電撃ストラダ5・序

 世の中にはときどき、妙なことが起きるものである――、これは少年物における横溝正史が十八番としていた書き出しですが、今となっては、これを真実と感じるのが、昭和49年にテレビ放送されていた「電撃 ! ストラダ5」というアクションドラマです。

 この番組はタイトルからもご推察のとおり、特撮も入ったアクションドラマで、明らかに当時の少年をターゲットにしていた作品でしたが、出演者の存在感が非常に強く、中でも
レギャラーヒロインを演じていたのがリアルタイムで日活ロマンポルノの大スタアだった山科ゆり

 他のキャストも日活アクション全盛期から活躍していた大御所の宍戸錠、同じく日活末期のニューアクション作品から強い印象を残して注目された地井武男、青春物で気の良い不良役を十八番にしていた剛達人、前年までテレビで放映されていた人気バイクアクション作品「ワイルド7(日本テレビ)」の主役として大ブレイクした小野進也、そして東映では期待の星として、後には「仮面ライダーアマゾン」の主役となる岡崎徹という豪華版でした。

 物語はそのレギュラー陣が国際警察の内部に設立された秘密機関「ストラダ5」のメンバーとして、日本制覇を企む巨大犯罪組織「ビッグノヴァ」と戦うのが大筋です。そして各エピソードには特に怪人という悪役は登場せず、あくまでも現実的な犯罪と人間ドラマを中心としているわけですが、ヒロインの山科ゆりが予知能力を持ったエスパーであり、テレビ作品の範疇を超えた激烈なカーアクションや迫力の銃撃戦、適度なハードボイルド味と「泣き」を含んだ物語展開は大人も楽しめる仕上がりでした。

 そしてもうひとつ、本当に大人をワクワクさせたのが、レギュラー陣だけでなく、毎回のメインゲストにも同様の楽しみがあったということです。特に山科ゆりと同じく、日活ロマンポルノからのスタア女優さんが出演したエピソードは、たまりませんねぇ〜〜♪

 というのも、この作品の制作には日活が大きく関与しているからで、演出も沢田幸弘、小澤啓一、小原宏裕、林功、遠藤三郎、白井伸明という、ニューアクションからロマンポルノで大きな働きをした監督ばかりです。加えて共同制作になっているのが、前述の「ワイルド7」で高視聴率を取った萬年社! ですから30分番組とはいえ、密度の濃さは保証付きというわけです。

 そしてこのドラマはNET(現テレビ朝日)系列により、昭和491974)年4月5日から6月28日まで、毎週金曜日の午後7時30分から全13話が放送されました。

 もちろんこの時間帯ですから、山科ゆりやゲスト女優さんが脱いでいるはずもありません。しかし当時は成人映画の出演者であっても、しっかりとした演技力があたりまえでしたから、物語展開の中には、そのまんまロマンポルノの通常シーンというような場面もあったりして、私のような者は必要以上に想像力を刺激されたのです。とにかく山科ゆりの存在は圧倒的な魅力! それは追々述べていくとして、主要データとキャストは以下のとおりです――

宍戸錠(高村輝次郎=ジュピター)
秘密機関「ストラダ5」のチーフであり、様々な情報機器を詰め込んだ大型ワゴン車・ヘッドストロングを運転し、メンバーを集めては事件捜査の指令を出すのが毎回の役割です。ちなみにメンバーに集合をかける連絡には特殊小型無線が使われ、「アテンション・ナウ! こちらジュピター、ダッシュ&ダッシュ、ピリオド!」と、ある時は威勢良く、またある時はニヒルに呼びかける宍戸錠は、この人の真骨頂でしょうね。
 ちなみに劇中ではメンバー相互が相手をコードネームで呼び合うのが鉄則となっているようです。

地井武男(殿村幻次郎=オリオン)
元刑事にして現在は法医学や化学研究をしているチームの副リーダー格でしょうか。「ストラダ5」のメンバーになる以前、岡崎徹=堀田貫介の父を見殺しにした因縁があり、それが物語展開の布石のひとつというハードボイルドな存在です。

岡崎徹(堀田貫介=ペガサス)
普段はレーサーというカッコイイ仕事をやっていますが、何故か国際警察の秘密機関員になっています。そして父親は辣腕刑事ながら、ある事件でビッグノヴァに殺害された事から復讐を誓っているのですが、それに関係していた地井武男に対しても常に恨みを捨て切れず、またチーム内でも事ある毎にメンバーとソリが合わない場面が多いという、ある意味では嫌な奴です。特に山科ゆりの超能力には懐疑的!
一応は物語全体を通しての主役という扱いですが、こういう屈折したヒーローというのは当時の子供向け番組では珍しかったかもしれません。

小野進也(宝木正=ルナ)
自動車修理工場で働いている所為かメカに強く、様々な新兵器の開発もチーム内では重要な仕事のようです。もちろん劇中では「ワイルド7」で見せたバイクアクションも披露しています。
 役者としても当時は大ブレイク中でしたから、自らがヒーローとなるエビソードもありますし、アクションだけでなくシブイ場面やオトボケも完璧に演じて好感が持てる存在でした。

剛達人(竹中一念=アポロ)
 普段は寺の坊主でありながら、漫画ばっかり読んでいます。しかし「ストラダ5」のメンバーとしては仏教思想に基づくような推理能力、また数珠を使った怪力拳法で暴れたりします。
 もちろん数多く出演した青春物で見せたオトボケ演技も流石の輝きですし、劇中では山科ゆりとデートして宝石屋へ行ったり、さりげなくというか、その場のノリで彼女の体に触ってしまう(!?)という、妙に馴れ馴れしい場面もありますが、それも明るく楽しくですから、憎めません。
 仏教系の普段着からスマートなデザインの特殊バトルスーツへの変身は、あまり似合っていない雰囲気ですが……。

山科ゆり(星カオリ=アンドロメダ)
生まれつきの予知能力を持ったエスパー美女 それを犯罪捜査に使っているのが「ストラダ5」のキモになっていますが、やはり彼女が自然体で放つ素敵な魅力ゆえでしょう、メンバー間に微妙な確執が感じられるのは、私の邪推とばかりは言えないはずです。
 実際、各エピソードが積み重なるにつれ、それがますます面白くなっていきますが、もちろん彼女が本当に好きな人は誰なのかも、ちゃ〜んと明かされています。

――という宍戸錠以外の5人が「ストラダ5」の実動部隊であり、クライマックスの戦闘アクション時にはお揃いのデザインも鮮やかなバトルスーツを瞬時に着用するところに特撮が用いられています。もちろん山科ゆりはノースリーブに超ミニスカという大サービス 当然ながらアクションもそれなりにきちんと演じていますから、バンチラだけでなく、様々に美味しい場面は言わずもがな、持前の色白な肌の魅力もたまりません。

 そして各メンバーには当時としてはカッコイイ車が与えられ、また特殊兵器も装備していますが、中でも強烈なのは山科ゆりの予知能力を増幅して映像化するイメージビジョンでしょう。しかし物語展開のアクションシーンは肉体的な見せ場が中心というバランスの良さです。

 気になる悪役「ビッグノヴァ」の首領はミスターアスモディと名乗る謎の人物で、常に怪人ファントマが焼け爛れたようなマスクを被って登場しています。そして映像通信やヘリコプターを駆使し、エピソード毎に秘密基地が作られているのも凄いところですが、作戦に失敗した部下は必ず処刑! その方法が常に超人的というか、ほとんど不可能犯罪的な趣向になっています。まあ、これが出来るなら、自分の犯罪計画も簡単に完遂出来るはずなんですが、それを言わないのが美しい「お約束」でしょう。

 こうした脚本は松本一の原案から山浦弘靖、安藤豊弘、高久進、藤浦敦、武末勝という、思わずニヤリの面々が担当し、撮影は名匠・高村倉太郎と山崎敏郎ですから、これは日活ニューアクションの特撮的展開としても楽しめるのです。ちなみに音楽は愛企画センターとなっていますが、ソフトなボサロックがあったりして、ハッとするほど良い感じです。

 ちなみに今頃になって気がついたのですが、オープニングのタイトルロールでは最終回からの映像も使われていますので、物語が全13話で終了したのは低視聴率ゆえの事ではなく、最初からの予定だったと思われます。尤もこれだけの豪華キャストと制作陣では、続篇を作る事など当時としては不可能だったでしょう。

 ですから今回のDVD復刻には歓喜悶絶! リアルタイムでは様々な事情から一部しか見られなかったサイケおやじとしては、嬉しいかぎりなのでした。

2008.07.25 敬称略・続く)