闇の中の妖精

前口上


 ある時期、私にとっての「映画館」は江戸川乱歩先生の執筆された「防空壕」でした。まさに「美しさ身の毛よだつ五彩のオーロラの夢」を見せてくれた大勢の美女達に会うことが出来たのですから……。

 「闇に蠢く」を執筆する際に参考にしていたメモ、これは当時私が見た映画について気になるデータや感想等を記入していた物ですが、それを読み返していくうちに今でも愛着のある作品や女優さんについて様々な想いが湧き上がってまいりました。
 
 「闇に蠢く」では一応日活ロマンポルノの中におけるSM物を中心に思い出話を書かせていただきましたが、今回からは成人映画を中心に活躍された女優さんという視点から色々と書かせていただきとうございます。タイトルは「闇の中の妖精」という、どこかで見かけたようなものにさせていただきました。

 さて成人映画は通称エロ映画と呼ばれるように、言うまでもなく所謂「えっち場面」、「愛欲場面」を見せることを主目的としているわけですが、家庭用ビデオが無かった時代、観る側は映画館という「早送り」の出来ない環境で観る他はなかったわけですから、そうした場面以外のところである、物語の濃密度、出演者の演技力、製作スタッフの力量、そして監督の統率力・演出力等が優れていなければならないということは、これまで何度か私が述べさせていただいたところです。

 幸いにしてわが国では、物語性豊かなエロ映画が沢山作られており、個性的で美しい女優さんが大勢居られました。その中から特に私が好きな、そして印象深い人達を紹介させていただきとうございます。ただし、その作品群の中には未だにビデオ化・DVD化されていない物が多く、残念でなりません。

 取り上げる女優さんの出演作については私自身リアルタイムで観ていない物があり、それは名画座等で後追いで観た物ですので、出演作品のデータや公開年については多少不明な部分もあろうかと思いますが、なにとぞご容赦下さいますようお願い申し上げます。

 最後に何故私がエロ映画に惹かれるのかといえば、もちろん私が「すけべ」であることに違いないのですが、一般映画に比べてのアンダーグラウンド性故のエネルギーの蠢きというか、扱っている主題がどんな人間であっても避けて通ることが出来ない事柄なのに、世間からどこか別な目つきで見られるジャンルであることへの拘りではないかと思います。今ではすっかり見かけることが無くなってしまいましたが、私の少年〜青春時代には映画館前や街角に映画のポスターや立て看板が沢山あり、特に成人映画のそれには妖しく心が惹きつけられ、股間が疼いたものでした。その時のときめきを伝えることが出来たらなぁ、と思います。

 ちなみに、この「闇の中の妖精」は以前に七四式様の「地下画廊」に投稿し、掲載していただいたものですが、今回、七四式様のご好意により再掲ということで、少しばかり文章を加筆・訂正し、画像も一部変更致しました。例えば女優さんの名前は「さん」付けの有無によって個人的思い入れの違いを書き分けておりましたが、今回はすべて「敬称略」で統一させていただきました。出来るだけオリジナルの雰囲気を損なわないように気をつけたつもりですが、CDで言うこところのリマスター盤という感じで楽しんでいただければ幸いです。

 ということで、第1回は「サリー・メイ」の巻です。それではよろしくお願い申し上げます。

(敬称略・続く)
(2002.02.02 「地下画廊」に掲載 / 2003.08.01 改稿転載)