は禁物です。


参考文献:「ローリング・ストーズ・クロニクル / マッシモ・ボナンノ著」
参考文献:「ノット・フェイド・アウェイ / ジェフリー・ジュリアーノ著」
参考文献:「Das Weissbuch / Dieter Hoffmann著」

(2006.10.01 敬称略・続く)