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■Through The Past Darkly (Decca SKL5019:stereo / LK5019:mono ) |
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発売日:1968年9月12日(英)
発売日:1969年12月10(日)
A-1 Jumpin' Jack Flash (stereo version)
A-2 Mother's Little Helper
A-3 2000 Light Yeras From Home
A-4 Let's Spend The Night Together (stereo album version)
A-5 You Better Move On (original mono-mix)
A-6 We Love You (album version)
B-1 Street Fighting Man (album version)
B-2 She's A Rainbow (short edited version)
B-3 Ruby Tuesday (stereo album version)
B-4 Dandelion (album version)
B-5 Sittin' On A Fence
B-6 Honky Tonk Women (album version)
「Big Hits Vol.2」のサブタイトルどおり、ストーンズにとっては2枚目のベスト盤で、しかもブライアン・ジョーンズの思い出に捧げられています。
八角形にデザインされた見開きダブルジャケットも強烈な印象ですが、それを開くと中にはメンバー5人の寝転がった写真が使われ、なんとブライアン・ジョーンズだけが目を完全に開いているという逆現実が、あまりにも出来すぎです。
さらに以下のような――
ブライアン・ジョーンズ(1943 - 1969)
人がなんと言おうとかまわない
君が見たとおりの僕
君と僕の思い出は、このアルバムに収められている
――、なんとも悲しい限りですねぇ……。
ブライアン・ジョーンズの葬儀は1969年7月10日に行われ、生まれ故郷のチェルテナムに埋葬されました。そのニュース映像は1990年に発売された「12×5:The
Continuing Adventures Of The Rolling Stones」という公式映像作品でご覧になれますが、メンバーそれぞれが故人についての思いを語っているので必見です。
そして墓碑銘は「私に厳しくしすぎないでくれ」というもの……。しかしそこに参加した関係者の中に、ミック・ジャガーとキース・リチャーズの姿は無かったと言われています。ミック・ジャガーについては、かなり以前から映画「太陽の果てに青春を:Ned
Kelly」の撮影スケジュールが決まっていたので、仕方がないとも言えますが、キース・リチャーズの場合は……。
まあ、それはそれとして、このベストアルバムは同じタイトルながら英米で収録曲が異なっており、このイギリス編集盤は1966年から発売時までのヒット曲に加え、特にブライアン・ジョーンズの生ギターが活躍する「A-5」、またイギリスでは未発表だった「B-5」がウリになっています。
そしてもちろん、ここで初登場したステレオバージョンやアルバムバージョンが含まれています。またイギリスではモノラル盤も作られていますが、我国では同一内容ながら、恐らくステレオ盤だけの発売だと思います。
★Jumpin' Jack Flash : original stereo-mix |
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作者:Mick Jagger & Keith Richards 製作:Jimmy
Miller
録音:1968年3-4月、ロンドンのオリンピックスタジオ
1968年初夏の大ヒット曲がステレオバージョンで初登場しています。シングル盤のモノラルバージョンで聞かれた混濁した音作りの秘密が、なかなか明快に楽しめるところが実に興味深いですねぇ〜♪ ギターの重なり具合とか終始鳴り続けるマラカス、そして終盤でのオルガンやサックス&ホーンの隠し味、コーラスの新鮮な響き等々、とても慎重なプロデュースが実感されます。もちろん演奏の勢いは最高!
このアルバム以外の主な収録は以下のとおりです。
●Through The Past, Darkly (London NPS3 = US Compilatino 12"LP:stereo)
●Through The Past, Darkly (UK LP version) = CD
●Through The Past, Darkly (US LP version) = 2002年リマスターのCD
●Gimme Shelter (Decca SLK5101 = UK Compilatino 12"LP:stereo)
●Hot Rocks (London PS606/7 = US Compilatino 12"LP x 2)
●Hot Rocks = CD
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★We Love You (album version) |
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作者:Mick Jagger & Keith Richards 製作:Andrew Oldham with Glyn
Jones 録音:1967年7月、ロンドンのオリンピックスタジオ 共演:Nicky Hopkins (p), John Lennon &
Paul McCartney (vo)
1967年8月に発売された、所謂サイケ期ど真ん中のストーンズが放った名曲ですが、ここに収録されたのは新編集のアルパムバージョン! オリジナルのシングルバージョンから最後の部分に入っていた「Dandelion」の一節を削除してあります。しかもステレオミックスまでもが初登場したのですから、たまりません。
主な収録は以下のとおりです。 ●ステレオバージョン / original stereo-mix
●Through The Past, Darkly (Decca SKL5019 = UK Compilatino 12"LP:stereo)
●Through The Past, Darkly (UK LP version) = CD
●モノラルバージョン / original mono-mix
●Through The Past, Darkly (Decca LK5019 = UK Compilatino 12"LP:mono)
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★She's A Rainbow : short edited version |
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作者:Mick Jagger & Keith Richards 製作:The Rolling Stones with Glyn
Jones 録音:1967年1-9月、ロンドンのオリンピックスタジオ 共演:Nicky Hopkins (p), John Paul Jones
(arr)
1967年12月に発売された異端の名作アルバム「サタニック・マジェスティーズ」に収録され、アメリカ優先でシングルカットもされたウルトラポップな名曲♪ そのシングルバージョンは通称ストリートノイズがカットされ、当然ながらモノラル仕様でしたが、ここではさらに終盤のオーケストラのパートを短く編集したバージョンが初登場! ちょっと物足りない感じもしますが、アルバムを通して聴いていく分には、結果オーライでしょうか。
主な収録は以下のとおりです。 ●ステレオバージョン / original stereo-mix
●Through The Past, Darkly (Decca SKL5019 = UK Compilatino 12"LP:stereo)
●Through The Past, Darkly (UK LP version) = CD
●モノラルバージョン / original mono-mix
●Through The Past, Darkly (Decca LK5019 = UK Compilatino 12"LP:mono)
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★Dandelion (album version) |
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作者:Mick Jagger & Keith Richards 製作:Andrew Oldham with Jack Nitzsche &
Glyn Jones 録音:1966年11-12月、ロンドンのオリンピックスタジオで録音
前述した「We Love You」のカップリング曲ですが、そのオリジナルシングルバージョンからラストに付け加えられていた「We Love You」のピアノイントロのパートを削除した、これも新編集のアルパムバージョンです。
主な収録は以下のとおりです。 ●ステレオバージョン / original stereo-mix
●Through The Past, Darkly (Decca SKL5019 = UK Compilatino
12"LP:stereo)
●Through The Past, Darkly = CD
●Hot Rocks = CD ●モノラルバージョン / original mono-mix
●Through The Past, Darkly (Decca LK5019 = UK Compilatino
12"LP:mono)
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★Honky Tonk Women (album version) |
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作者:Mick Jagger & Keith Richards 製作:Jimmy
Miller 録音:1969年3-4月、ロンドンのオリンピックスタジオ
共演:参加人員不明のホーンセクション、正体不明のピアニスト
発売当時の最新ヒット曲ですが、ここに収められたのは、そのシングルバージョンよりも幾分ピッチが遅く、それゆえに粘っこいフィーリングが増幅されたアルバムバージョン! これが実に良い感じです。
また、ここで初めて聞かれるステレオミックスは右チャンネルにキース・リチャーズのリズムギターが定位していますが、間奏からホーンセクションが同じフィーリングのリフをぶっつけてくると、前述したリズムギターが真ん中に移動し、左チャンネルから、これもキース・リチャーズによるヘタウマの極北というリードギターが流れてくるという、ストーンズファンには感涙の仕上がりです。
モノラルミックスではイマイチ、存在感が分からなかったミック・テイラーのギターも、主に左チャンネルで鳴っている短音弾きがそうかもしれないと合点します。それと隠し味的なピアノも効果的だと気がつくのでした。多分、イアン・スチュアート? 主な収録は以下のとおりです。 ●ステレオバージョン / original stereo-mix
●Through The Past, Darkly (Decca SKL5019 = UK Compilatino
12"LP:stereo)
●Through The Past, Darkly (London NPS3 = US Compilatino 12"LP:stereo)
●Through The Past, Darkly (UK LP version) = CD
●Through The Past, Darkly (US LP version) = 2002年リマスターのCD
●Gimme Shelter (Decca SLK5101 = UK Compilatino 12"LP:stereo)
●Hot Rocks = 2002年リマスターのCD
●Single Collection - The London Years = 2002年リマスターのCD ●モノラルバージョン / original mono-mix
●Through The Past, Darkly (Decca LK5019 = UK Compilatino
12"LP:mono)
●Through The Past, Darkly (US LP version) = 1986年リマスターのCD
●Hot Rocks (London PS606/7 = US Compilatino 12"LP x 2)
●Single Collection - The London Years = = 1989年リマスターのCD
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■Through The Past Darkly (London NPS3: stereo) |
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発売日:1968年9月13日(米)
A-1 Paint It, Black (stereo single version)
A-2 Ruby Tuesday (stereo album version)
A-3 She's A Rainbow (stereo single version)
A-4 Jumpin' Jack Flash (stereo version)
A-5 Mother's Little Helper (simulated stereo version)
A-6 Let's Spend The Night Together (stereo album version)
B-1 Honky Tonk Women (album version)
B-2 Dandelion (album version)
B-3 2000 Light Yeras From Home
B-4 Have You Seen Your Mother, Baby, Standing In The Shadow (simulated stereo version)
B-5 Street Fighting Man (album version)
「Big Hits Vol.2」のアメリカ盤は、アルバムタイトルとジャケットの仕様はイギリス盤と同じですが、選曲が異なっています。しかしブライアン・ジョーンズへの追悼の気持ちは変わっておらず、それは故人が大活躍しているA面冒頭からの三連発で明らかでしょう。この曲の流れが実に素晴らしく、続いて狂熱の「Jumpin'
Jack Flash」が出てくる瞬間には、これもストーンズのリアルな黄金時代を痛感させられます。
グループの内部事情としては、オリジナル曲を全く提供していないブライアン・ジョーンズがリーダーとしての立場を失って行った云々と、今日では解釈されていますが、私はブライアン・ジョーンズも曲作りはやっていたと思っています。しかしジャズ、ブルース、ポップスやクラシック、あるいは民族音楽にまで幅広く精通していたブライアン・ジョーンズにとっては、自分の作る曲が、どっかで聞いた事がある……、というようなオリジナリティに欠けたものだと感じられていたのではないでしょうか。つまりミック・ジャガーやキース・リチャーズのような、良い意味での二番煎じっぽい開き直りが出来なかった人だと思うのです。ならば自分はプロデューサー&アレンジャーのような仕事で自己主張しようと……。
とにかく卓越した楽器の天才性、温故知新でありながら進歩的な音楽センス、それゆえに繊細な感情とブッ飛んだ生き様のバランスの悪さ……、そういうものがロック上昇期の時代と完全にリンクして出来上がったのが、1960年代のザ・ローリング・ストーンズだと思います。
ブライアン・ジョーンズが居なければ、ストーンズだって無かった!
ですから以降のストーンズは、常に故人との見えない戦いがあったはずで、特に1970年代に入ってからはブライアン・ジョーンズ時代の演目が極力避けられていくのでした。
で、そうした区切りに必要不可欠なのがベスト盤というわけですが、このアメリカ仕様の選曲は特段のヒネリも無く、しかし安心して聞き通せる曲の流れはイギリス仕様よりも気持ちが良いほど♪ ちなみにアメリカではステレオ盤しか発売されていないと思われますが、もちろんここに初登場のバージョンも含まれています。
★Paint It, Black / 黒くぬれ!(single version) : original stereo-mix |
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作者:Mick Jagger & Keith Richards 製作:Andrew Oldham with Jack Nitzsche
& Dave Hassinger 録音:1966年3月3-8日、ハリウッドのRCAスタジオ 共演:Jack Nitzsche
(key)
アメリカ仕様の「アフターマス」ステレオ盤に収められていたのは擬似ステレオバージョンでしが、いよいよここにリアルステレオバージョンが初登場! 右チャンネルから聞こえるブライアン・ジョーンズのシタールが、一層鮮やかですし、左チャンネルに定位するチャーリー・ワッツのドラムスは迫力があって、残響音も良い感じ♪ あぁ、やっぱり名曲・名演だと感動してしまうのでした。
このアルバム以外の主な収録は以下のとおりです。
●Aftermath (US LP version) = 2002年リマスターのCD
●Through The Past, Darkly (US LP version) = 2002年リマスターのCD
●Stone Age (Decca SLK5084 = UK Compilatino 12"LP)
●Hot Rocks (London PS606/7 = US Compilatino 12"LP x 2)
●Hot Rocks = 2002年リマスターのCD
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★She's A Rainbow (single version) : original stereo-mix |
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作者:Mick Jagger & Keith Richards 製作:The Rolling Stones with Glyn
Jones 録音:1967年1-9月、ロンドンのオリンピックスタジオ
共演:Nicky Hopkins (p), John Paul Jones
(arr)
1967年12月にアメリカ優先で発売されたシングルバージョンがリアルステレオで初登場! 基本的には「サタニック・マジェスティーズ」に収録されたアルバムバージョンと同じミックスですが、冒頭のストリートノイズがカットされているので幾分、すっきりした印象です。しかしやはりサイケポップ全盛期の音作りは素敵ですねっ♪
このアルバム以外の主な収録は以下のとおりです。
●Through The Past, Darkly (US LP version) = 2002年リマスターのCD ●More Hot Rocks (London PS262/7 = US Compilatino 12"LP x 2)
●More Hot Rocks = 2002年リマスターのCD
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参考文献:「ローリング・ストーズ・クロニクル / マッシモ・ボナンノ著」
参考文献:「ノット・フェイド・アウェイ / ジェフリー・ジュリアーノ著」
参考文献:「Das Weissbuch / Dieter Hoffmann著」
参考文献:「Collector's File / Wilfried Stember著」
(2008.05.28 敬称略・続く) |
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