ザ・ビートルズ/アメリカ盤の謎

 さて、物語もいよいよ最終章、当然ながら「ストラダ5」対「ビッグノヴァ」の対決も熾烈を極めますが、劇中の人間関係がそこに大きく関わっているあたりは、サイケおやじとしても非常に興味をそそられるところです。
 もちろん山科ゆりの魅力も楽しめますが、これまでも述べてきたとおり、彼女は当時は現役で日活ロマンポルノの看板スタアであり、この「ストラダ5」がテレビ放映される直前の昭和49年3月2日に封切られた名作「白い娼婦・花芯のたかまり(小沼勝監督)」で主演! そして放映終了後の同年7月6日には準主演した「秘本乱れ雲(西村昭五郎監督)」が封切られています。まあ、流石に少年向けだった「ストラダ5」放映中には主だった出演作は無かったようですが、当時リアルタイムの少年達は、この事実を知っていたのか、大いに気になるところです。
 このあたりは「ウルトラセブン」のアンヌ隊員だった菱見百合子が後年、ひし美ゆり子となって見事な裸の演技を見せてくれた事とは違いますからねぇ〜。
 ということで、いよいよ佳境の物語は――

第9話:友よ、美しく死ね!(昭和49年5月31日)
監督:遠藤三郎
脚本:武末勝
ゲスト:岡崎二朗(ジョージ宮本)、田中幸四郎 他
 ほとんど北方謙三の小説みたいな、なかなかハードボイルドなタイトルが、まず強烈です。
 物語もそれに劣らず、まず地井武男が旧友の呼び出しを受け、会ってみると友人は「ビッグノヴァ」の工作員であり、運命の流れで敵対する事になった地井武男に「ストラダ5」からの脱退を勧めるのですが、もちろん、そんな事は納得も承服も出来ない2人は、結局はその場で対決!
 ここは荒野の中でジープ対四輪バギーのカーアクションから緊張感のある射撃の決闘が如何にもアクション映画ど真ん中の演出で秀逸です。そして地井武男は旧友を射殺……。
 実は物語の本筋はもうひとつあり、それは宇宙飛行士のジョージ宮本=岡崎二朗の悲劇です。なんと宇宙病原菌に侵されたまま地球に帰還して……。そしてアンドロメダ=山科ゆりがジョージ宮本の幼友達だったことから、なかなか味わい深い展開となります。
 なにしろ岡崎二朗が地球に戻っての特別番組をテレビで見る「ストラダ5」のメンバー達の中では、山科ゆりが完全にウキウキ状態! もちろん岡崎徹がミエミエのヤキモチ状態で、地井武男や小野進也から図星を指されて不貞腐れ! いゃ〜、実に人間的なドラマですねっ♪
 しかしその番組生放送中に岡崎二朗が倒れたことから事態は暗転、悲痛な山科ゆり……。
 そして1週間後、ジョージ宮本=岡崎二朗から山科ゆりへ電話があり、忽ち2人は熱いデート♪ 気前良くお金を使いまくり、しかもカッコ良い宇宙飛行士ということで、山科ゆりは有頂天です。しかしどこかしら翳りを滲ませる岡崎二朗には彼女も不安を隠せません。お互いに愛の告白から情熱の抱擁も何か虚しく……。
 ところが驚いたことに、剛達人と岡崎徹がこの2人を尾行しているんですねぇ〜。もちろん劇中ではいろいろと言い訳をしていますが、いやはやなんともです。
 さらに仰天させられるのが、このお楽しみの最中に「ビッグノヴァ」の悪漢達が現れて、岡崎二朗を拉致してしまう大波乱! 不意を突かれて、あまりな事に山科ゆりも為す術無し……。そして愛する人が余命3ヵ月と知り、自らのエスパー能力で監禁されている場所を透視しようとするのですが、雑念が多くて上手くいきません。そこで岡崎徹が如何にもというアドバイスを与えるのですが、この時の山科ゆりの哀切の仕草と岡崎徹の煮詰った表情の対比が、たまりません。
 物語はこの後、ジョージ宮本の救出から真相の告白、さらに地井武男の意地、そして岡崎二朗のハードボイルドな生き様が、日活モードにどっぷりと浸って描かれていきます。それはもちろん悲しい結末ではありますが、ラストシーンでは山科ゆりの純愛一直線という演技が、いつまでも心に残ります。ちなみに劇中の彼女は今回、アンドロメダというコードネームよりは星カオリという本名で呼ばれることが多いのも自然です。
 ただし脚本の密度が濃すぎて、ちょっと30分枠では勿体ない感じがします。あと、「ストラダ5」の面々が屯している事務所というか、多分、小野進也の部屋だと思われる場所には電話が無く、下宿のおばちゃんみたいな人が呼び出しに来るのは、如何に昭和49年と言えども、あんまりじゃないでしょうか……。
 またルナ=小野進也がプレイボーイ的な資質を見せているのも要注意! 前々回のエピソード「呪いのダイヤを撃て!」でも事件に関わった女性と良い雰囲気になっていましたが、今回は女の扱いに手慣れた台詞があって、思わずニンマリなのでした。

第10話:爆弾魔に罠をはれ!(昭和49年6月7日)
監督:遠藤三郎
脚本:高久進
ゲスト:北島マヤ(工作員・東京ナンバー10) 他
 今回の物語はタイトルどおり、「ビッグノヴァ」が開発した高性能爆弾を使ったテロ事件を描いていますが、実はその騒ぎに乗じて銀行を襲撃し、大金を奪うのが本当の目的という展開です。
 悪役では「ビッグノヴァ」の工作員=北島マヤが非常に魅惑的な悪女で高得点♪ 小野進也や剛達人が思わず「イイ女」と認めてしまうほどです。ちなみに彼女は大映を中心に活躍していた、なかなかのクールビューティ♪ ここでも非情で悪辣な演技からハードボイルドな最期まで、実に素晴らしいと思います。
 さて肝心の本篇は「ビッグノヴァ」の犯罪連絡テープを偶然にもひとりの少年が見つけた事から身の危険に陥るという展開もあり、剛達人が大活躍なんですが、その中にはいくら特撮物でもありえないほどに超人的な身体能力を発揮する場面もあり、今となっては笑っても正解かもしれません。
 また地井武男が劇中では十八番としている変装で怪演を披露! なんと「野良猫ロック・集団暴走`71(昭和46年・藤田敏八監督)」を思い出させるヒッピー姿なんですが、このあたりのオトボケ調も楽しいところです。しかし剛達人も地井武男もアクションや銃撃戦での迫力はスリル満点! こういうバランスの良さが遠藤三郎監督の上手いところだと思います。
 また今回は岡崎徹の出番がほとんどありませんが、裏読みすれば前回のエピソードで山科ゆりの本心が明かされ、自分の惨めなヤキモチが露呈したこともありますから、不貞腐れての職場放棄という可能性も自然な解釈でしょうね。う〜ん……。

第11話:死を呼ぶテレパシー!(昭和49年6月14日)
監督:遠藤三郎
脚本:武末勝
ゲスト:梢ひとみ(今井知子)、井上博一 他
 これまた物凄いエピソードで、結論から言うと山科ゆり梢ひとみという、当時のロマンポルノでは大看板だった2人の超能力対決が描かれています。
  また同じくゲストにはロマンポルノで数多い名演を残した男優の井上博一が脱獄囚で登場していますが、この作品のレギュラーである地井武男&山科ゆりとは前年6月公開の傑作「濡れた荒野を走れ(沢田幸弘監督)」で共演し、特に山科ゆりとは印象的な場面も多かったわけですから、私のような者には味わい深いとしか言えません。
 さて物語は国際警察が極秘に開発した犯罪分析装置の破壊を企む「ビッグノヴァ」の陰謀がメインですが、それには「ストラダ5」の中でも山科ゆりの予知能力が邪魔になるという事で、同じエスパーの梢ひとみを使い、テレパシーで妨害工作をやるという展開です。
 また梢ひとみ本人も学生時代に地井武男に片思いしながら、心をこめたプレゼントを壊されたという因縁を根に持ち続けているという執念深さ! それゆえに復讐心も強いのですから、怖い仕打ちは「お約束」です。なにしろ捕らえた地井武男を縛りあげ、ビシバシに殴ったり、心理的に追いつめたり、とにかく全篇で意地の悪さをたっぷりと見せてくれます。しかも悪の手先になる時は黒を基調としたスマートなデザインの衣装にガンペルトというカッコ良さ♪
 その彼女のプロフールは――――
梢ひとみ(こずえひとみ)
 岩手県の出身ながら、昭和45(1970)年頃から東京でモデルをやっていましたが、翌年にはテレビの深夜番組でマスコットガールとして注目された事から、昭和48年5月にロマンポルノ作品「女子大生SEX方程式・同棲(小原宏裕監督)」で主演デビューしています。そしてポスト田中真理の一番手として忽ち人気スタアとなり、数多くの作品に出演していますが、必ずしも日活専属というわけではなかったようで、テレビや他社の作品にも数多く出演していますから、幅広い人気がありました。
 ただし代表作は、やはりロマンポルノ出演作であり、例えば「肉体犯罪海岸・ピアニアの群れ(昭和48年8月・西村昭五郎監督)」や「暴行!(昭和51年10月・沢田幸弘監督)」は個人的に大好きです。また長谷部安春監督によるアクションハードボイルドの「すけばん刑事・ダーティ・マリー(昭和49年4月)」は賛否両論の人気作♪
 しかし昭和52年、人気絶頂のまま、突如引退! 渡米して結婚したと言われておりますが……。
 ちなみに彼女は歌も味わい深く、唯一のシングル曲として「明日から愛して(作詞:阿木燿子 / 作曲:宇崎童)」は最高ですよ♪
 さて、気になる山科ゆりと梢ひとみのエスパー対決はもちろんお互いが苦しむのは「お約束」ですから、精神集中と苦悶の呻き声が、私にはアノ時の声と聞こえてしまうんですねぇ〜♪ これもロマンポルノ症候群というか、このあたりはリアルタイムでも同感された大人が大勢いたはずだと思います。ちなみに梢ひとみは呪文も使う密教系! 対する山科ゆりは苦しんだ挙句に逆テレパシー装置というか、科学の力を使って対抗するのが観てのお楽しみです。
 そして運命のクライマックスは地井武男と梢ひとみの愛と因縁、憎しみと言い訳の対決という、いささかベタな展開ですが、実は捨て難い魅力に溢れています。これが日活なんですねぇ〜♪
 またラストシーンでは、些かネタばれになりますが、作戦に失敗した工作員がミスターアスモディによって処刑されるところで、なんと今回は梢ひとみが地割れに転落するという大規模なものになっています。う〜ん、これが出来るなら、どんな犯罪も可能なはずなんですが、それは言わないのが「お約束」でしょうね。
 ちなみに当然、梢ひとみは脱いでいませんし、美味しい場面も演じていませんが、その雰囲気の良さがロマンポルノでも存分に発揮されていた証として、忘れ難いエピソードになっているのでした。

第12話:殺人マシンを狙撃せよ!(昭和49年6月21日)
監督:白井伸明
脚本:高久進
ゲスト:加藤真知子、大月ウルフ(イーグル)、オスマン・ユセフ(ケリー司法長官) 他
 いよいよ最終盤となったエピソードは、なかなかミステリ味の強い展開が楽しめます。
 まずミスターアスモディがアメリカの故・ケネディ大統領暗殺に使用されたという高性能狙撃銃を手に入れたという発端から、「ビッグノヴァ」は謎のスパイナーを使い、某国要人の殺害を企み、それを阻止する「ストラダ5」との熱い戦いが描かれています。
 つまり今回は犯罪者の側から見ても上手い演出というか、誰が本当のスパイナーなのか? という謎がメインになっているのです。尤も大人から見れば、直ぐにバレバレなんですが♪
 そして特筆すべきは、事件の解明は岡崎徹の単独行動が中心になっている事でしょう。表向きは父親を殺害された復讐の念ということですが、実際は「第9話」で山科ゆりの気持ちが自分に無いことがはっきりし、さらにこれまでの自分の言動からチーム内で浮いていた事情が見え隠れしていると感じるのは、サイケおやじだけではないでしょう。
 まあ、それはそれとして、岡崎徹は事件を通じて素敵な美女と知り合いますが、彼女は眼が不自由……。ですから、偶然にも近くにいた「ビッグノヴァ」のスパイナーの顔を見ることが出来なかった、というのが物語のミソになっていますが、それにしても山科ゆりが超能力でそのイメージを読み取るというのは出来すぎ??? まあ、いいか……。
 ということで、ネタばれがありますから、ここまでしか書けませんが、クルービューティな加藤真知子が最高に素敵ですので、それは観てのお楽しみ♪

第13話:ミスターアスモディの仮面をはげ!(昭和49年6月28日)
監督:白井伸明
脚本:山浦弘靖
ゲスト:木島一郎、トピー門口 他
 ついにやってきた最終回! 今ではチープでも当時はカッコ良かった車も見納めというわけですが、メインテーマはもちろん、父を「ビッグノヴァ」に殺された因縁がある岡崎徹の復讐は如何に!? ですから「ストラダ5」の面々も最初っから大ハッスルで、山科ゆりも魅惑のミニスカアクションを披露しています。
 しかし私情に走り過ぎる岡崎徹は、またまたチーム内で浮いてしまうのです。父の形見の拳銃を見つめる岡崎徹、その姿を心配する山科ゆり……。う〜ん、この2人には、まだ脈があるのか!? これもまた、良い場面だと思います♪
 そしてついにミスターアスモディの所在を掴んだ「ストラダ5」は、特に岡崎徹が仲間の協力もあって、必死の追撃ですが、ここは迫力のカーアクション、日活伝統の銃撃戦、さらにモーターボートの大チェイスと見せ場がいっぱい! 劇伴サントラもグルーヴィなオルガンインスト等々もう最高です。もちろん最終回とあって、宍戸錠も往年の「エースのジョー」が復活したようなカッコ良すぎるガンアクションを見せてくれますよ。
 肝心のクライマックスはミスターアスモディ追い詰めた岡崎徹が、苦しい決断を迫られます。そして結論から言うと、決して視聴者にカタルシスを与えていないところが、流石は日活なのでした。

 ということで、企画段階からの予定だったとはいえ、全13話で終了した「ストラダ5」の物語は少年向けとは思えないほどサイケおやじ的な見どころに溢れていました。それは出演者の味わい深い抜擢というか、特にロマンポルノで人気絶頂だった山科ゆり、小川節子、二條朱美、梢ひとみ♪ もちろん誰一人脱いでいませんが、ここまで掲載した画像でも納得されるように、ロマンポルノのスチール写真のような趣がたまらないところです。また「第12話」に登場した加藤真知子の死顔は悲しくも最高の美しさで、グッときますよ。
 もちろん監督&脚本、そしてスタッフの力量も流石という演出の纏まり、過激なカーアクションと銃撃シーンの迫力は、最近のテレビアクション作品では見られないものでしょう。
 こういう「お宝」を再見出来たことは、幸せという他にありません。

2008.08.03 敬称略・了)